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山本 五十年 理事長の独自取材記事

湘南真田クリニック

(平塚市/東海大学前駅)

最終更新日:2019/08/28

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平塚市真田にある「湘南真田クリニック」は、年齢、性別を問わず、あらゆる世代の病気やケガを幅広く診る、総合的な診療を行うクリニック。同院では訪問診療を積極的に行っているほか、同じ建物内では住宅型有料老人ホームや居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、通所介護支援事業所、ケアステーションなども密に連携し、地域に欠かせない医療と介護をトータルに提供する総合型医療施設となっている。日常的な疾患から重度の疾患、その先の訪問診療や看取りまで、長くトータルにサポートしてくれる頼れる存在だ。その施設の理念と見据える未来の医療像とは? 施設の理事長であり、同院の院長である山本五十年(やまもと・いそとし)先生にクリニックについて、そして幅広い取り組みについて話を聞いた。
(取材日2018年1月16日)

患者一人ひとりの「担当医」として総合診療を展開

まずはクリニックの特徴を教えていただけますか?

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小児や大人、高齢者といった垣根を越えて、患者さんをトータルに診療するクリニックです。よくある臓器別の専門性を盾に「専門外は診療しない」という姿勢とは逆に、風邪、インフルエンザなどの感染症への対応はもちろん、皮膚疾患への軟膏、花粉症などへの目薬の処方まで、患者さんのニーズに幅広くお応えする医療サービスを提供しています。症状によってCT、エックス線、心電図などの検査も当日対応が可能で、必要に応じて近隣の病院にご紹介もしています。当院の先生方は、専門外の他科診療を改めて勉強し直すために、平塚市民病院へ研修に行ったりと、熱心な方ばかりです。赤ちゃんからお年寄りまですべての方を診られる、総合医としてご活用いただければと考えています。

訪問診療も行っていらっしゃるのですね?

個人宅から高齢者施設まで数多く訪問し、たくさんの患者さんを診療させていただいています。私と中丸真志医師、春成伸之医師3人の常勤医師と、2人の非常勤医師による5人体制で現在は運営していますが、午前午後の外来とほぼ並行して訪問診療を行っております。午前中に外来を担当した医師が午後に訪問にまわったり、その逆だったりと、外来診療と訪問診療で担当医を分けていませんので、ご高齢の方や何らかの事情で通院が難しくなったというケースでも、外来での担当医がそのまま継続しご担当させていただくことができます。

どのような患者さんが多くいらしているのでしょうか?

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住宅型有料老人ホームや通所介護施設を併設していることもあり、やはりご高齢の方の受診が多くなっています。とはいえ、お子さんの受診も多く、親御さんとお子さん、祖父母とお孫さんなどといった組み合わせで、家族そろって受診される患者さんもいらっしゃいます。あとは、ご家族から訪問診療のご相談を受けることも多いですし、「現時点ではまだまだ元気で外来通院が可能だけれど、将来的に不安もあるから」と、継続的に訪問診療にも移行できる当院を選んで通院していただいている患者さんも多くいらっしゃいます。

救命救急の現場から、地域ケアシステムの重要性を認識

さまざまな介護施設を併設した貴院のようなクリニックが誕生した経緯は?

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診療所と住宅型有料老人ホームのほか、訪問看護、訪問介護、通所介護、居宅介護支援など、合計8つの事業所を運営しています。高齢者の独居が増える中で、従来のように家族の介護に頼る自宅での在宅療養は困難になってきており、同時に、医療を必要とする高齢者を従来の施設で受け入れることも難しくなってきています。こうした問題を乗り越えて、在宅医療と居宅療養支援の両方からアプローチすることで、地域の包括ケアシステムを構築することを目的に誕生したのが、当院を含めた複合型医療施設「湘南メディケアセンター」なのです。2006年に地域の看護職、介護職が集まってプロジェクトチームが発足し、2009年に超高齢化社会を乗り切るための一つのモデルとしてこちらの「湘南メディケア真田センター」がスタートしました。開設母体である「医療法人救友会」は、地域の篤志家の方々の支援を受けて誕生したという珍しい背景を持っています。

理事長がプロジェクトを発足させたきっかけとなったのは?

私は30年以上にわたり、救命救急医療の最前線で生と死を見つめてきました。救命救急の現場では常に「Never give up.」の精神で、搬送されてきた患者の命を助けることが前提。しかし、その先には、助かった命の受け皿が地域に不足しており、救命救急のベッドがまわらないという現実も存在していました。そんな状況で東海大学病院で救命救急科の診療科長を務めていた当時、ふとしたきっかけから在宅で医療を展開するということに新鮮さと可能性を感じ、気持ちを同じくする医師や看護師で集まって在宅医療の勉強を始めたのです。学べば学ぶほど、来る超高齢社会に備えるには在宅医療を軸に、地域全体で高齢者を支える包括的なシステムが必要という思いが強まり、プロジェクト発足に至りました。

救命救急の現場から、地域医療に活躍の場を移して、気づかれたことはありますか?

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一番大きな気づきは、「死」と「生」の受け止め方の違いでしょうか。救うことを前提に手を尽くした先に迎える病院での「死」は医師にとって悲しみや悔いとともに受け止めるものでしたが、地域で家族とともに迎える「死」はとても厳かなもの。多くの場合、感謝とともに受け止められるのです。「100歳を超えた患者が搬送されてきた際に激しい心臓マッサージを行って救命することが正しいのか?」「寝たきり患者を胃ろうで延命させるのが正しいのか?」こうした葛藤は、すべての救命救急の医師が経験するものだと思いますが、その一つの答えが地域での「死」にはあるように思います。日本人は医療を過大評価する傾向があり「とにかく病院へ行けば助かる」と思い込んでいる方が多いようですが、生き方、死に方は本来自分で選べるもの。病院での「死」だけが「死」ではありません。死ぬことは生きること。死に方を選ぶことは、生き方を選ぶことと同じなのです。

縦と横の「つながり」を大切に、幅広く相談できる場へ

複合型施設では医師に限らずさまざまな職種の方との関わりがありますね。

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もちろんです。外来から在宅へといった縦のラインだけではなく、多職種連携という横のラインでの「つながり」も、私たちは大切にしています。医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャー、介護士、理学療法士、栄養士といったスタッフはもちろんのこと、患者さんご本人とご家族、近隣住民の皆さんとの連携の上で、高齢者や病を抱えた方が安心して暮らせる地域は成り立ちます。現場では私たち医師も多職種の方から学ぶことも多いですし、患者さんの生き様を拝見しているだけでも日々勉強させていただける、素晴らしい環境です。

今後の展望について教えていただけますか?

現在一番の課題は、患者さんをいかにお待たせしないかということ。当院は予約制ですが、予約外での急患も診療しています。その際、単に予約優先、来院順に診察するのではなく、患者さんの重症度、緊急度を見極めて柔軟に対応するトリアージナースのような役割を果たすスタッフを導入できないかと考えています。あとは、より多くの若いドクターに、病院とはまったく異なる「死」と「生」を見つめ、地域医療の未来を体感しに来ていただきたいと、1〜2年目の研修医の研修も引き受けています。ここで学んだドクターや同じ志を持つ医師らとパートナーシップを結んで、ここで実践しているような総合診療、地域包括ケアシステムの輪を全国に広げていければと思います。

ドクターズファイル読者に向けて一言メッセージをお願いできますか?

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特定の病気の治療に限らず、とにかく気軽になんでもご相談いただきたいと思っています。病気を抱えた患者さんやご家族のつらさは、決して一人で抱え込むべきものではありません。ここに来ていただければ、悩みを解決できる地域の受け皿へと導いて差し上げることもできます。ちょっとした健康上のお悩みから通院が難しい方のご相談、育児中のお悩みなど、まずは一度なんでもご相談してみてください。

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