横田 一樹 院長の独自取材記事
よこた内科クリニック
(明石市/明石駅)
最終更新日:2023/04/06
山陽電鉄本線の山陽明石駅とJR神戸線の明石駅に直結した複合施設の3階。「医療法人社団 よこた内科クリニック」は、糖尿病とその合併症の治療や管理を中心に、さまざまなアプローチで患者をトータルにサポートする内科クリニックだ。院長の横田一樹先生は、神戸大学大学院にて糖尿病の研究に従事し、豊富な知識と経験を持つ医学博士。2017年の開院以来、副院長の横田昭子先生や派遣医師、専門スタッフらと力を合わせ、常に患者の目線に立った診療に労を惜しまず取り組んでいる。ほのかにアロマが香る院内には、ほっとするような空気が漂っている。そんな院内の雰囲気とも重なるフレンドリーな印象の横田院長に、専門である糖尿病内科のこと、現在の診療の様子などをじっくり語ってもらった。
(取材日2022年12月17日)
中断のない糖尿病治療をめざし、患者を手厚くサポート
こちらでは、どのような診療を行っていますか?
当院は内科を土台として、糖尿病内科・腎臓内科・消化器内科の3本柱を中心に診療を行っています。受診される患者さんは糖尿病患者さんがメインですが、腎臓病や消化器疾患の患者さんも大勢います。糖尿病療養や腎臓病療養に関する専門知識を持った看護師や管理栄養士、臨床検査技師といったスタッフがそろい、それぞれが豊富な経験を備えています。また週に何日かは副院長である妻も午前診察を行っており、女性のドクターに診察してほしいという患者さんのニーズにお応えしています。当院の基本理念は、丁寧な診察・的確な診断・適切な治療の3つです。当院を信頼して通ってくださる患者さんに対して、とにかく最善の医療を提供できるように努力しています。
糖尿病がメインとは思えない、とてもおしゃれな内装ですね。
糖尿病の治療で一番やってはいけないこと、それは中断することです。糖尿病は、特に初期のうちは症状が出ないため、ともすれば患者さんがクリニックに来なくなってしまうんですね。そうした治療中断を防ぐためにも、なるべく通いやすいクリニックをつくろうと開院時に知恵を絞りました。待ち時間になるべく快適に過ごしてもらえるよう、内装にはグリーンや木目を取り入れ、リラックス効果のあるアロマをたいています。また、スタッフの多くが糖尿病や腎臓の知識を備え、互いに連携しながら患者さんを手厚くサポートできることも当院の強みです。患者さんとの信頼関係は、治療において何より大切なポイントといえるでしょう。
検査機器もたくさんそろえておられますね。
はい。糖尿病で非常に重要な血糖とHbA1c(ヘモグロビンA1c)の検査では、指先だけで測れる測定器など新鋭のものを2台導入して、即日結果を出しています。その検査結果をもとに過去1ヵ月間の生活を振り返り、次の1ヵ月の過ごし方を決めるというのが糖尿病治療の基本的な流れです。ほかにも簡易型の神経伝導速度検査や心電図、胃カメラ、腹部の超音波検査など、糖尿病の合併症に関するほとんどの検査が可能です。糖尿病は全身疾患であり、腎臓や消化器の合併症についてもなるべく同じ医療機関での一元的管理が理想です。幸い私は消化器と腎臓病に関する専門性も培ってきましたから、胃がんなどの早期発見にも努め、また透析に至る前の保存期腎不全の患者さんの診療にも対応しています。また、さらに詳しい検査や治療、手術などが必要な場合には提携先の病院を紹介します。そうした振り分けも開業医の重要な責務と考えています。
先進の薬やデバイスで一人ひとりに合った治療の実現を
糖尿病に関して、常に新しい治療を導入しているそうですが。
ここ10年ほどで、糖尿病の治療はかなり進化しており、近年は多種多様な糖尿病治療薬剤の登場によって治療の選択が大幅に広がっています。多くの薬の中から患者さん一人ひとりに本当に合ったお薬を提供し、忙しい方でも仕事を休まずに治療が進められるようにするなど、従来の治療しか受診経験のない患者さんの意識を少しずつ変えていければと考えています。また、入院をせずにインスリン治療を行ったり、1型糖尿病の方へのインスリンポンプ療法も当院では可能です。糖尿病内科の専門家として、こうした新しい治療をもっと多くの方に提供していきたいですね。
糖尿病は自己管理が大切とお聞きしました。
糖尿病を管理するためには日々の血糖値を測り、記録していくことが欠かせないわけですが、注目すべきは血糖測定デバイスのめざましい進歩です。腹部などに装着したセンサーを読み取って連続的な測定ができる持続グルコース測定器を当院では早くから導入し、自分で装着してセルフモニタリングが可能なものと、非接触で瞬時に読み取ることができるものを活用しています。いずれも従来のSMBG(血糖自己測定)のような「点」ではなく、同じ値であっても上昇したのか下降したのか、連続的な「線」として捉えられるところが最大の特徴といえるでしょう。
患者さんのモチベーションを、どうやって維持していますか?
私が診療で関与できる時間は限られていますので、スタッフになるべく患者さんと関わってもらうようにしています。治療導入時において、当院が重視しているのは初診でのファーストインプレッション。問診は個室でたっぷりと時間を割き、まずは患者さんに「安心」を与えられるよう努めます。再診時には日本糖尿病協会が発行している「糖尿病連携手帳」をお渡しするのですが、これもスタッフがじっくりと専門的な説明をしてからお渡しするようにしています。こちらは患者さんから「信頼」を得ることが目的ですね。この手帳にはさまざまな検査結果などを記入し、常に携行してもらうことで眼科や歯科といった他科での受診にも役立てていただけます。
患者それぞれの実情を理解し、末永く寄り添っていく
先生が医師をめざしたのはいつ頃ですか?
小学校の卒業文集には、なりたい職業として「医師」と書いていましたが、はっきりとめざしたのは進路を決める高校3年生の頃ですね。祖父が建築関係の仕事をしていたので、大学は建築系か医学部かで迷ったのですが、最終的には人の命を救う仕事をしたいと神戸大学医学部に入りました。内科へ進んだのは、幅広く診療をしたかったからです。大学の医局は糖尿病と消化器、腎臓がメインで、市民病院での勤務を経て大学へ戻りました。お世話になっていた教授が糖尿病内科におられたことから糖尿病を専門とし、糖尿病学の研究で博士号を取得しました。
先生の趣味や休日の過ごし方についても教えてください。
過去にはバスケットボール部に所属していたこともありますが、大学時代は特にスポーツをすることもなく、それなりに青春を謳歌していました(笑)。糖尿病で通われている患者さんに「運動をしましょう」とよくお話しするのですが、私自身がなかなか運動できていません……。新型コロナウイルス感染症も少し落ち着いてきたので、現在は友人に誘われてゴルフを始めています。ちなみに、当院ではかかりつけの患者さんのために裏口付近に感染症や発熱のある方専用の個室を用意し、完全分離での診療にも対応しています。
最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。
糖尿病治療が受けたくても、経済的な問題などから難しいという患者さんもおられます。今は良い治療があるからと、単純にお勧めすればいいというわけではありません。糖尿病治療の目的は単なる延命ではなく、患者さんにより良い人生を送っていただくこと。そこには社会的、経済的な面も含まれていますし、それぞれが大切にされている価値観もあるでしょう。それらをよく理解し、患者さんの実情にあわせて寄り添っていくことが必要ではないかと考えています。私としては、一生にわたってお付き合いしていくつもりです。責任の重さは感じますが、今後も糖尿病やその合併症に対する先進の検査機器や治療法を積極的に導入し、より満足度の高い治療を提供していきたいと考えています。糖尿病でお悩みの方、より自分に合ったお薬や治療法をお探しの方は、ぜひ一度相談しにお越しください。