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平松 秀子 院長の独自取材記事

平松レディースクリニック

(渋谷区/広尾駅)

最終更新日:2021/10/12

平松秀子院長 平松レディースクリニック main

広尾駅2番出口から徒歩2分。おしゃれな店舗が並ぶ広尾散歩通りに面したビルの3階にある「平松レディースクリニック」。平松秀子院長をはじめスタッフ全員が女性の乳腺専門クリニックだ。白が基調の明るい院内は、アロマが漂う心地良い空間。「女性が気軽に通え、乳腺に関わる検査を受けやすいクリニックがあったら」という患者からの要望が開業に結びついたのだという。明るく気さくな人柄で、わかりやすい説明をしてくれる平松院長。「乳がんは早めに発見して治療すれば、決して怖い病気ではありません」と検査の大切さを熱く語る。乳がんを中心とした乳腺の病気や検査の重要性について平松院長にたっぷりと話を聞いた。

(取材日2013年4月25日/更新日2019年5月24日)

増え続ける乳がんから女性を守る、乳腺専門クリニック

開業に至るまでのご経歴についてお聞きします。

平松秀子院長 平松レディースクリニック1

東京女子医科大学を卒業後、慶応義塾大学大学院で放射線診断を学び、マンモグラフィや超音波検査など、乳腺の画像診断を手がけていました。30歳でハーバード大学へ留学し、アメリカは日本に比べ乳がんが多いため、診断から治療までたくさんのことを学びました。研究も順調で、日本に帰りたくなかったのですが(笑)、2年後予定どおり帰国。帰ってからは慶應義塾大学の乳腺外科で乳がんの術前診断に使われ始めていたMRIの研究に加わりました。結婚しても毎日夜遅くまで仕事していましたが、娘が幼稚園に入ったのを機に、育児に時間を割けるよう非常勤講師に転向。娘が小学校に上がってフルタイムで仕事を始める際、時間をコントロールでき、これまでの経験を生かせる道として、娘の学校の近くでの開業を決めました。そうすれば娘が学校帰りに自分の足で立ち寄ることもできますからね。その娘も今では医学部の大学生になり、私と同じ道を歩き始めています。

クリニックの特徴を教えてください。

女性専門であることと、乳腺の診療に特化しているところですね。乳腺を婦人科の枠内でとらえている方は多いようですが、実は専門がまったく異なり、婦人科の先生たちは子宮や卵巣が専門で、反対に乳腺を扱っている医師にとってはそちらが専門外となります。乳腺専門クリニックは当時はまだ少なく、私にとっても新しい試みでしたが、慶應義塾大学の乳腺外科で診察をしている時、気軽に通ったり検診を受けたりするところがほしいという患者さんがおられたんです。ご自分の娘さんに検診を勧めたくても、大きな病院は敷居が高いし、男性の医師には抵抗を感じるという方が多かったんですね。そのため自分がもう一度フルタイムで仕事をするなら、乳腺専門で、多くの人が気兼ねなく検査や診断を受けられるような女性のための場所をつくりたいと考えました。

乳腺についての悩みを持つ患者さんは増えているのですか?

平松秀子院長 平松レディースクリニック2

はい。乳腺の問題というのはつまり乳がんが増えてきたということですが、これは、食事などのライフスタイルの欧米化も原因の一つだと考えています。栄養が豊富な生活では発育が早くなり、生理も早く始まります。これは乳がんのリスクファクターの一つなんですね。女性ホルモンの生理サイクルにさらされている期間が長いほどリスクはアップするんです。その意味で、女性の社会進出などの影響で高齢出産や出産しないことも、乳がんが増えてきている要因の一つになっています。あとは、身内に乳がんの方がいる場合は確率が高いともいわれていますが、要素がなくても乳がんになる方もいるので、複雑な原因が絡み合ってだんだんと増えているのだと思います。そのような状況で大切になってくるのが早期発見です。早い段階で見つかれば治せる可能性も高くなるので、定期的にチェックを受けることがとても大事なのです。

マンモグラフィと超音波の併用で乳がんの早期発見へ

乳がんの自覚症状について教えてください。

平松秀子院長 平松レディースクリニック3

一番多いのがしこりです。あとは、乳首のところから血液のような分泌物が出ることがあります。そういった例のすべてが乳がんというわけではありませんが、がんが隠れている恐れがあるのでよく調べる必要があります。また、少しひきつれて、くぼんでいるように見えることもありますし、脇の下のリンパ線の腫れから見つかったケースもあります。いずれにしても、大部分はしこりです。ただし、しこりがあったからといって、必ずしも重篤とは限りません。問題はその大きさです。小さいうちに発見できれば、治療の規模や手術の範囲も小さくて済むことが多いです。昔に比べれば早期に発見されるケースが増えてきていると思いますが、検診の受診率もアメリカなどと比べると低いので、もっと積極的に受けていただきたいと思います。

検査の種類はどのようなものがあるのでしょうか?

基本的には、マンモグラフィと超音波検査です。どちらも優れた検査ではありますが、片方だけでは取り逃がしてしまうケースがあるので、両方を併用するべきというのが私の考えです。乳がんの病変には、しこりが出ずに、石灰化といって細かいカルシウムの沈着があるだけというケースもあります。これについてはマンモグラフィが有効です。反対に、40歳代以下に多いんですが、乳腺組織が豊富なためにマンモグラフィでは全体が真っ白に写ってしまって小さなしこりが判別できないことがあります。そういう場合は超音波検査が必要になってきます。もちろん、妊娠中はマンモグラフィはできないので超音波検査だけになりますし、ご本人の希望でどちらか1つだけという希望があれば無理に勧めることはしませんが、原則として両方受けていただきたいと思っています。

診療で心がけていることはありますか?

平松秀子院長 平松レディースクリニック4

わかりやすく説明することです。同じ内容でも言葉の選び方によってうまく伝わる時とそうでない時があるので、相手がきちんと理解しているかどうかを確認しながら説明するよう心がけています。現在当院では、女性の放射線技師がマンモグラフィを担当していますが、超音波検査については、私自身が行っています。患者さんとのコミュニケーションという面でも良いと思いますし、私自身も全体像をつかめるため、検査が終わった段階ですぐに説明ができるんです。そのほうが患者さんにも安心して受診していただけると考えています。

定期的な検診が何よりも大切

先生は、なぜ医師という職業を選んだのですか?

平松秀子院長 平松レディースクリニック5

父や祖父、叔父も医師だったため、小さい頃からめざしていました。父は大学病院勤務で、たまに病院へ出かけた際に白衣姿を見かけることがありました。仕事の内容についても聞いていましたし、自然と憧れを抱いていたんですね。乳腺を専門に選んだのは、この分野はやはり女性医師のほうが相談しやすいと思ったからです。病気になってしまったらおそらく皆さん医師の性別など関係なく、いわゆる「名医」に診てもらいたいと思われるのでしょうが、初期診断の段階では女性のほうが圧倒的に相談しやすいだろうと思うのです。私が医師になった当時、まだまだ女性医師は少なかったのですが、だからこそ特性を生かして仕事ができる分野なのではないかと考えました。

先生の健康法を教えてください。

毎日お湯につかり、ゆっくりお風呂に入るようにしています。あとは、食べものにも気を使っていますね。サプリメントなどは使わず、野菜を多めに取っています。やはり、自然の食品で健康的になったほうがいいと思うんです。運動については、最近ゴルフを始めました。スクールにも通っています。

最後に、今後の展望について伺います。

平松秀子院長 平松レディースクリニック6

乳がんは、できるだけ早いうちに発見して治療すれば、決して怖い病気ではありません。自分の体をメンテナンスするために、美容院やエステに行くような感覚で気楽に来ていただければと思います。日本では、これまで乳がん発症のピークは40~50代でしたが、近年は60代にもピークがあります。当院でも80歳代後半の患者さんでがんが見つかった例があり、いくつになったら危険がなくなるということはありません。有効な予防法がない病気なだけに、やはり検診が大切なんです。ですので私たちも、患者さんが少しでも不安があった時、躊躇せずに来ていただけるような環境づくりに一層努めていきたいと考えています。

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