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平松 秀子 院長の独自取材記事

平松レディースクリニック

(渋谷区/広尾駅)

最終更新日:2024/10/22

平松秀子院長 平松レディースクリニック main

広尾駅2番出口から徒歩4分。おしゃれな店舗が並ぶ通りに面したビルの3階にある「平松レディースクリニック」。平松秀子院長をはじめスタッフ全員が女性の乳腺専門クリニックだ。「女性が気軽に通え、乳腺に関わる検査を受けやすいクリニックがあったら」という患者からの要望が開業に結びついたのだという。明るく気さくな人柄で、わかりやすい説明をしてくれる平松院長。「乳がんは早めに発見して治療すれば、決して怖い病気ではありません」と検査の大切さを熱く語る。乳がんを中心とした乳腺の病気や検査の重要性について平松院長にたっぷりと話を聞いた。

(取材日2023年12月6日)

増え続ける乳がんから女性を守る、乳腺専門クリニック

開業に至るまでのご経歴は?

平松秀子院長 平松レディースクリニック1

東京女子医科大学を卒業後、慶応義塾大学大学院で放射線診断を学び、マンモグラフィや超音波検査など、乳腺の画像診断を手がけていました。30歳でハーバード大学へ留学し、アメリカは日本に比べ乳がんが多いため、診断から治療までたくさんのことを学びました。帰国してからは慶應義塾大学病院の乳腺外科の先生と一緒に、当時乳がんの術前診断に使われ始めていたMRIの研究に取り組みました。その後娘が幼稚園に入ったのを機に、育児に時間を割けるよう非常勤講師に転向。小学校に上がってフルタイムで仕事を始める際、時間をコントロールできるよう開業という道を選びました。その娘も医学部の大学生を経て現在は医師として私と同じ道を歩き始めています。乳腺外科に進みたいと言っているので、いつか手伝いに来てくれる日もあるかな、と楽しみにしています(笑)。

クリニックの特徴を教えてください。

女性専門であることと、乳腺の診療に特化しているところですね。乳腺を婦人科の枠内でとらえている方は多いようですが、実は専門がまったく異なり、婦人科の先生たちは子宮や卵巣が専門で、反対に乳腺を扱っている医師にとってはそちらが専門外となります。乳腺専門クリニックは当時はまだ少なく、私にとっても新しい試みでしたが、慶應義塾大学病院の乳腺外科で診察をしている時、気軽に通ったり検診を受けたりするところが欲しいという患者さんがおられたんです。ご自分の娘さんに検診を勧めたくても、大きな病院は敷居が高いし、男性の医師には抵抗を感じるという方が多かったんですね。そのため自分がもう一度フルタイムで仕事をするなら、乳腺専門で、多くの人が気兼ねなく検査や診断を受けられるような女性のための場所をつくりたいと考えました。

2022年にはクリニックを移転されたとお聞きしました。

平松秀子院長 平松レディースクリニック2

開業から17年間同じ場所で診療してきましたが、だんだんと手狭に感じるようになりました。加えて、前のビルはエレベーターがなく、患者さんにご負担をかけてしまっていたことも気がかりで移転を考えました。広尾という場所は変えたくなかったので、今の場所とのご縁があり、スムーズに移転できたのはタイミングが良かったです。患者さんが心地良く過ごせるような空間づくりをめざし、背もたれスペースに荷物が置けるような椅子など、家具にもこだわりました。プロの意見はもちろん、娘も相談に乗ってくれて頼もしかったですね。移転をきっかけにマンモグラフィをより精度の高いものに変えて、骨密度のスクリーニング検査ができるような機器を新たに取り入れました。ワクチンについてもこれまで対応していたインフルエンザワクチンに加え、帯状疱疹や子宮頸がんのワクチンも希望があれば受けていただけるようになりました。

マンモグラフィと超音波の併用で乳がんの早期発見へ

乳腺についての悩みを持つ患者さんは増えているそうですね。

平松秀子院長 平松レディースクリニック3

乳腺の問題というのはつまり乳がんが増えてきたということですが、食事などのライフスタイルの欧米化も原因の一つだと考えています。栄養が豊富な生活では発育が早くなり、生理も早く始まります。女性ホルモンの生理サイクルにさらされている期間が長いほどリスクはアップするんです。その意味で、女性の社会進出などの影響で高齢出産や出産しないことも、乳がんが増えてきている要因の一つになっています。あとは、身内に乳がんの方がいる場合は確率が高いともいわれていますが、リスク因子がなくても乳がんになる方もいるので、複雑な原因が絡み合ってだんだんと増えているのだと思います。そのような状況で大切になってくるのが早期発見です。

乳がんの自覚症状について教えてください。

一番多いのがしこりです。あとは、乳首のところから血液のような分泌物が出ることがあります。少しひきつれて、くぼんでいるように見える、脇の下のリンパ線の腫れから見つかったなどのケースもあります。すべてが乳がんというわけではありませんが、がんが隠れている恐れがあるのでよく調べる必要があります。働き世代の方は仕事や家庭優先で後回しにしてしまったり、高齢者の方は「自分には関係ない」と思って検査を受けなかったりで、乳がんがかなり進行してから発見されるケースを多く目にしてきました。一方で、検診を受けて、自覚症状がないタイミングで病気が見つかることも多くあります。早い段階で見つかれば治せる可能性も高くなり、治療の規模や手術の範囲も小さくて済むことが多いです。また、今大丈夫だったからといって今後ずっと大丈夫、というものではないので、一度の検査で満足せずに定期的にチェックを受けることもとても大事なことです。

検査の種類はどのようなものがあるのでしょうか?

平松秀子院長 平松レディースクリニック4

基本的には、マンモグラフィと超音波検査です。どちらも優れた検査ではありますが、片方だけでは取り逃がしてしまうケースがあるので、両方を併用するべきというのが私の考えです。乳がんの病変には、しこりが出ずに、石灰化といって細かいカルシウムの沈着があるだけというケースもあります。これについてはマンモグラフィが有用です。反対に、40歳代以下に多いんですが、乳腺組織が豊富なためにマンモグラフィでは全体が真っ白に写ってしまって小さなしこりが判別できないことがあります。そういう場合は超音波検査が必要になってきます。もちろん、妊娠中はマンモグラフィはできないので超音波検査だけになりますし、ご本人の希望でどちらか1つだけという希望があれば無理に勧めることはしませんが、原則として両方受けていただきたいと思っています。

定期的な検診が何よりも大切

なぜ医師という職業を選んだのですか?

平松秀子院長 平松レディースクリニック5

父や祖父、叔父も医師だったため、小さい頃からめざしていました。父は大学病院勤務で、たまに病院へ出かけた際に白衣姿を見かけることがありました。仕事の内容についても聞いていましたし、自然と憧れを抱いていたんですね。乳腺を専門に選んだのは、この分野はやはり女性医師のほうが相談しやすいと思ったからです。病気になってしまったらおそらく皆さん医師の性別など関係なく、いわゆる「名医」に診てもらいたいと思われるのでしょうが、初期診断の段階では女性のほうが圧倒的に相談しやすいだろうと思うのです。私が医師になった当時、まだまだ女性医師は少なかったのですが、だからこそ特性を生かして仕事ができる分野なのではないかと考えました。

先生が診療で心がけていることはありますか?

わかりやすく説明することです。同じ内容でも言葉の選び方によってうまく伝わる時とそうでない時があるので、相手がきちんと理解しているかどうかを確認しながら説明するよう心がけています。現在当院では、女性の診療放射線技師がマンモグラフィを担当していますが、超音波検査については、私自身が行っています。患者さんとのコミュニケーションという面でも良いと思いますし、私自身も全体像をつかめるため、検査が終わった段階ですぐに説明ができるんです。そのほうが患者さんにも安心して受診していただけると考えています。

最後に、今後の展望について伺います。

平松秀子院長 平松レディースクリニック6

乳がんは、できるだけ早いうちに発見して治療すれば、決して怖い病気ではありません。日本では、これまで乳がん発症のピークは40~50代でしたが、近年は60代にもピークがあります。90歳代の患者さんでがんが見つかった例もあり、いくつになったら危険がなくなるということはありません。有効な予防法がない病気なだけに、やはり検診が大切です。患者さんが少しでも不安があった時、躊躇せずに来ていただけるような環境づくりに一層努めていきたいと考えています。

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