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加藤 賢吾 院長の独自取材記事

東海歯科醫院

(岡崎市/東岡崎駅)

最終更新日:2021/10/12

加藤賢吾院長 東海歯科醫院 main

名鉄東岡崎駅から徒歩10分ほどのところに「東海歯科醫院」はある。学校のような白いすっきりした建物が自然に町並みに溶け込んでいる。加藤賢吾院長は岡崎市出身で、大学病院や一般歯科で経験を積み、2002年に開院した。勤務医時代の師から贈られた「基本に忠実に」「常に修練すべし」との言葉を胸に患者と向き合い、できる範囲でベストな治療を心がけ、こつこつと地域の信頼を積み上げてきている。「患者さんと長いお付き合いをしていきたい」と話す加藤院長に、理念や心がけ、また先進機器の導入や滅菌対策へのこだわりなど、患者の目には触れないところにまで力を注ぐ理由も聞いてみた。

(取材日2017年3月8日)

大学病院補綴科での勉強を今の治療に生かす

開業までのご経緯や先生の得意分野を教えてください。

加藤賢吾院長 東海歯科醫院1

大学卒業後、大学病院に7年ほど勤務し学位を取得しました。大学病院では補綴科で、主に冠や入れ歯を作ったり、前歯の差し歯を入れたりなど、根っこの治療が終わった後の最終の形を作っていました。ですから今も補綴治療が一番得意ですね。院内に技工室をつくってあり、ちょっとした模型の修正や入れ歯の修理、仮歯の製作などは私が行っています。多くは技工所に外注しているのですが、ものによって得手不得手があるので複数の技工所と連携し、それぞれ得意なところに作製をお願いしたものを私が最終チェックをして調整します。大学病院に勤務した後は、中村健太郎先生の歯科医院に常勤として勤め、2002年、地元である岡崎市に開業しました。

補綴を専門にされた理由は何ですか?

正直に言いますと、補綴科の先輩に、ここに入れば月1回ゴルフに連れて行ってやると言われたからです(笑)。最初から補綴が得意だったわけではなく、実際に補綴科に入ると自分の未熟さを痛感し、このままではいけないと必死で勉強に励みました。お金をかけてでも全国各地の勉強会や講習会に参加し、休日も勉強で、次の休みは3ヵ月後という生活でした。人生で一番勉強しましたね。勤務医時代はドイツの講習会にも行かせていただき、座学だけではなく実習の経験も積んで手技を身に付けました。

診療で日々心がけておられることはどんなことでしょうか?

加藤賢吾院長 東海歯科醫院2

より良い治療を心がけるのは当然ですが、都会と比べるとこの地域では、「余分なことはしなくていい」という患者さんもおられます。これは私の苦い経験なのですが、大学病院にいるときに、入れ歯について患者さんと押し問答したことがあるんです。私は若かったこともあって大学病院の治療は最高だと考えており、患者さんのためだと思って「この入れ歯は絶対いいので、頑張って慣れてください」と勧めました。患者さんは使いたくないということで数時間話し合い、結局患者さんの意見を尊重したのですが、考えさせられました。開業してからは柔軟に対応しようと、患者さん主体の治療に変わってきましたね。患者さんが望むところを望むように治療する、あるいは「こういう治療法もあります」と選択肢は示すのですが、選択するのはあくまで患者さんです。メリット、デメリットもきちんと話し、納得していただいてから治療をスタートするようにしています。

滅菌対策や先進機器の導入にも力を注ぐ

患者はどんな方が来られますか?

加藤賢吾院長 東海歯科醫院3

岡崎市の方が多いですが、春日井市、名古屋市、岐阜県多治見市や静岡県からも来られます。インプラント治療の方は、遠方でも1~2ヵ月に1回はメンテナンスに通われますね。また「他院で神経を抜かないといけないと言われたけど、神経を残せませんか」とか「入れ歯にすると言われたけど何とかなりませんか」と「駆け込み寺」のような訴えも。当院は開業当初から看板広告は一切出していません。ここで一生やっていこうと考えたとき、広告で患者さんを集めるよりも、実際に来てくださった患者さんによかったと思われて、その紹介やクチコミで自然に患者さんが増えたほうが長いお付き合いができると思ったんです。ですから普通は開業半年ぐらいで軌道に乗るらしいのですが、うちは2年かかりましたね。うれしいのは「先生に任せるわ」と言われたとき。親しみやすい地域性もあるのかもしれませんが、長年通っていただき少しは信用されているのかなと感じます。

先生は滅菌消毒にも力を入れておられるとか。

勤務医時代の院長の中村先生のお父さんが外科の医師で滅菌はしっかりというお考えで、中村先生も力を入れていました。その影響も大きいですし、私自身、大学病院でその重要性を実感しました。当院はオートクレーブという高圧蒸気滅菌器を4台設置し、歯を削る道具などは通常の3~4倍の数を購入し、常に滅菌された器具が十分ある状態にしています。1本数十万円する器具もあるので初期投資がかかり、銀行の人に「外車でも買うんですか?」と聞かれたほどです(笑)。かつて器具の使い回しがニュースになったときは、「うちは最初から大丈夫だね」とスタッフと話していました。口に入れる器具はすべて滅菌し、アルコールで拭いてまた使う、ということはありません。

CTや口内スキャナーなど設備も先進のものを取り入れているのですね。

加藤賢吾院長 東海歯科醫院4

2016年に導入した口腔スキャナーは、自費診療になりますが口内をスキャニングして模型や製作物を作るものです。保険診療だとシリコンで型をとるため患者さんに噛んだまま数分間保持していただくのですが、スキャニングでは早いと40秒ほどで終わり、トータルでの時間短縮につながりますし、普通の型どりより精度が明らかに高いので、さらに精密な製作物が作製可能になりました。また、歯科用CTも導入しています。歯科用CTは、平面だけでなく断面が見られるので、骨の具合や神経の長さ、位置がわかり、親知らずの抜歯やインプラント治療の際には必要です。関節に焦点を絞って見られるので顎関節症の治療にも役立ちます。また小児の矯正治療では、大人の歯がどの位置にどれぐらいの大きさで埋まっているかわかりますので、当院で難しいケースはすぐ判断して専門病院に紹介できます。的確な診断が可能になり、私自身も安心ですね。

「基本に忠実」「常に修練すべし」が信念

滅菌対策や先進機器の導入など、先生がそこまでこだわるのはなぜでしょうか?

加藤賢吾院長 東海歯科醫院5

一つは、ここに来たらしっかり噛めて問題がないと患者さんに思っていただきたいから。もう一つは当院は清潔な環境できちんと治療していると堂々としていたいからです。私は、中村先生から贈られた「歯科治療は常に基本に忠実」「常に修練すべし」という言葉を大切にしています。一番大事なところだと考えています。例えば自分の実力が100なのに、背伸びをして120のことをしようとして、結果60ぐらいになってしまったということでは絶対にいけないんです。常に勉強を続け臨床経験を積み、その中で自分の実力を見極めることが肝心です。基本に忠実に、実力の範囲でできることを誠心誠意行い、それ以上のことは専門病院に紹介する、それが患者さんのために大切だと思っています。

先生はもともと歯科医師をめざされていたのですか?

いいえ。実家は石材業で私は長男なのですが、高校3年生のとき推薦を受けて愛知学院大学歯学部に進みました。事後報告で父には怒られたのですが、今はこの道に進んでよかったなあと思います。やりがいを感じるのは、患者さんが満足されたときと、型を取って口内に製作物を入れたときにぴったりだったとき。型取りの精度はかなり細かく追求していますので、患者さんを待たせて再調整して、ということがあまりないんです。別に特にすごい技術ではなくて、それこそ石こうを練るところから水との構成比をきちんと守るなど基本に忠実なだけなんです。ちなみに、当院の表の「東海歯科醫院」の文字は、父が石に彫ってくれたものを起こしたもの。受付カウンターの天板や、トイレの床、玄関にも石を使っており、坪庭には石のオブジェもあるんですよ。

最後に今後の展望をお願いします。

加藤賢吾院長 東海歯科醫院6

やはり「基本に忠実」ですね。私だけでなく、ベテランぞろいのスタッフや歯科技工士がこれを守り、責任を持って仕事をしてくれていますので感謝しています。ですから展望というのは特になくて、今まで通りやっていければいいかなと考えています。これからも、患者さんに快適に毎日を過ごしていただけるよう、口内環境を整えていきたいですね。当院を含め、今は歯科医院全体が予防や治療後のメンテナンスに力を入れていますので、治療のためでなくとも普段から歯科医院に通っていただけるといいかなと思います。

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