植月 祐次 院長の独自取材記事
うえつきクリニック
(天理市/天理駅)
最終更新日:2024/10/30

最寄り駅は、万葉まほろば線と近鉄天理線の天理駅。天理市役所に程近い、奈良交通バスの天理市庁舎前停留所のそばに「うえつきクリニック」はある。2016年に開業し、2024年9月に拡張リニューアルを行った。広くなった待合室で待ち時間を快適に過ごすことができそうだ。植月祐次(ひろつぐ)院長は大学病院や基幹病院で泌尿器科医として多数の経験を積み、その経験をもとにどんな疑問にも一言一言丁寧にハキハキ答えてくれた。「難しい治療の時、自分の治療で患者さんが合併症を起こしたり、リスクが高くなったりするのは絶対に避けたかった、そのため一生懸命勉強して自分に自信をつけた」と語る植月院長。努力と経験から得た多くの知見を生かし日々の診療に臨む植月院長に、同院の取り組みについて話を聞いた。
(取材日2024年9月26日)
泌尿器科診療の前線で、先進的な治療に従事
医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

子どもの頃から、将来は人の役に立つ仕事をしたいという気持ちがあり、そんな私にとって医師は社会に貢献できる仕事として最初に思い浮かんだ職業でした。実は小さい頃から病気がちで、乳幼児の時は川崎病で入院しましたし、3歳の時は盲腸になったのですがなかなか診断がつかず、何ヵ月も入院したあげく腹膜炎になって一時は生命が危ないところでした。トラックとの交通事故で骨折し全治3ヵ月の重傷を負った経験もあります。病気がちだった一方、元気いっぱいなやんちゃ坊主だったため親は大変だったと思いますね。病院に何度もお世話になるうちに、「医師ってかっこいい」と感じるようになっていったのでしょう。小学生頃から自然に医師になろうと思っていました。
泌尿器科を選んだのはなぜでしょうか?
私が医学生だった二十数年前は、医師が多すぎていずれ余るだろうといわれており、なるべく安定した手堅い領域に進みたいと考えていました。もともと手術に興味があり、外科手技がある診療科が希望でした。そのため、一番医師数が少なく、かつ手術もできる泌尿器科を選んだわけです。今でこそ知名度は上がりましたが、当時の泌尿器科の世間的なイメージは、「行くのが恥ずかしい」「男性だけが行く診療科」という感じで、私の親でさえ「何か他のもっと良さげな科を選べばいいのに」と言ったものです。結果的に、ちょうど泌尿器領域において腹腔鏡やロボット支援手術など外科手技の進化が目覚ましかった時代に変化し、私は手術が得意だったため時代の先端で大いにやりがいがある仕事に就けて、泌尿器科を選んで大正解だと思いましたね。
手術が得意ということは、手先が器用だったんですか?

もちろん、基本的な手技はできないといけないのですが、手術で大切なことは、度胸があって肝が据わっているかどうかだと思います。自分がなんとかしないと、今目の前にいるこの患者さんは死んでしまうという状況下では、手先が器用か器用でないかというより、その緊迫した場面で正しく手が動くか動かないか、そこで動じずに冷静になれるかのほうがはるかに重要です。普段は優秀なのに、そこでパニックになっていつもの力を出せないという医師もよくいます。幸い、自分はそういった緊迫した場面でも動じないタイプだったので、手術に向いていました。逆説的になりますが、私はある意味「ビビリ」なので、自分の手術で患者さんが合併症を起こしたり、生命が危険になったりするのは絶対に避けたかった。そのため一生懸命勉強して、自分に自信をつけました。精いっぱい努力したという根拠のある自信に裏打ちされていたからこそ、冷静に対応できたのだと思います。
おねしょの中に重大な疾患が隠れている場合も
こちらのクリニックの診療内容や患者層を教えてください。

大学病院や基幹病院で経験を積んだ後、生まれ故郷の地域の皆さんのためにその経験を生かしたいという思いを抱き、2016年に当院を開業しました。診療内容は、尿管、膀胱、前立腺、尿道の異常、性器の異常についての検査・治療が中心となります。患者層は、やはり高齢者が多いですね。ただ、意外と若い方もいらっしゃって、いろいろな排尿のお悩みや、性病のご相談などもあります。あと、当院の特徴としては、おねしょや小児の包茎の相談など、お子さんに関するお悩みも多いです。小児の泌尿器関連は小児科の先生も、泌尿器科の先生も専門的に診ている先生が少なく、受診先を探すのが難しいんですよ。当院ではそういった小児の泌尿器疾患も積極的に受け入れています。
子どもの泌尿器疾患で気をつけたほうがいいことはありますか?
そうですね、例を挙げると、おねしょなど排尿関連で気になることがあれば、些細なことでも結構ですので早めに相談していただいたほうがいいと思います。かなりまれですが、おねしょの中にも重大な疾患が隠れていることがあります。例えば、膀胱の神経の問題で残尿が多くなってしまい、放っておいたら将来的に腎不全になるリスクもあります。小学生になっても、また未就学児の場合昼間にもお漏らしをしてしまうことがあれば、受診をお勧めします。また親御さんによくお伝えしているのは、おねしょは夜尿症という病気であって、お子さんにとってもストレスがとても大きいものであるということ。生活習慣の改善が必要な場合は別ですが、そうでなければ怒らないであげてほしいですね。あとは、親御さんだけでなくお子さん自身に治したいという思いを持ってもらうことも大切に働きかけています。
先生が考えるクリニックの強みとは何でしょう。

私は大学病院や基幹病院で、あらゆる泌尿器疾患を診てきましたので、泌尿器疾患の診療について大きな自信を持っています。やはり実際の症例を目の前で経験していることは大きいですし、より良い診断や治療につながると思います。また、手術件数が豊富ですので、万が一手術が必要な場合はそのタイミングもわかりますし、紹介先の病院のネットワークも強固なものを持っています。また院内で各種検査も実施できるよう、超音波検査装置や膀胱内視鏡、頻尿・尿失禁治療装置などの機器をそろえておりますので、何かお悩みがあればお気軽にご相談ください。また、スタッフも、患者さんに気持ち良く受診していただけるよう、細かいところにも心を配っています。スタッフ同士も仲が良く、よく一緒に食事に行っていて、先日はみんなで熊野旅行に行ったんですよ。
「泌尿器はうえつきクリニックに」と頼られる存在に
プライベートでは何か趣味をお持ちですか?

ブラジリアン柔術という柔道に似た格闘技をど素人状態で44歳から始めて、7年続けています。週に3、4回、仕事後20時から22時過ぎまで、結構ハードにやっています。得意技は「三角絞め」でしょうか。ブラジリアン柔術には技が何百種類とあって、この技がきたらこう返す、といったようにいろいろ考えながら体を動かし汗もかけるので、こんなに良い健康法はないですね。きっかけは、自分の子どもに格闘技をさせたいと思って一緒に見学に行った時、「お父さんもどうですか?」と言われて、息子と一緒に始めました。
お子さんと一緒の趣味とはいいですね。お子さんはおいくつですか?
子どもは上から20歳、高校2年生、中学3年生ですね。三男はそのブラジリアン柔術を一緒に3年ぐらいやってくれたのですが、塾に行くからということでやめてしまいました。医師になって私を継ぐようなことを言っています。子どもたちは好きなこと、やりたいことをやればいいと思っているので、強制はしないですね。ただ、三男の性格的には医師に向いていると思います。医師には向き不向きが大事です。今の若い医師や医学生たちを見ていると、勉強ができたから医学部に来たという人が多いように感じます。でも医師の世界は勉強ができる、できないというよりも、やっぱりコミュニケーション能力が一番だと思います。患者さんや一緒に仕事をする医療従事者、いろいろな価値観やバックグラウンドを持つ人たちとうまくやっていく必要があります。
今後の抱負をお聞かせください。

おかげさまで患者さんの数も増え、2024年9月に改装してスペースを増やし、待合室を広げて診察室も1つ増やしました。泌尿器科は天理市内でも数が少ないので、今後もそういった当院の強みを生かしながら、地域に根差した泌尿器専門クリニックとして、地元住民の方の健康を支援していきたいです。ときには混雑してお待たせしてしまうこともありますが、「泌尿器の悩みはここに行ったらいいよ」と皆さまに言っていただける、そんな頼りがいのあるクリニックにしていきたいですね。