本多 宏明 院長の独自取材記事
本多整形外科
(京都市山科区/椥辻駅)
最終更新日:2025/07/11

京都市営地下鉄東西線椥辻駅から徒歩15分ほどの住宅街に立つ「本多整形外科」。院内はバリアフリー設計になっており、車いすに乗ったまま診察室まで入ることが可能。院長の本多宏明先生は、整形外科の医師として複数の病院で研鑽。全身の骨や関節に対する手術に携わってきた経験豊富なドクターだ。介護や寝たきり予防につながる骨粗しょう症の治療や、腰部脊柱管狭窄症のリハビリテーションや薬などによる保存治療にも取り組んでいる。数多くの症例を診てきた経験を生かして、手術をしない保存的治療や生活指導に重点を置きつつサポートする。「特に生活面の指導を行う際には、患者さんのお気持ちに配慮して丁寧に説明するよう努めています」と穏やかに語る本多院長に、これまでの経歴から今後の展望に至るまで幅広く聞いた。
(取材日2020年7月14日)
豊富な経験を生かし、的確な診断や治療を心がける
まずは先生のご経歴をお聞かせください。

京都府立医科大学を卒業後、同大学整形外科に入局。その後、済生会滋賀県病院、京都第二赤十字病院、愛生会山科病院など整形外科の患者さんが多い病院で研鑽を積みました。勤務医時代には特に多くの患者さんが来院される月曜日の新患の外来も担当していましたので、かなりの数の患者さんを診てきたほうだと思いますね。整形外科疾患の治療では、手術をしない保存的治療を選択するケースが多いのですが、全身の骨や関節に対する手術も一通り経験しました。ただ私自身、手術以外の治療法にも魅力を感じていまして。開業すれば必然的にそうした治療法がメインになります。自分のめざす医療を地域の患者さんに提供できるのではないかと思い、開業に踏み切りました。
開業にあたり、この地を選ばれたのはなぜですか?
開業を決意した時に勤めていたのが愛生会山科病院で、この地域にお住まいの患者さんも大勢いらっしゃっていました。引き続きそれらの患者さんをお支えしたいという思いは強かったですね。ここは比較的人口密度の高い地域。高齢化も進んでいますが、子育て世代のご家族も多くいらっしゃいます。開業にあたって特にこだわったのは、検査や診断を迅速に行うこと。大規模病院では、初診から診断まで数週間かかることもありますよね。当院でしたら、来院した当日に検査を行い、病態を速やかに診断することができます。もちろん混雑状況によってはお待たせすることもありますが、地域に密着したクリニックならではの迅速な対応を心がけていますね。
患者層はいかがですか?

お子さんからご高齢の方まで幅広い年齢層の患者さんに来ていただいています。例えば、成長期のお子さんで何ヵ月も腰痛が治まらない場合、腰の骨の疲労骨折の一種である腰椎分離症を発症している可能性も。病状が進行すると治りも悪くなるため、早めに受診してほしいですね。また、関節ネズミ(関節内遊離体)と呼ばれる障害も初期段階では自覚症状がないことが多いため、注意が必要。当院では、野球少年を対象に検診を行い、症状のない子にも検査を実施しています。
他に多い症状は?
膝や腰の痛みを訴える患者さんも多いですね。私は勤務医時代、肩や膝、腰椎、股関節の手術も多く行ってきました。そうした経験を生かし、手術を行う必要がある症例かどうかを見極め、治療法を的確に判断できるように努めています。もし手術が必要であれば、勤務医時代の人脈を生かして信頼できる先生に紹介させていただきます。
保存的治療や生活指導に尽力。丁寧な説明を心がける
保存的治療や生活指導に力を入れていらっしゃるようですね。

従来なら手術を必要とする症例でも、保存的治療や適切な指導により回復が見込めることがあります。例えば、アキレス腱断裂も手術をせずにギプスや装具を使って治療することが可能ですし、上腕骨骨折などの症例でも保存的治療を選択できます。上腕骨骨折の場合、三角巾とバストバンドで患部を固定するとともに、適切なリハビリテーションを実施するなら、骨折部のずれがあっても手術をせずに治療できる可能性があるんです。また整形外科疾患では、食事や運動などの生活習慣を改善することもも大切。私は普段からお一人お一人時間をかけて診療するよう心がけていますが、特に生活面の指導を行う際には、患者さんのお気持ちに配慮して丁寧に説明するよう努めていますね。
エックス線装置など診療設備も充実していますね。
患部に関する多くの情報が得られることから、エックス線やエコーを使った画像診断にはこだわっています。エックス線装置も先端の物を導入。開業当初は診療放射線技師も在籍していたのですが、現在は私自ら対応しています。エックス線撮影の際には患部をいくつかの方向から撮るのですが、見たい部位によって撮る角度を変える必要も。自ら行うことで微調整しやすいですし、モニターに反映された画像を確認しながら、その場で撮影する枚数を増やしたりすることもできます。納得いくまで撮影できるので、私自身意欲的に行わせていただいていますね。さらに、クリニックの2階にはリハビリテーション室も設置。各地の展示会場に足を運び、数あるリハビリ機器の中から私が選んだ物を導入しています。
スタッフさんの体制についてもお聞かせいただけますか?

現在、約20人のスタッフが在籍しており、常時、看護師2~3人、リハビリ助手2~3人、受付スタッフ2~3人の体制で診療を行っています。さらに、各種リハビリ機器を備えたリハビリ室には、鍼灸や柔道整復などの知識を持つスタッフも配置。そうしたスタッフは体のツボにも通じていますので、低周波治療器などを用いた施術も適切に行うことができると考えています。開業から4年がたち、未経験から始めたスタッフも一通り仕事を覚えてくれました。スタッフたちは私の意図をくみ取って自主的に行動してくれるので、本当に助かっています。
質の高い医療で、患者の健康維持をサポートしたい
先生はなぜ医師をめざされたのですか?

親は歯科医師だったのですが、兄が先に歯科の道に進んだため、私は医学の道をめざすことに。整形外科を専門に選んだのは、手先の器用さを生かせると思ったからです。私は幼い頃から何かを作ったりするのが好きで、幼稚園の年中くらいの頃には、のこぎりや金づちを使って木を切ったり組み立てたりしていました。小学生の頃は、夏休みの工作でクラスの代表に選んでいただくことも多かったですね。また機械いじりが好きで、大学時代にはバイクのメンテナンスやタイヤ交換まで自分でやっていました。整形外科の手術では繊細な技術が求められることも多いため、手先の器用さは大切だと思うのです。整形外科の医師として患者さんのお役に立てることにやりがいを感じています。
趣味や休日の過ごし方についても教えてください。
私は趣味にも凝ってしまう傾向がありまして。バイクはもちろん、釣りも好きで、以前は車の上にボートを積んで、富山や四国のダム、北海道の渓流など日本各地を行き巡っていました。また渓流釣りやマス釣りを楽しむため、アメリカやニュージーランドまで行ったことさえあります。釣り糸の結び方をヒントに、肩関節を手術する際の糸を縫う独自の方法を考案したこともあるんです。しかし、済生会滋賀県病院に勤務していた頃から、多忙のため釣りなどの趣味を楽しむ余裕がなくなってしまいまして。今は休日は家族と過ごすことが多いですね。子どもたちと遊んだり、家族で近場の温泉に出かけたりしてリフレッシュしています。
最後に、今後の展望や読者に向けたメッセージをお願いします。

現在当院に通ってくださっている患者さんの健康維持をサポートすることに、引き続き力を入れていきたいですね。また、肩や腰、膝などの痛みを訴える患者さんに対して、いっそう質の高い治療を提供していきたいとも考えています。実は、新型コロナウイルス感染症の影響がなかったら、理学療法士を雇用し、骨や関節などの運動器疾患を患う患者さんに対する運動器リハビリテーションをスタートする予定だったんです。今後、感染症の流行が落ち着き次第、運動器リハビリにも取り組んでいきたいですね。開業から4年が経過し、スタッフたちも経験を積み、診療体制も整ってきました。質の高い医療を提供し、患者さんから「来て良かった」と感じてもらえるようなクリニックとなることをめざしています。