松岡 正敬 院長の独自取材記事
松岡醫院
(世田谷区/千歳船橋駅)
最終更新日:2024/12/12
世田谷区桜丘、世田谷通り沿いの医療モール2階に「松岡醫院」はある。あえて旧字体を用い、レトロな書体で描かれたロゴが印象的なエントランスを抜けると、どこかクラシックホテルのロビーのようなシックな雰囲気。「患者さんが安らげる空間をつくりたかったのです」と笑う松岡正敬院長自らが、院内のインテリアや内装をセレクトしたそうだ。地域のかかりつけ医として家族ぐるみでかかる患者も多い同院は、風邪や生活習慣病などの一般内科から、松岡院長が専門とする脳神経内科の分野では頭痛や物忘れ、めまい、しびれといった症状まで幅広く対応している。豊富な診療経験を生かし、医療の窓口としての役割も担う同院について、その特徴や診療への思いなどを松岡院長に聞いた。
(取材日2024年8月20日)
照明や採光にも配慮し、自ら内装を設計
2017年に開業されたクリニックと伺いました。
はい。赤坂や日比谷、六本木など、都心の総合病院やクリニックで勤務していましたが、そろそろ開業をと考えていたところ、ある人を介してこのビルを紹介されました。住宅街の中で地域のかかりつけとして医療貢献したいとの思いもあり、また自宅も近いので、この場所での開業を決めました。都心ではビジネスパーソンを中心に診てきましたが、こちらではご家族皆さんを診させていただくことも多く、かかりつけ医として頼りにされているのをとてもうれしく思っています。私の専門は脳神経内科で、難しい病気をお持ちの患者さんも多く診てきましたが、地域のクリニックとして幅広い症状を診察しています。風邪や腹痛といった一般内科の症状から生活習慣病、頭痛やめまい、しびれ、物忘れなど、どのような症状やお悩みでも気軽に相談に来ていただきたいですね。
くつろげる待合室を中心に、おしゃれですてきなインテリアですね。
ありがとうございます。既存のクリニックのイメージを払拭したいと思い、設計から関わりました。患者さんが少しでも安らげるよう、照明や採光、建具などにこだわりました。待合室の椅子はダイニング用なのですが、脚を切って座りやすい高さにしています。壁もあえて1面だけ色味を変え、温かみを持たせました。実は父が新橋で1956年から約60年間、86歳まで開業医をしていたので、父の医院をオマージュした部分もいくつかあります。診察室の壁に配したガラスブロックもその一つです。外から診察室の様子は見えないけれど、診察室からは外の光や人の気配を感じられ、患者さんの緊張感も軽減できるのではないかと思い取り入れました。待合室の絵も父の医院にあったもので、古くなっていた額を今風の物に変えて飾っています。医院の表記については、少し悩んだのですが、父の医院を継承する意味も込めてあえて旧字体を使った表記を採用しました。
こちらのクリニックの特徴はどのようなものでしょうか。
特徴がないのが特徴かもしれません。医師になって約40年、いろいろな症状の方を診察してきた経験がありますので、それらを生かしながら、どんな訴えの方でもよくお話を伺って、解決に至る道筋をお示しすることができます。ご自身で症状を調べられて、それに当てはまる専門の先生をお探しになる方もいると思いますが、まずは私のところに来ていただければ、当院で診られるものは可能な限り対応し、専門的な診療を要する時は適した先生を紹介します。長年の診療経験から、いろいろな病院や各診療科の先生方とのネットワークができているので、適切かつ速やかに紹介できることは当院の強みの一つです。
慢性的な頭痛や不調などでも、気軽に相談できる場を
脳神経内科を専門とされた理由を教えてください。
恩師の人柄に惹かれたのが大きなきっかけです。恩師は「私に10年時間をくれ。そうすれば君を立派な医師にする」と話してくださいました。そのようなことを話す教授は他にいなかったと思います。それでこの先生についていこうと決めたのです。実際、10年後に博士号も取得できました。脳神経内科の疾患はまだわからないことも多いのですが、学問としてとても面白かったですね。恩師からは脳神経内科は全身のどのような症状でも診ていくことが重要と常に教えられ、この教えは今もとても役立っていると感じています。
実際、頭痛に悩んでいる方は多いようですね。
最近はスマートフォンやパソコンの長時間使用を主な原因とする「緊張型頭痛」の症状に悩まれている方が多いですね。肩凝りの延長線上にある頭痛ですが、慢性的に痛み「市販薬でごまかしていたけれどなかなか治らないので、専門の先生に診てもらいたい」と当院にいらっしゃる方もいます。低年齢化も進んでいて、小学生から頭痛に悩まされている子も増えているようです。頭の表面を走っている血管の問題で起こる「片頭痛」は、注射薬を用いた予防薬があるのですが、この薬は専門の医師でなければ取り扱えないため、調べられて当院にいらっしゃる方が増えています。頭痛を専門的に診ることができますが、当院は一般内科も幅広く診療できますので、脳神経内科にかかっていいのか悩む時も気軽にご相談ください。
頭痛の相談があった際、どのように治療を進めるのでしょうか?
問診や診察から原因を探り、さまざまにある頭痛へのアプローチ方法の中から、その方に合った痛みのコントロールの仕方を見つけていきます。今は医療の進歩により、多くの方法が開発されています。当院では従来の投薬治療に加え、月に1度の注射で片頭痛発作の発生を抑制していくための抗CGRP抗体製剤注射や、群発頭痛に対する在宅酸素療法なども導入しています。選択肢を幅広く用意していますので、これまでの治療で改善の実感が持てなかった方でも、諦めることなく前向きにご相談いただきたいです。また、市販薬で痛みの解消につながるけれど不安が残る方や、専門のクリニックに相談するほどではないけれど不調を感じる方なども、お一人お一人に合わせてコントロール方法を提案しますので、気負わずにいらしてくださいね。
どのような症状・人でも、安心して相談してほしい
診療の際に心がけていらっしゃることは?
患者さんと同じ立場、同じ目線に立つことです。心がけるというよりは自然とそうなってしまうのですが(笑)。医師に対して緊張してしまう方もいると思うのですが、私は昔から性格的に「先生と患者」という立場になって頭ごなしに何かを言うようなことができず、同じ目線でお話しさせていただきますので、安心してご相談ください。長年続けてきたこの診療スタイルが患者さんの信頼につながっていたら、ありがたい限りです。患者さんのお話をよく聞くことも大事にしています。患者さんとの会話から生活背景を知ることは、適切な治療を提案するために欠かせません。内装にこだわったのも、できるだけ話しやすい雰囲気をつくり、患者さんに安心してどのようなことでもお話ししていただきたいと願ってのことなのです。
趣味や健康の秘訣があれば教えてください。
よく食べ、よく飲むことでしょうか。フレンチのシェフと焼き鳥をいただいたりと、気の合う仲間と一緒に楽しんでいます。幸いあまり体型が変わらない体質のようで、高校時代のセーターを今でも着ているほど。あと、母がファッションデザイナーで家にファッション誌が山積みになっていたり、ファッションショーに連れて行ってもらったりしたこともあってか、ファッションも好きですね。以前知人に誘われてテーラードスーツ姿の男性の写真集のモデルになったこともあるのですよ。
最後に今後の展望をお願いいたします。
当院は2024年の10月で開業から丸8年になります。お子さん、ご両親、おじいちゃんおばあちゃんと、ご家族で来てくださる方が増え、それがかかりつけ医としてとてもうれしく、今後も継続してこの地域に暮らす方々のお役に立ちたいと思っています。広さもあるクリニックですから、将来的に別の診療科の医師と協力して、さらに幅広い診療をしていきたいという考えもあります。実は私を慕ってくれている甥が整形外科の医師として大学病院に勤務しているのです。神経内科と整形外科は、ヘルニアやしびれの治療などを連携して診療することも多いですから、今後、当院で協力して診療を行っていくことがあるかもしれません。これからも地域の方々の悩みに幅広く応えられるように努めていきます。