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栢原 尚之 院長の独自取材記事

かやはらクリニック

(尼崎市/杭瀬駅)

最終更新日:2020/04/01

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阪神本線杭瀬駅から徒歩7分、商店街に軒を連ねる「かやはらクリニック」。2016年に院長の栢原尚之(かやはら・たかゆき)先生が開業した、心の病や認知症の診療を行うクリニックだ。心療内科には珍しく予約診療をとっておらず、調子が優れず不安なときに飛び込みで診てもらえるのも特徴。精神的な病が増えたといわれる現代、同クリニックではどのような診療を行っているのか。また、認知症初期に現れるサインなどについて、栢原院長にじっくりと聞いてみた。
(取材日2019年3月8日)

心の病で悩む人たちの力になりたい

もともとは内科が専門だったそうですね。なぜ精神科に変更されたのでしょう?

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私の父が愛媛で内科の医師をしていて、将来的には医院を継いでほしいと思っているのを知っていました。ですから大阪の医科大学に通い内科の道に進んだのですが、勤務医として働き始めしばらくたった頃、心の病で悩む人の姿を見て、「この方々の助けになれたら」と考えるようになったのです。精神科の道に変えたい旨を親に話したところ、親はやはり内科でいてほしいと。そうこうしながら愛媛に戻り、市民病院などで勤めた後、父の医院で働き始めたのです。しかし精神科医師になりたい気持ちはますます募り、再度親に相談。その頃には妻子がいたこともあり、やはり反対され……。そこでとうとう父の医院を離れることを決め、なんとか精神科の医師になることを認めてもらったのがいきさつです。精神科の医師になれるとわかったときには、「これからは心の病で悩む人たちのために頑張ろう」と強く思いました。

尼崎市で開業した経緯を教えてください。

内科から精神科への変更の承諾を得てすぐに大学時代の後輩に連絡をとり、兵庫県丹波市の精神科を紹介してもらいました。それを機に、また関西に戻ってくることになったのです。子ども時代は京都で育ち、大学も西宮だったので、関西には戻ってきたという感覚でした。精神科に入局した私は、その病院で先輩医師の診療を手本にしながら、精神科の診療経験を積んでいきました。丹波の病院で5年ほど勤務したのち、内科で働いていた尼崎市杭瀬の大隈病院からお声がけをいただき、心療内科・精神科のあるおおくまクリニックで働くことに。そこで8年がたった頃、開業してはどうかと紹介されたのが、この場所だったのです。おおくまクリニックがすぐ近所で開業することに賛成してくれたこともあり、3年前にここで「かやはらクリニック」を開院することができました。

どのような症状の患者さんが多く来られますか?

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当クリニックは、大きく分けると認知症と精神疾患の2つの診療が主になります。認知症の場合はご存知のとおり、ほとんどが高齢者です。精神疾患とカテゴライズされる病気でよく知られているのが、うつ病やパニック障害、統合失調症など。うつ病は幅広い年齢層の方がいますが、当院では40代~50代の方が多いですね。うつ病の患者さんの大半は、人間関係が原因となっています。それに比べ、統合失調症などは通常10代~30代の若い方が発症しやすい病気です。昔に比べて、精神的な病気をしっかり病気として認識する人が増え、精神が不安な状態を隠して閉じこもることなく、医療機関に来てくれるようになりました。

患者を安心させることから治療が始まる

うつ病や統合失調症の患者さんはどのように診療が進むのでしょうか?

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診療にはいろいろな方法がありますが、うつ病や、統合失調症などの患者さんにまずお勧めするのは、「少しお休みしましょう」ということ。体と心がゆっくりと休息できれば良くなることもあります。その上で、薬を服用することのメリットを説明します。これらの病気は、薬で改善が期待できます。患者さんは病気を治したくてクリニックを訪れるのですから、まずは治せる見込みがあるんだということをしっかりとお伝えし、安心してもらえるようにします。なかでもうつ病の方々は、そのつらさから抜け出したいと切実に思われている方が多く、私の説明もしっかりと聞いてくれますし、処方した薬もきちんと飲んでくれることが多いですね。

病気を自覚していない患者さんの場合は、どのように診療するのですか?

ご自身での自覚がない場合、ご家族の方が患者さんを連れて来院されるパターンが多いです。認知症のほか、被害妄想を患っている方などがそうです。まずは患者さんとお話をしてみますが、「無理やり連れて来られた」、「どこも悪くないのに、薬なんか必要ない」と、病気であることを否定されることがほとんどです。そういった場合はできるだけ優しく、「このお薬を飲んでいると、つらさがなくなりますよ」など、何回かに分けて少しずつ説得します。病というのは患者さんだけでなく、ご家族の生活にも関わってきます。ですから、病識のない患者さんの場合には、ご家族の方のニーズを優先させることが多くなります。

「もしかして認知症?」と思ったときのサインはありますか?

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買い物に行って、同じものを買ってくる、お勘定を間違える、ということが度重なったら要チェックです。それが加齢により自然に起こる物忘れなのか、認知症なのかを検査する必要があります。認知症テストを行い、その点数が低いようなら画像検査を実施。85歳以上になると、4割以上の方が認知能力の低下がみられます。認知症はご本人はもちろん家族の方々も、病気を認めたくないという気持ちがあります。しかし早期に発見し、投薬治療を始めれば、進行を抑えることにつながる可能性があるのです。ですから、認知症のサインをキャッチしたときは、できるだけ早めの受診をお勧めします。

地域を支え、認知症患者に医療を提供していく

在宅医療にも注力されていると聞きました。

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重度の認知症や引きこもり、パニック障害の方を対象に、訪問診療をしています。これは勤務医時代から行っていまして、一般のご家庭だけではなく、老人ホーム、高齢者住宅なども訪問しています。この地域には高齢者が非常に多く、中にはお金がなかったり、家族がいないなどの理由が重なり、認知症がかなり進んでしまっている方もいらっしゃいます。尼崎市の認知症サポート医をしているので、尼崎市と連絡をとり、医療サービスを受けられずにいる認知症患者さんがきちんとケアを受けられるよう、医療の場に導くお手伝いをしています。

栢原院長の診療方針を教えてください。

同じ疾患の患者さんでも、進行度合いをはじめ、ご本人の性格、そして置かれている生活状況が異なります。中小企業にお勤めの方は、大企業のように長期の休暇を取ることが難しいため、薬を服用しながら勤務を続けなければなりません。また大企業にお勤めであったとしても、病気が治った時点で復職しなければならず、それが新たな不安となり、のしかかってくることもあります。ですから、マニュアルに沿った治療を行うだけではなく、患者さんそれぞれのバックグラウンドや性格などに合わせた治療が必要だと思っています。そのためには、私もまた患者さん一人ひとりについて、よく知る必要があります。ですからいつも患者さんが心を開いてくれるよう考えながら、診察をしています。

悩んでいる方や、そのご家族にメッセージをお願いします。

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たいていの方は、通常自分の精神状態を気にすることはありません。しかし、精神に負担がかかってくると、つらい、イライラする、嫌だな、といった気持ちになります。このようなシグナルがあり、「いつもの自分と違う」と感じたら、相談に来てください。当院は皆さんが不安になった時、いつでもお話を伺えるように予約診療を行っておりません。これは私が内科の医師として救急のある病院に勤めていた時に、“すぐに診察をする”ことの重要さを実感したからです。また、ご家族が認知症になったものの、そこから先にサポートを受けるための手続きなどがわからないという方もたくさんいらっしゃいます。そんな時もまずは、一度診察に訪れてください。皆さんのお役に立てればと思います。

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