早期発見と適切な治療が重要な
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニック
(大阪市中央区/心斎橋駅)
最終更新日:2025/11/14
- 保険診療
喫煙者だけの病気と思われがちなCOPD(慢性閉塞性肺疾患)。しかし、この疾患の発症には、生活環境や体調管理も大きく影響する。また、進行性のため、一度発症すると元の健康な肺に戻ることはなく、早期発見と適切な治療によって症状の進行を遅らせることが重要になる。「大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニック」の鳳山絢乃院長は、呼吸器疾患を専門に臨床経験を積んできた日本呼吸器学会呼吸器専門医で、適切な診断と、症状や患者の生活スタイルに合わせた治療の実践に力を入れている。「COPDは肺だけでなく、全身的な合併症を引き起こす可能性もあるので、軽視せず呼吸器専門医の診断を受けることが大切です」と訴える鳳山院長に、COPDの原因や症状、治療法、予防法などについて詳しく聞いた。
(取材日2025年10月23日)
目次
呼吸器疾患のエキスパートによる「今ある症状をこれ以上悪化させない」ための診断・治療・予防を
- QCOPDとは、どのような病気ですか?
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A
▲呼吸に関する気になる症状があれば、呼吸器内科の受診の検討を
COPDは、以前は慢性気管支炎や肺気腫といった名前で個別に呼ばれていた病気をまとめたものです。これらの疾患はすべて、肺に慢性的な炎症や構造の破壊をもたらすことで呼吸機能が徐々に低下していく、という共通の特徴を持っています。COPDは一度発症すると元の健康な肺に戻ることはありませんが、早期に発見し適切な治療や生活習慣の見直しを行うことで進行を食い止め、生活の質(QOL)を保つことにつなげられます。反対に、放置してしまうと肺の病気だけでなく心臓病・骨粗しょう症・うつ病などの全身的な合併症を引き起こす可能性もあります。単なる「咳や息切れ」と軽視せず、呼吸器専門医の診断を受けることが大切です。
- QCOPDの主な原因と症状を教えてください。
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A
▲患者目線での丁寧な説明を行う
主な原因は、長年にわたる喫煙習慣です。タバコの煙に含まれる有害物質が気道や肺胞に慢性的なダメージを与えることで、肺が本来の働きを徐々に失っていきます。そのため、COPDは「肺の生活習慣病」とも呼ばれているのです。特に中高年の方で10年以上の喫煙歴があり、咳が続く・痰が増えた・階段を上ると息が切れるといった症状を感じている場合は、COPDの可能性があります。病気はゆっくりと進行するため、症状に気づいたときにはすでに肺機能がかなり低下していることも少なくありません。特に肺気腫は自覚症状が出にくく、静かに進行します。上記の症状が見られたら、早めに呼吸器内科を受診することをお勧めします。
- QCOPDの診断方法について教えてください。
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A
▲肺の換気機能を測定する、スパイロメーター
診断には、問診・肺機能検査・画像検査・CATという症状評価テストの4つの柱があります。中でも重要なのが肺機能検査(スパイロメトリー)です。この検査では呼吸の力・肺の容量・気道がどの程度狭くなっているかを客観的に評価します。また、肺の構造変化を確認するため、胸部エックス線検査や胸部CTも行います。COPDは日常生活における症状の感じ方も大切なので、CATという質問を定期的に行うことで、病状の変化や治療の経過を把握できます。COPDは早期に適切に診断することで、進行を遅らせるための治療や生活指導を始めることが可能です。「年のせい」と思っていた息切れや咳が、実はCOPDのサインかもしれません。
- QCOPDの治療法にはどのようなものがありますか?
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A
▲禁煙や、症状に合った薬を用いて治療を行う
症状の改善をめざし、悪化させないことが基本方針です。症状や生活スタイルに応じて治療法を組み合わせています。COPDの最大の原因は喫煙、これをやめることが治療の第一歩です。自力でやめられない場合は禁煙専門の外来がお勧めです。薬物療法では気管支を拡げるための薬を中心に使用します。COPDが進行すると酸素吸入が必要になります。酸素濃縮器を使って自宅で24時間酸素を吸入しますが、携帯用ボンベがあれば外出も可能です。COPDの方は動くと息が切れるから運動しない、さらに筋力が落ちて動けなくなる、という悪循環に陥りがちです。この予防のために定期通院や、ご自宅での運動に気をつけていただく必要があります。
- QCOPDを予防するために、日常生活でできることはありますか?
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A
▲日々の健康管理もCOPD予防に大きく関わる
COPDは生活習慣と密接に結びついており、発症のリスクを下げたり症状の進行を抑えたりするには、日々の行動を見直すことが重要です。喫煙はもちろん受動喫煙でもリスクが高まるため、避けるため工夫をします。また、有害な化学物質は呼吸器に炎症を起こすので、大気汚染指数が高い日は外出を避けるか、防じん対応のマスクを着用してください。インフルエンザや肺炎などの感染症は、COPDの引き金になったり症状を悪化させる原因になるため、予防接種や感染対策が大切です。さらに栄養バランスの取れた食事を心がける、適度な運動を習慣にする、ストレスをためないようにするといったことも心がけるようにしてください。

