生活の質や健康に悪影響を及ぼす
いびきと睡眠時無呼吸症候群
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニック
(大阪市中央区/心斎橋駅)
最終更新日:2025/11/14
- 保険診療
睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする睡眠時無呼吸症候群(SAS)。この状態が続くと体内が低酸素状態に陥り、健康にさまざまな影響を及ぼす。さらに、日中の強い眠気による交通事故や作業ミス、仕事や学業での集中力低下など日常生活にも支障を来しかねない。「大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニック」の鳳山絢乃院長は、早めの受診で原因を突き止めることが重要だという。「睡眠の質の改善をめざすことで、日中の眠気や倦怠感の軽減だけでなく、健康リスクの低減にもつながります」と話す鳳山院長に、SASを疑う症状、リスク要因、検査法と治療法、予防法などについて聞いた。
(取材日2025年10月23日)
目次
健康な睡眠を取り戻すためには、生活習慣の見直し、早期の診断、適切な治療が重要
- Qどのような症状があれば睡眠時無呼吸症候群を疑うべきですか?
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A
▲早めの受診が治療の鍵となる
主訴で多いのは、いびき、睡眠中の息苦しさ、日中の眠気です。ご自身では気づかなくても、パートナーにいびきを指摘されて来院される方もいらっしゃいます。また、日中の眠気の原因がわからず、検査してみたら睡眠時無呼吸症候群が見つかるケースもあります。SASは放置し続けると健康に悪影響を及ぼしますし、仕事の効率や休日の過ごし方にも関わってきます。さらに、夜間に何度も呼吸が止まってしまったり、大きないびきをかいたりすることで、パートナーなど周囲の人の睡眠にも影響を及ぼします。少しでも思いあたることがあれば、一度検査をしてほしいですね。
- Qいびきは放置しないほうが良いのでしょうか。
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A
▲いびきを軽視せずに受診することで重大な病気を予防できることも
いびきを放置すると、SASなどの深刻な健康問題を見過ごす可能性があります。いびきは単なる騒音ではなく、体が発する警告信号かもしれないと考えてください。特にSASの場合、呼吸が繰り返し停止するため、低酸素状態が続き、心臓に負担がかかります。その結果、高血圧や脳卒中、心筋梗塞といった深刻な疾患のリスクが高まるのです。さらに、日中の強い眠気による交通事故や作業ミスの増加、仕事や学業での集中力低下など、社会生活にも重大な影響を及ぼします。軽視されがちな症状ですが、放置することで病状が進行し、重症度が増す可能性もあるため、注意が必要です。
- QSASになりやすいタイプを教えてください。
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A
▲男女で出る症状が違う場合もあるため日頃の健康管理や検査が重要
SASには、さまざまなリスク要因があります。最も一般的なのは肥満や加齢です。SASは男性に多いとされていますが、女性にもリスクがあり、閉経後の女性は特に注意が必要です。これは、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンが減少することで気道の筋肉を弱めたり、体重増加を引き起こしたりするためです。また、女性の場合は典型的ないびきや呼吸停止といった明確な症状が出ない場合も多く、日中の眠気や抑うつ気分などが、主な症状になります。そのため、見過ごされやすい傾向にあり、適切な検査や治療が遅れるリスクが高いのです。それを防ぐには、日常的な健康管理や早期に検査を行うことが重要になります。
- Q診断には、どのような検査を行うのですか?
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A
▲検査結果を丁寧に患者に説明し、治療を進める
SASの診断では、無呼吸や低呼吸の頻度と重症度が重要な指標となります。これらを評価するために使用されるのが無呼吸低呼吸指数(AHI)で、1時間当たりの無呼吸や低呼吸の回数を数値化し、重症度を分類します。また、在宅での簡易検査もあります。専用のモニターを利用し、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度を記録するのです。これは特に軽症から中等症の疑いがある場合、スクリーニングとして役立ちます。より詳細な診断を行う必要がある場合、クリニックにおいて、終夜睡眠ポリグラフ検査が実施されます。この検査では、睡眠中の脳波、心拍数、血中酸素レベル、呼吸の状態、体の動きを同時に記録し、睡眠障害の全体像を確認します。
- Q治療の進め方を教えてください。
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A
▲継続して治療を行うことで生活の質改善につながる
SASの代表的な治療法に、CPAP療法があります。専用の装置を用いて、鼻や口から空気を送り込むことで、気道の閉塞を防ぎ、スムーズな呼吸を維持する目的で行います。この治療法は、重症度が高い患者さんにも有用で、いびきや無呼吸による低酸素状態の改善が期待できます。軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群の場合、マウスピースを用いた治療が有用です。マウスピースはコンパクトで携帯しやすく、旅行などにも便利で、CPAP療法が適応されない患者さんに適しています。骨格や扁桃腺の問題が原因の場合には、外科的治療も選択肢に挙げられます。ただし、手術は一般的に侵襲性が高いため、慎重な判断が必要になります。

