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高橋 多鶴子 院長、高橋 誉 副院長の独自取材記事

スリジエこころのクリニック

(鹿児島市/宇宿駅)

最終更新日:2023/12/28

高橋多鶴子院長、高橋誉副院長 スリジエこころのクリニック main

悩みを抱える女性と子どもたちが元気になれるようサポートしていきたいという思いで2016年に開院した「スリジエこころのクリニック」。2023年3月には、鹿児島市宇宿の脇田電停近くに移転し、より充実した精神科医療の提供に努めている。穏やかで優しい口調が印象的な高橋多鶴子院長と外科の医師としての経験を持ち、身体的な疾患にも配慮した診療を行う高橋誉副院長が二診制で診療。復職をめざす患者のリワークプログラム、10代の子どもたちの自己理解の促進を目的とした集団療法も導入し、幅広い患者に対応する体制を整えている。難治性のうつ病に対するrTMS療法についての相談も可能。医師をはじめ公認心理師、ソーシャルワーカーや看護師とチームで、患者への心和む場の提供に取り組む同院について話を聞いた。

(取材日2023年8月23日)

悩みを抱える女性と子どもが元気になれるサポートを

クリニック名の「スリジエ」はどのような意味なのですか?

高橋多鶴子院長、高橋誉副院長 スリジエこころのクリニック1

【多鶴子院長】「スリジエ」は、フランス語で「桜の木」という意味です。桜の花言葉には「優美な女性」「精神の美」「心の美しさ」などがあることから、ストレスの多い世の中で、精神や心の美しさを保ちつつ、女性が女性らしく生きるための手助けをしたいという気持ちで名づけました。私自身も医師の仕事をしながら、2人の子育てをしてきましたが、女性が女性らしく仕事を続けていくのは本当に難しいことです。そんな悩みを抱えた女性と子どもたちが気軽にSOSを出せる場となれるよう、このクリニックを開院しました。

どのような患者さんが来院されていますか?

【多鶴子院長】やはり子育て世代の女性が多いですね。家事と育児と仕事の両立は大変ですし、夫婦間の悩みや更年期障害など、女性の患者さんの場合は同性の医師のほうが話しやすいというのはあるかもしれません。あとは、学生やお子さんもたくさん来ます。本来、子どもはエネルギーの塊のようですが、大きくなるにつれていろいろな悩みが出て元気がなくなってしまう。そういう子どもたちの手助けをしたいですね。
【誉副院長】患者さんの7割ぐらいは女性の方です。ただ、年齢層に関して言うとどの年代にも対応できますし、男性の患者さんにも気軽に来ていただいています。移転前に引き続き、女性専門の日を設けていますし、女性の方の支えになる医療は当院のカラーですので、そこは変わらず注力していきたいと思います。

医師を志したきっかけを教えてください。

高橋多鶴子院長、高橋誉副院長 スリジエこころのクリニック2

【多鶴子院長】実家は酒屋を営んでいたので、小さい頃から、それこそ店の常連のアルコール中毒のおじさんも身近な存在でした。そんな人たちとも違和感なく接していましたし、何よりもいろいろな人と話をすることがとても好きでした。人とゆっくり話をしながら、もっと心の深い部分で関わっていけたらいいなと思ったことが、心療内科・精神科の医師をめざしたきっかけです。
【誉副院長】子どもの頃、野口英世の本を読み、漠然とではありますが医学の道を考えました。中学生の頃、自衛官の父に防衛大学校や防衛医科大学校に行ってみたらどうかと勧められ、調べてみたところ制服がとてもかっこ良かったことも意識し始めたきっかけです(笑)。人の役に立つ仕事ができたらと考え医師をめざし、外科から精神科に転科して20年弱になりますが、医師の見立てが第一義になる精神科のスキルは、患者さんとの関係づくりがとても重要だと感じています。

新しい治療法も導入し幅広い患者に対応できるように

若い世代に向けた治療もあるそうですね。

高橋多鶴子院長、高橋誉副院長 スリジエこころのクリニック3

【多鶴子院長】鹿児島県の県鳥ルリカケスの名前にちなみ「ルリカケスの会」と呼んでいるのですが、子どもたちの自己理解の促進を目的とした集団療法を行っています。40分から45分程度、そこでは相手を否定せず、話した内容を外へ持ち出さなければ、「何でも話していいよ」という場にしています。学校へ行けないお子さんやずっと家にいらっしゃって、なかなか他の人とのコミュニケーションが取れないお子さんたちが多いので、発言する練習や他の子たちとコミュニケーションを取る場になったら良いなと思っています。院内のショートケア室を使い、子どもたち7~8人とスタッフ2~3人で実施しています。

こちらでは訪問看護にも尽力されているそうですね。

【誉副院長】専門のスタッフが3人体制で鹿児島市内を中心に回らせていただいています。ご希望があれば隣接する市町村への対応も可能です。
【多鶴子院長】訪問看護によって、私たち医師はとても助かっています。ご家庭での様子やお薬がきちんと飲めているか、患者さんのご家族との関係や夫婦関係などを知ることにつながりますし、自宅で話す内容とクリニックの診療場面で話す内容は結構違うことも多いので、治療の参考にもできます。

新しく導入された取り組みなどはありますか?

高橋多鶴子院長、高橋誉副院長 スリジエこころのクリニック4

【誉副院長】うつ病などで休職された方が復職するためのリワークプログラムを始めました。基本的に当院に通院されている方で復職に対して自信がない方や不安な方を対象にしています。
【多鶴子院長】リワークプログラムは公認心理師が中心になって作成し、生活リズムをつくる段階から始めて、ストレスがかかる状況をうまくこなす練習なども行います。リラクゼーションやヨガ、アンガーマネジメントも取り入れています。また当院では、通院のモチベーションを保っていただきたいと考えて、院内に女性向けのメイク教室を設けました。

チームで患者をケアし、気軽に相談できるやすらぎの場

移転のきっかけは何でしょう?

高橋多鶴子院長、高橋誉副院長 スリジエこころのクリニック5

【誉副院長】利便性が高い立地だったことと、僕が当院に着任し妻との二診制になることを視野に入れて移転しました。見取り図を決めていく上では、院内にある中庭を生かし当院の象徴となるような形にしたいと考えました。移転前から女性の患者さんが多いクリニックでしたので、清潔感のある優しい雰囲気になるよう配慮しましたね。2人で診療する良さは、お互いすぐに相談ができることでしょうか。妻とはよく飲みながら話をしているので、情報交換がスムーズにできているのかなと思います。また、妻は漢方薬もよく使っているので教えてもらったりもしています。僕は医師になってから10年ほどは外科を専門にしていたことから、身体疾患に関する知識もあるので、お互い相談し合うこともあります。

診療で心がけていることは何でしょう?

【多鶴子院長】患者さんに寄り添って、じっくり話を聞かせてもらい、決して突き放さないことを大切にしています。そうするうちに、患者さんは自ら答えや落としどころを見つけていくことができると思います。医師は神様ではないし、病気を治そうというのはおこがましいと思います。患者さん自身の治る力を援助するのが私の役目です。医師として20年以上、いろいろな人の人生を聞かせてもらっていますが、この仕事を続ければ続けるほど、自分のためにもなっていると実感しています。
【誉副院長】患者さんの訴えをきちんと丁寧に聞くことを心がけています。そして、少しでも患者さんのうまくいっている部分に焦点を当て、そこをうまく生かしていけるような流れにもって行くよう努めています。精神科の診療は長いお付き合いになることが多いので、最初は患者さんとの人間関係をきちんとつくり、そこから診療が始まるという感じです。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

高橋多鶴子院長、高橋誉副院長 スリジエこころのクリニック6

【多鶴子院長】当院には医師が2人いますし、公認心理師やソーシャルワーカー、看護師を含めスタッフが多いので、全員で患者さんを診られるという点は新体制の強みだと思います。リワークプログラムや集団療法、訪問看護など、これまで、自分が思い描いていたことが少しづつ実になってきていて、今はとても充実しています。今後は訪問診療も視野に入れて、いろいろな治療を受けられるクリニックにしていきたいですね。「ここに来れば味方がたくさんいる」と思っていただけるやすらぎの場になれるようスタッフみんなでサポートしていきたいと思います。
【誉福院長】当院は精神科、心療内科がメインですが、僕は他科も経験しているので、内科疾患も含めたかかりつけ医的なクリニックでありたいと考えています。精神科の患者さんは、他の科を受診することがなかなか難しいこともありますから、医療の窓口として、気軽に相談してもらえたらいいですね。

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