安田 浩章 先生、坂口 善市 先生の独自取材記事
高松画像診断クリニック
(高松市/今橋駅)
最終更新日:2021/12/28
JR高松駅から車で約6分。「医療法人社団西高松脳外科・内科クリニック 高松画像診断クリニック」は香川県立中央病院の東隣に位置する。その名のとおり、MRIやCTなどの画像診断に力を入れているクリニックであり、脳神経外科・放射線科・内科・リハビリテーション科・小児科の専門的な検査・治療から、風邪などのちょっとした症状まで幅広く対応しているのが特徴だ。医師は、日本医学放射線学会放射線科専門医である安田浩章先生や、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医であり、小児の甲状腺疾患に詳しい坂口善市先生らスペシャリストがそろう。地元住民だけでなく県外や離島から通う患者も少なくないという同院では、どのような検査・治療が受けられるのか。両先生に詳しい話を聞いた。
(取材日2021年7月2日)
精度の高さを追求した検査を地域のクリニックで実践
クリニックの概要について教えてください。
【安田先生】2016年2月に開院し、今年で5年目を迎えました。当院は名前のとおり、精度の高い画像診断を追求しているのが特徴です。従来、画像診断を病院で受ける場合は検査に時間がかかり、結果が出るまでに何度か通院しなくてはならないことも多く、患者さんにとって負担が大きいのがネックでした。そこでより気軽に通えて、迅速に必要な検査が受けられるクリニックを、というコンセプトで開設されたのが当院です。画像診断のニーズがあれば、放射線診断を専門とする私がすぐに対応できますから、時間が空けば即日検査・即日診断も可能です。実際、画像診断を目的に来院される患者さんは多く、他院からの紹介で来られる方も全体の2、3割程度いらっしゃいます。
【坂口先生】2019年からは新たに小児科も増設されました。私は小児内分泌疾患を専門としていて、一般外来はもちろん幅広い症状のお子さんを診ています。
どのような流れで画像診断と各診療科の診察を行っているのですか?
【安田先生】各医師が通常の診療を行う一方、必要に応じて患者さんを検査室にお通しし、各種画像診断を行います。そこで専門家である私がすべての画像に目を通し、MRIとCTに関しては所見のレポートを作成します。それが確定すると、各診断室や検査室で閲覧できるようになるので、関係する全スタッフの間で患者さんの情報を共有することができます。まず私が見て、担当医が再度見ることでダブルチェックの機能が働きますし、カルテを見ながら検査結果と臨床症状が合っているかどうかすり合わせをし、些細な兆候も見逃さないように注意できるのがメリットです。各診療室はすべて裏通路でつながっていますから、何か気になる点があればお互いにすぐに相談に行けます。このシステムによって、中核病院並みの検査と地域のクリニックとしての柔軟な対応の両立をめざしているのです。
検査機器はかなり充実しているそうですね。
【安田先生】1.5テスラMRIという、中核病院でも導入されているようなクラスのMRIを2台導入しています。MRIは撮影する検査技師の腕も重要ですから、私が信頼する昔からの知り合いの技師に担当してもらっています。他院から依頼された場合でも、満足いただけるように対応しています。大規模の病院だとMRIは1ヵ月待ちというケースもよくありますが、当院なら飛び入りの患者さんも検査していますし、診断結果もその日のうちにお伝えできるんです。検査が早いので、脳梗塞が疑われる患者さんの救急搬送も積極的に受け入れられます。その他、CTやエックス線検査機器、デジタルマンモグラフィ機器も備えています。乳がん検診に使うマンモグラフィは、女性の検査技師が対応しますので気兼ねなく受けていただけますよ。
小児の甲状腺疾患や糖尿病など専門的な治療に対応
各診療科にはどのような患者さんが来られますか?
【安田先生】最も多いのは脳神経外科の患者さんで、脳血管障害のある方や、頭痛・めまいなど頭部症状を訴える方が来られます。また関節痛や腰痛、頸痛など整形外科領域の患者さんもよく来られますね。その他、内科では高血圧や糖尿病などの生活習慣病、不整脈などの循環器疾患、各種予防接種などに幅広く対応しています。広いリハビリ室もありますから、リハビリのために通う患者さんも多いです。
【坂口先生】小児科では、風邪などの一般症状の方はもちろん、小児の生活習慣病、糖尿病のほか、低身長症など成長障害のお子さんも広く受け入れています。特に私は甲状腺疾患を専門としていますから、橋本病やバセドウ病、甲状腺腫の患者さんも多く来られますね。
甲状腺疾患というと、どんな病気なのでしょう?
【坂口先生】 多くは遺伝性要因によるものです。甲状腺ホルモンが過剰に分泌される場合や、分泌が低下したりして発症します。最も多いのは橋本病です。成人女性の10人に1人は橋本病といわれています。皆さんが想像している以上に患者さんは多いんですよ。自覚症状がないケースがあるので、甲状腺エコーと採血によって精密な診断を受けることが大切です。特に、お子さんの場合は早期発見で早期治療につなげることが肝心です。小児科の医師でこの分野に精通する人は非常に少ないです。橋本病は成長してもずっと治療を続ける必要がある疾患です。長い患者さんですと30年以上のお付き合いになる方もいるんですよ。通常は成人すると内科に移るのですが、慣れた先生にお願いしたいと今も小児科に来てくれる人が多くいて、ありがたいことだと思っています。
小児に関しては、アレルギー疾患などの相談もありますか?
【坂口先生】最近は多いですね。アレルギー歴の問診を詳しく実施します。血液検査を行って該当する項目があるかどうか調べます。今は少ない採血量でたくさんの項目を調べられるので、お子さんの負担も少なくて済みますよ。また、スキンケアの指導には、時間をかけています。喘息では、気道ケアなどもアドバイスします。
【安田先生】当院は院内にラボを備えているので、血液検査の結果も即日出せるのが強みです。症状の重いお子さんは、より高度な治療が受けられる病院を紹介することも可能です。
親しんでもらえる地域のクリニックをめざす
地域医療の担い手として、大切にされていることは何ですか?
【安田先生】規模の大きい病院だと、ドクターと話す機会は限られていると思います。当院では患者さんと接する時間をできるだけ長く持ち、不安を和らげる役割を担いたいと考えています。私は患者さんに対して画像の説明をする際には、できるだけわかりやすい言葉で、丁寧に説明することを意識しています。模型や本もお見せしながら、「病気があればこんな画像が出ますが、それがないので大丈夫ですよ」とお話しすれば、患者さんも安心してくださるでしょう。
【坂口先生】近年、少子化の影響で小児科クリニックの数が急激に減っていることを懸念しています。このままでは小児医療が崩壊してしまうかもしれないという危機感を持っていますので、地域の子どもたちの健康を守るためにも、地域の方々と連携して成長を見守る役目を担っていかなければと考えています。今後は体力づくりなど、病気になる前のサポートも行っていけるといいですね。
自由診療に関しては、どのようなものが受けられますか?
【安田先生】人間ドックや、ドゥイブス(DWIBS)という全身のがんリスクを調べるMRIによるスクリーニング検査に対応しています。また新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、当初からPCR検査には特に力を入れてきました。自費での検査も受けつけていますし、3時間くらいあれば結果が判明しますので、お仕事などの関係で必要な方はぜひお越しください。
【坂口先生】小児科でも低身長症のお子さんに対する診療を行っていますので、興味のある方はご相談いただければと思います。自由診療も受けやすいのは、クリニックならではのメリットではないでしょうか。
最後に読者へメッセージをお願いします。
【安田先生】ありがたいことに開院以来患者さんが増え続け、最近では待合室でお待ちいただく時間が長くなってきているのが心苦しいです。基本的に予約は取っておらず、飛び入りの患者さんにも柔軟に対応することで、より迅速な検査・診断を図っていきたいと考えていますので、申し訳ありませんがご了承ください。待っていただくに値する診療を提供するため、今後もレベルアップを図っていきたいです。より良い地域医療を提供していきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/2万5000円〜
新型コロナウイルス感染症のPCR検査/1万7600円
DWIBS(ドゥイブス)検査/2万円
乳がん検診/6000円