身近になった白内障の日帰り手術
ニーズに合ったレンズ選びが重要
たかやま眼科
(吹田市/南千里駅)
最終更新日:2023/07/27


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加齢とともに悩む人が増える白内障。眼鏡を使っても見えにくさが改善しなかったり、まぶしさを強く感じるようになって気がつくことが多いという。白内障は水晶体の濁りが原因で、水晶体を人工のレンズに置き換えて視力を取り戻すことをめざす手術が根本的な治療になる。さらに手術の技術が格段に進歩した現在では、日帰りでの手術が一般的であり、「たかやま眼科」でも白内障の日帰り手術を実施。難症例の手術も行う同院では、安全性に配慮しながら痛みの少ない手術を実践するとともに、手術前には「どのような見え方を取り戻したいのか」という患者の思いをしっかりと確認し、ニーズに合ったレンズの選択を大事にしている。今回は、同院で行っている白内障手術のポイントや、診断から術後までの流れを、高山弘平院長に紹介してもらった。
(取材日2023年6月21日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q白内障の手術は、どのような場合に必要になりますか?
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A
白内障は、人の目の中でカメラのレンズの役割を果たしている水晶体が濁ってしまう病気です。本来はやわらかい水晶体が年齢とともに硬くなり濁るので、60歳を越えると患者さんが増え始め、70代後半で手術を受ける方が多いですね。症状には個人差がありますが、徐々に視界がかすんできたり、まぶしさを感じたりします。眼鏡をかけても見えにくさは変わりません。なお、ステロイド薬の長期使用や眼球打撲などの外傷、先天的な原因で白内障が起こることもあります。いずれにせよ、水晶体の濁りを治すことはできないので、症状は進行する一方です。ですから、白内障による症状で不便さがあれば、勇気を出して手術を考えてみてほしいと思います。
- Q手術だと痛みが心配ですし、日帰りでの手術も不安です。
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A
手術の際には点眼薬の麻酔薬を使いますので、ご安心ください。目だけの局所麻酔ですし、手術そのものも10分前後で終わりますので、全身への負担もほとんどないと思います。両目ともに白内障になる方も多いですが、当院では原則として片目ずつ、1週間間隔で手術を行いますので、両目が使えないという期間はないですし、手術翌日からは両目を使うことができます。ただ、術後から翌日までは片目での生活になりますので、ご家族などのサポートがあればより安心ですが、お一人暮らしでも手術を希望される方は大勢いらっしゃいます。また、事情により両眼同時に手術を行う場合もあり、その場合は保護眼鏡をかけて帰っていただきます。
- Q術後にはどのようなことに気をつければよいですか。
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A
水晶体の代わりに入れるレンズには、ピントが合う部分が1点に絞られた単焦点眼内レンズと、遠近など複数の部分にピントが合う多焦点眼内レンズがあり、多焦点眼内レンズはレンズ代が自己負担になります。また、単焦点眼内レンズではピントが合う部分以外はぼやける場合があり、必要に応じて眼鏡を併用します。それぞれのレンズのメリット・デメリットや、患者さんが希望する見え方に適したレンズを選ぶことが、術後の満足度につながります。なお、術後の点眼薬が終われば特別なメンテナンスは不要です。ただ、眼球を強く押さえたりこすったりしないようにしてください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1受診し診断を受ける。手術を決めたらレンズの相談へ
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最初に視力を検査し、水晶体の濁りなどをチェック。問診では「いつからどんな症状があるのか」といった経過や症状を確認する。白内障と診断がつけば手術について説明があり、手術を決めたら、希望する見え方や生活スタイルを踏まえながら適したレンズのタイプを検討する。レンズの選択は術後の満足度を左右するため、同院では時間を惜しまず相談に応じているそう。「今はそれほど困っていない」という場合は経過観察になることも。
- 2術前検査で手術適応や全身の状態を詳しくチェック
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手術に向けて視力検査、眼圧検査、角膜内皮細胞検査、眼底検査、眼軸長検査など複数の検査を行って、安全な手術と的確なレンズ選択に必要な詳しいデータを集める。また採血検査では、感染症の有無も確認する。なお、高血圧や糖尿病がある患者では、病状によっては手術が難しい場合もあり、その際は先に内科の治療を進めてから、改めて手術の時期を検討することになるという。
- 3手術の流れやリスクについても詳しく説明
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手術説明会では、看護師が手術当日の流れや手術の具体的な方法、リスクについても丁寧に説明。特に不安を感じてしまう患者には、医師や看護師がリスクの内容や割合、トラブルが発生した場合の対応について詳しく伝えている。また、同院では手術4日前に術前の診察を行う。医師が目の状態を最終的にチェックし、手術に向けて抗菌点眼薬の投与を始める。
- 4院内で日帰り手術を実施
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手術当日は心電図装置を装着するため胸部を開けやすい服装を選び、また化粧やマニキュアはしないようにする。手術開始1時間半前には来院して、点眼薬で手術前の処置を行う。準備が整えば手術室へ。手術中は照明がまぶしく、また手術器具はまぶたの側から操作することが多いので、明確に見えることは少ないそう。手術自体は5〜15分程度で終了。リカバリースペースへ移り、ガーゼや眼帯などの術後処置が終われば帰宅できる。
- 5術後の経過観察
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手術翌日に受診し、ガーゼなどを外して視力検査を行う。その後も2日間は毎日受診して、状態を確認しつつ必要な検査を行う。以降は保護眼鏡をかけ、定期的に通院しながら抗菌薬や抗炎症薬の点眼薬を続け、約3ヵ月の投薬が終われば治療は終了。同院では術後4日目には洗顔や洗髪ができるようになるので、スッキリしてから反対側の手術に備えることができる。
自由診療費用の目安
自由診療とは多焦点眼内レンズ/22万円~ ※多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は選定療養の対象となり、手術費用の一部が保険適用となります。詳しくはお問い合わせください。