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坪川 瑞樹 院長の独自取材記事

みずき歯科診療所

(新潟市南区/田上駅)

最終更新日:2021/10/12

坪川瑞樹院長 みずき歯科診療所 main

信濃川が流れる南区庄瀬にある「みずき歯科診療所」。院長の坪川瑞樹先生は、大学病院で歯周病治療と訪問診療の経験を積み、2016年に生まれ育った庄瀬に開業。バリアフリー設計の院内は広々としており、車いすを利用する人や付き添いの人も快適に過ごせる空間になっている。診療スペースはあえて個室にせず、同室内に仕切りを設置。隣に知り合いがいればあいさつできる距離感だ。外来に加え、訪問診療にも注力する坪川院長は、開業時から訪問診療用の機器を充実させ、訪問先でも外来と同等の治療を提供。必要に応じ看護師や薬剤師が同行し、こまやかなケアも実施している。坪川院長に、地元への思いと診療について話を聞いた。

(取材日2021年6月28日)

患者のニーズと地域性を考慮した診療体制を整備

開業するにあたり地元の庄瀬を選ばれた理由をお聞かせください。

坪川瑞樹院長 みずき歯科診療所1

大学病院に勤務している時から地元で開業するか新潟市の中心部で開業するか考えていたのですが、当時お世話になった開業医の先生がきっかけで地元での開業を決意しました。その先生は近所の方とのつながりを大切にしながら、いつも楽しそうに診療されていて、患者さんからも周囲の人からも親しまれているカリスマ性のある方でした。そんな姿を近くで見ていて、自分も地元で開業しようと考えるようになったのです。もともと開業するなら一人の患者さんにじっくり向き合えるような診療をしたいと思っていましたので、そのスタイルを実現するには地元の庄瀬がよいということも考えました。また、子どもの頃から歯科は先生が忙しく走り回っているイメージがあったので、そういった歯科医院にはしたくないなと思っていました。自分の診療コンセプトに合うのは地元だという結論に至ったのです。

クリニックではなく診療所と名づけられた理由は何でしょうか?

この地域では「診療所」でないと駄目だと思っているんです(笑)。言わば「町の診療所」のイメージです。地元では友人も近所の方も下の名前で呼び合うので、私の名前をひらがなにして「みずき歯科診療所」と名づけました。子どもの頃、歯がないけれど入れ歯を使っていない方や歯の健康を気にしていない大人をたくさん見てきました。地元住民の医療に対する考えを高めたいという思いもあり、この地で開業したのです。実際、歯科に親しみをもってもらうためには、「クリニック」ではなく「診療所」のほうがこの地域には合っていると感じますね。

土日も診療されていますね。診療日と診療時間の設定にもこだわりがあるのでしょうか?

坪川瑞樹院長 みずき歯科診療所2

土曜日は毎週、日曜日は隔週での診療です。診療日は土日も含めて午後7時まで診療しています。大学病院に勤務している時は基本的に午後6時までの診療だったので、仕事帰りに受診できない方が多くいましたし、日曜日しか休みがない方もいますよね。患者さんの立場に立ち受診しやすいように配慮しようと考え、診療日と診療時間を設定しました。開業後、「この日しか来られない」という方が、予定を合わせて何年も通院されています。日曜日が隔週なのは、スタッフのことを考慮してです。毎週となるとスタッフも大変ですからね。

専門チームによる訪問診療で治療と口腔ケアを実施

どのような患者さんがいらっしゃいますか?

坪川瑞樹院長 みずき歯科診療所3

開業当初は60代以上の方が全体の4割ほどを占めていましたが、ここ1年ほどで若い世代の患者さんも増えました。周辺地域から通院される方も多いです。広告や看板を一つも出していないので、インターネットで検索して来られる方が多いですね。日曜に診療しているところを探していたら見つかったという方もいます。地元にアプローチするために開業しましたが、予想以上に周辺地域から訪れる方が多くて驚いています。また、この地域のお子さんの数は減っていますが、他地域のお子さんが通院されています。結果的には家族のかかりつけ医のようになれているのでうれしいですね。

開業当初から訪問診療を続けられていますね。

現在は週に2、3回、この地域のお宅を訪問し、口腔ケアや治療をしています。脳梗塞の後遺症で寝たきりの方や車いすで生活している方が多いです。大学病院で研修医をしている時に、特別養護老人ホームやグループホームでの診療を経験しました。それまで歯周病の治療や研究に力を注いでいたのですが、訪問診療の必要性を実感し、開業したら訪問診療をしようと思ったんです。寝たきりの方や高齢の方で歯磨きができない方は、歯の健康が保てず、それが原因で体調不良や誤嚥性肺炎につながる恐れがあります。虫歯治療や歯周病予防も大切ですが、健康のためには口腔ケアも大切。歯科に来られない方のケアをしたいという思いで訪問診療を続けています。

スタッフと連携した訪問診療をされているとか。

坪川瑞樹院長 みずき歯科診療所4

歯科医師、歯科衛生士、さらに必要に応じて薬剤師や看護師が訪問診療に加わることもあります。患者さんの中には全身疾患があり、複数の薬を服用されている方もいます。私もある程度の薬剤の知識を持っていますが、すべての薬について把握しているわけではありません。そこで薬剤師に聞いてアドバイスをもらうようにしています。また、看護師が治療中の患者さんの体調変化をチェックすることもあります。外来に加えて訪問診療をしていますので、スタッフの協力は不可欠です。幸い私の考えに理解を示してくれ、多くのスタッフが長く働いてくれています。また、薬剤師をしていた父と看護師をしていた母が協力してくれることもあります。両親はすでに現役を引退していますが、私と同様に「地元に還元したい」という思いを持っているようです。

診療の際に心がけていることを教えてください。

「患者さんに笑ってもらうこと」を一番に考えています。歯科は息苦しくて嫌なイメージがありますよね。でも、人間って一度笑えば「悪くないかな」という気持ちになれると思うんです。その笑いは世間話や何げない会話から生まれるものなので、スタッフにも「患者さんと積極的にいろいろな話をしてほしい」と伝えています。そこから患者さんのパーソナルな情報や治療につながるポイントも得られるはずです。治療について話すことも大事ですが、世間話をすることで仲良くなれば、患者さんも「歯科に行ってみようかな」と思ってくれるはず。ここでたくさん話して、患者さんに笑ってほしいですね。

地元に寄り添いながら歯科医療の発展にも注力

歯科医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

坪川瑞樹院長 みずき歯科診療所5

父は薬剤師、母は看護師でしたので、歯科医師に接点はありませんでした。また、祖父の代まで大工をしていたので、幼い頃から職人さんが家で木を削っているのをずっと見ていました。その影響で、建築関係に進もうと思っていたんです。そんな中で歯科医師の道を選んだのは、矯正治療がきっかけでした。私は子どもの頃歯並びが悪くて、噛むのも苦労していて。中学の終わり頃から5年ほど矯正治療を受けていました。そこで「歯科医師にはこういう仕事もあるんだな」と初めて知ったんです。建築とは違いますが、歯科医師がする「物作り」もいいなあと思い、この道へ進むことにしました。

2016年6月に開業して5年。これまでの診療を振り返っていかがですか?

経営面などを考えると、正直ここで開業することに不安がありました。ですが、想像以上に順風満帆です。開業してから患者さんゼロの日は1日もありません。地元の患者さんに救われている部分が大きいですね。もちろんスタッフも。この地域に住むスタッフが多く、出入りが少ないので助かっています。また、大学病院に勤務していた時の患者さんが、長岡からここまで通ってくださっています。ありがたいですしうれしいですね。看板や広告がなくても人は集まるということがわかりました。これからも良い意味で変わらず、今までどおり診療していこうと考えています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

坪川瑞樹院長 みずき歯科診療所6

高齢化が進み、訪問診療の需要は高まると考えられます。一院単独では限界がありますので、自分たちは今までどおり継続しつつ、周りを取り込んで訪問診療をしなければならないと考えています。若い世代の先生への広がりや、介護業界、ケアマネジャーとのコンタクトをどうやっていくかが今後の課題です。この場で待つのではなく、こちらから動いていく姿勢で地域医療の連携を図りたいですね。庄瀬は私が生まれ育った場所です。何か気になることがあれば気軽にお越しください。直接来ていただいても電話でも構いません。歯のこと以外でも心配なことがあれば、お話を聞いて少しでもケアしたいと考えています。

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