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有薗 久雄 院長の独自取材記事

デイクリニック天神

(福岡市中央区/天神駅)

最終更新日:2020/08/24

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下肢静脈瘤治療と脳卒中の後遺症ケアを得意とする「デイクリニック天神」は、天神のエルガーラ7階にある。麻酔科のドクターとして外科手術に多く携わった経験を持つ有薗久雄院長が、その経験を生かして美容医療の分野、さらに脳卒中の後遺症ケアの分野へ進出。幅広く研鑽を重ね、先端医療を柔軟に受け入れて治療に取り込む開拓精神で、医療の一歩先を見つめ続けている。下肢静脈瘤の治療では、これまで問題点とされてきた手術後の合併症の発生を抑えるべく、安全性を重視したレーザー治療を率先して実施してきた。有薗先生にクリニックの診療と今後の展望について話を聞いた。
(取材日2020年6月26日)

病気よりも人。患者の視点に立つ医療に心が動いた

先生が医師をめざしたきっかけは何だったのですか?

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祖父の代から続く医師家庭に育ったのですが、私は医療には興味がなくパイロットをめざしていました。しかし視力の低下により夢を断念し、病弱だった父への恩返しと考えて、大学は医学部へ進むことにしました。入学後も数年間は目標がないまま勉強していたのですが、各科を回る実習で麻酔科を訪れた際に、それまで学んできた病気主体の視点とは違う考え方があることを知り衝撃を受けました。麻酔科は手術の際、目の前にいる患者さまのすべての疾患を把握し全身状態を管理します。患者さまを安全に管理するには、今後起こり得ることを先読みして身体の状態をコントロールしなければなりません。そのためには、各臓器の働き、各臓器間の影響などを深く知ることが必要です。この視点に気づいたとき初めて「これをしっかり学んで医師になりたい」という気持ちが芽生えました。私のドクター人生の最初の一歩が麻酔科だったんです。

その後、美容医療の分野へと進出されたきっかけはどんなことだったのでしょう?

ある日、友人でもある美容形成専門のドクターから至急の要請が来て手術を手伝いました。そこで初めて美容形成の手術を見て、視点の違いに驚かされたのです。外科手術というのは患部が取れたら手術は終わり、という感覚があって、私も皮膚の縫合にそこまで着目していませんでした。しかし美容形成はきれいにするのが目的ですから、縫合にもとても気を遣うんですね。よく考えたら当然です。仮に自分の子どもが手術を受けて成功したとしても、傷痕が残っていたらなんとかしてあげたいと親は思うはずです。美容の世界とは、手術だけでなく、患者さまのその後も考えて治療をするのだなと思ったら、この技術を学びたいという思いが湧きました。それで友人のドクターに頼んで、勉強をさせてもらうことにしたのです。

美しく治すことに心を動かされたのですね。

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そうです。それで長く美容形成の世界にいたのですが、その間も新しい知識や技術を追い続けました。美容の分野は、いわゆる外科や内科といった保険適用の治療とスタンスが大きく違っています。一般的な病気の治療は、医師が治療法を決めますが、美容は数ある選択肢の中から患者さまが治療法を決定します。そのため、医師は日本だけに留まらず、世界のどこかで新しい技術が生まれたら、それを積極的に取り入れて進化させ、患者さまの要望に応えていく世界なんですね。海外のドクターも、勉強させてほしいと頼むと、気持ち良く受け入れてくれました。視点がジャパンスタンダードからワールドスタンダードへ切り替わったのは、美容外科のおかげです。

培った経験が下肢静脈瘤の治療に生きた

2009年には下肢静脈瘤を専門に診るクリニックへ進まれていますね。

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下肢静脈瘤とは、簡単に言えば足の血管がコブのように膨らむ病気で、これまではコブになった血管を切除する手術が行われていました。この手術は合併症が発生することが多く、そこが問題だったのですが、アメリカで、レーザーを用いた機械が作られたんですね。それは美容で使っていた機械を治療に応用したものでした。私も美容形成でレーザーを使っていたし、外科手術の知識もあるので、その有用性はすぐ理解できました。そこに、先進の機械を導入して治療をしたいから手伝ってほしいというお声がけをいただいて、では一から学ぼうとアメリカで下肢静脈瘤を専門とされているジョン・キングスリー先生とコンタクトを取り、直接指導を仰いで日本での治療をスタートさせたというわけです。

治療を始められた当時は、下肢静脈瘤が病気であることを知らない人も多かったそうですね。

はい。ですので、治せる病気だと知っていただくことから始めようと考え、セミナーと相談会を毎月1回行って、周知に力を入れました。目標の人数を設定していたのですが、結果的には全国から問い合わせがあり、目標を大きく上回る多くの方がセミナーを訪れてくださいました。当初から手術にレーザーを取り入れることで、合併症のリスクを減らし、日帰りでできる治療へと進化させるという考えでした。今では患者さまのご負担はずっと軽くなっていますし、昔に比べて治療ができるクリニックも全国に増えて、私もとてもうれしいですね。

こちらのクリニックで下肢静脈瘤の手術を受けられるのですか?

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はい。クリニック内に手術室など必要設備を整えて対応しています。下肢静脈瘤の治療法はいくつかありますので、症状や患者さまのご希望に合わせて選択していただきます。レーザー手術がメインになる前に行われていた血管を切除する外科手術の場合、1週間ほどの入院が必要でしたが、今は手術後そのままお帰りいただけるくらい負担の少ない手術ができるようになりました。下肢静脈瘤というのは血液の流れに関係する病気ですから、重症になったまま放っておくとリスクが高まる危険性があります。足の重だるさや、目に見えて静脈が浮いてくるような症状があれば、早めに病院で相談することをお勧めします。

未来の医療の可能性に期待

今また、新たな分野に知見を広げられているそうですね。

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脊髄損傷に対する幹細胞移植が一部の医療機関で保険適用になったのをご存じでしょうか。当院での提供は行っていませんが、私は治験だった頃に学術発表を聞き、これは素晴らしいと感じましたね。しかし幹細胞は生き物ですから、拒絶反応や変異のリスクがある。いかにリスクを排除するかを求めて文献を調べているうちに「サイトカイン」というタンパク質を利用する方法に行き着き、「これだ!」と思ったんです。再生医療には20年ほど前から関心を持っていましたので容易に理解できました。再生医療の目的は、自己の修復力を利用して、失った機能を再び獲得することです。残された機能を維持するだけで終わるのではなく、その機能をもう一度育てられる可能性が、再生医療に求められている希望だと言えるでしょう。

脳卒中の後遺症に対するケアも多く行ってこられたそうですね。

はい。超高齢社会の現代、50代60代は働き盛りで、まだまだやりたいことがあるという方が多いです。その年代の方たちの力になるべく、脳卒中の後遺症ケアに取り組み始めたことがきっかけです。慢性期に対応する後遺症ケアの認知度はまだ低く、情報も少ないため、診察に来られた際、不安に感じている患者さまも少なくありません。そのため、患者さまとのコミュニケーションを第一に考え、まずは不安を取り除くように心がけています。十分な時間を設け、できる限りお話を伺ったうえで、可能なケアを伝えています。脳卒中の後遺症ケアに取り組んで数年たち、セミナーを開催するなど取り組みの幅は広げていますが、まだやれることはあると思っています。当院ならではかもしれませんが、メールでの相談も受けつけていますので気軽にご相談いただきたいですね。

未来の医療へ向けて踏み出されているのですね。

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当院が複数の診療科目を標榜してきたのは、患者さまからの要望にお応えした結果でした。これからも、1人でも多くの患者さまのつらい状況を、少しでも快方に導けるよう尽力し続ける所存です。福岡は、私が医師として目覚めたきっかけをもたらしてくれた大切な地でもあり、その地の皆さまの未来を少しでも明るいものにしたい一心で進んでまいりました。もし少しでもお悩みのことがあれば、医療のプロであるドクターから、新しい情報を得るようなお気持ちで受診されてください。医療の進歩は目まぐるしく、今は難しいと言われている病気の治療でも1ヵ月後、1年後にはできるようになっているかもしれません。諦めず、どうか気軽に、正しい情報を持つドクターをかかりつけとして頼っていただければと思います。

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