認知症は早めの診断が重要
他人とふれあうことで進行抑制をめざす
森川内科クリニック
(尼崎市/塚口駅)
最終更新日:2024/08/07


- 保険診療
認知症とは、脳の病気や障害などのさまざまな原因により認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態のことである。進行すると日常生活への影響だけではなく、「出かけた後に行方がわからなくなり、捜索願を出されてしまう」「買い物の際に支払いを忘れる」など社会的な影響を及ぼすこともある。「特に、同じものをいくつも購入するといったことがあれば、早めに診察を受けることをお勧めします」と語るのは認知症の治療に積極的に取り組んでいる「森川内科クリニック」の森川高司理事長だ。タブレット型端末を用いた検査やMCI(軽度認知障害)というアルツハイマー型認知症の前段階に注目するなど、認知症に対してさまざまなアプローチを行っている森川理事長に、認知症の検査や治療法などについて聞いた。
(取材日2024年7月22日)
目次
認知症は一人で悩まないことが大切。早期発見のためにも、今すぐ医療機関に相談を
- Q認知症を疑う症状には、どのようなものがありますか?
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A
▲認知症は早期発見が何よりも重要な鍵。気になる人は検査の検討を
認知症と思われる症状の中で、最も注意すべきは「同じものをいくつも購入する」という行動です。冷蔵庫に同じ食材がずらっと並ぶのは、認知症の典型的な症状です。本人としては「なくなったから買った」つもりですが、実際は「買ったことを忘れ、また買ってしまった」という状態なのです。もちろん、認知症の自覚はありません。現在、認知症を完全に治療できる薬はありません。しかし、放っておくとさらに進行してしまうため、同じものを複数買ってしまうだけでなく、「部屋が散らかったまま」「同じ話をくり返す」「忘れものが多い」「料理の味つけがおかしい」など気になる点がある場合、ご家族は検査を検討してください。
- Q認知症の検査について教えてください。
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A
▲日常生活で目にするものを活用し、認知症の検査を行う
検査は、実際の生活に即した動きや考え方ができているかどうかを見極めるために行います。例えば「はさみや箸などの日常生活で使用するものを見せて、名前がすぐに出てくるか」「簡単な質問をして、その意味を把握した上で返答ができるか」「手紙を書いて投函するまでの一連の流れができるか」などですね。封筒の表に自分の名前を書いてしまったり、切手を貼り忘れると認知症の疑いがあります。検査を受けるのは「自分は認知症ではない」と思っている方がほとんどです。だからこそ日常生活の言動・行動がうまくできないことを自覚してもらうことが、治療においては非常に大切です。当院では10歳代からの若年性認知症にも対応しています。
- Q認知症と診断されたら、どのような治療を行うのですか?
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A
▲個室のカウンセリングルームもあり、プライバシーにも配慮
基本的な治療は、認知症の進行を抑制するための薬の服用になります。ただし、薬はあくまで進行抑制の効果しか見込めません。一度認知症になってしまうと、前の状態には戻れないため、早めの診察が大切になります。また、認知症と診断された後は家に閉じこもるのではなく、デイサービスなど外に出かけて、たくさんの人とおしゃべりを楽しんだり、コミュニケーションを取ったりするようにしましょう。なぜなら、他人としゃべることが脳に刺激を与え、認知症進行の抑制につながるからです。普段の生活をよく知る家族ではなく、「相手の言うことを理解し、正しく返答する」ことが求められる家族以外の方と語らうことがポイントです。
- Q認知症とはどう付き合っていくと良いのでしょうか?
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A
▲悲観的にならず、前向きに向き合うことが大切
認知症が治らないことは事実ですが、だからといって悲観的になる必要はありません。音楽や創作活動などのレクリエーションに取り組んだり、コミュニケーションを十分取ったりすることで進行が緩和することも考えられます。また、それによって家族全員の生活が好転するでしょう。なお、若年性アルツハイマー型認知症は、仕事でミスを繰り返したり、人の名前を忘れるなど日常生活の中で見つかるケースがよくあります。自分だけで抱え込んでしまうと、周りから集中力不足と取られて叱責を受けたり、うつ病と間違われることもあるため、注意が必要です。ご自分の生活を守るためにも、心当たりがあれば早めに医療機関へ相談しましょう。
- Qこちらのクリニックで受けられる治療について教えてください。
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A
▲検査や治療内容は、ご家族とよく話し合いながら決めていく
当院では、認知症に対してさまざまなアプローチを行っています。タブレット型端末を用いた検査では、簡単な質問を行い、その返事が適切であるかを診断します。また、MCI(軽度認知障害)というアルツハイマー型認知症の前段階である状態にも注目しています。MCIの段階で異常が発見できれば、より早い時期から進行抑制のためのアプローチが可能になるからです。検査や治療内容は、ご家族とよく話し合いながら決めていきます。早期発見が認知症治療の鍵とはいえ、検査を受けて認知症ではないこともあります。「わからない」「不安」と思うのは当然のことです。どのようなケースでも、しっかりとサポートしますので、安心してご相談ください。