快適で健康な毎日につなげるために
睡眠時無呼吸症候群の治療
森川内科クリニック
(尼崎市/塚口駅)
最終更新日:2025/01/08


- 保険診療
「十分に寝たはずなのに、すっきり目覚められない」「昼間の眠気が強い」「家族からいびきがうるさいと言われている」といった場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみる必要がある。かつては、肥満気味の中高年男性に多い疾患とされていたが、実は太っていない人や女性にも見られるそうだ。しかも、病気の弊害は眠気やいびきだけにとどまらず、「全身の健康状態に悪影響を与えるリスクがあります」と、「森川内科クリニック」の森川高司理事長は警鐘を鳴らす。睡眠時無呼吸症候群の症状やリスク、さらに気になる検査や治療の方法まで、同疾患の治療に力を入れている森川理事長に解説してもらった。
(取材日2024年6月1日)
目次
気になる症状があるなら、医療機関に相談して治療を開始してほしい
- Q睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどのような病気ですか?
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A
▲自己判断せずに医療機関に相談することが大切
睡眠中に10秒以上の呼吸が止まる状態を「無呼吸」と呼び、平均して1時間に5回以上無呼吸状態が見られると睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されます。鼻から肺へと続く空気の通り道が、肥満や鼻詰まり、アルコール摂取などによって塞がれることが代表的なケースです。眠っている間に呼吸が止まるため、苦しさから目覚めてしまい、深い睡眠が取れない状態が続きます。また、脳や体が酸欠状態になることで、さまざまな弊害が引き起こされます。男性に多い病気と思われがちですが、顎や舌の大きさ、生活習慣なども要因で、女性患者さんも少なくないのが現状です。気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。
- Q受診の目安となる症状を教えてください。
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A
▲日中に強い眠気を感じる人は要注意
いびきは代表的な症状で、「いびきがうるさい」「時々呼吸が止まっている」などと、ご家族から指摘されて受診される方が多くいらっしゃいます。とはいえ、いびきや無呼吸を自覚するのは難しいので、夜中に2回以上トイレに立つ、睡眠は不足していないはずなのに強い眠気があり仕事に集中できない、起床時に頭痛や喉の渇きを感じるといった症状がある場合は、専門知識のある医療機関への相談をお勧めします。受診すると、症状などについての問診・診察が行われ、その結果、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は簡易検査を受けていただきます。ご自宅に検査器具が届けられ、鼻と指先に一晩装着した後、器具を返送すれば検査は完了です。
- Q睡眠時無呼吸症候群を放置するとどのようなリスクがありますか?
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A
▲睡眠時無呼吸症候群を放置すれば高血圧症や心疾患のリスクも
睡眠時無呼吸症候群の大きな問題は、日中の活動にさまざまな悪影響を及ぼすことです。眠気や集中力の低下で仕事の能率が上がらず、ケアレスミスや会議中の居眠りを誘発します。車の運転中に睡魔に襲われて事故を起こしてしまうケースや、機械の操作を誤ってケガをするケースもあります。また、睡眠中に呼吸が止まるというのは、水の中で溺れているのと同じような状態です。体が低酸素状態になって心臓に負担がかかり、高血圧症や心疾患、脳血管障害といった生活習慣病の悪化を招く恐れがあります。こうしたリスクが認知されるようになり、現在は循環器内科などを中心に、症状のある方の治療を積極的に進めていく流れになっています。
- Q具体的な治療方法を教えてください。
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A
▲資料などを用いて治療の流れを丁寧に説明してくれる
簡易検査で睡眠時無呼吸症候群と診断されると、「CPAP(シーパップ)」と呼ばれる経鼻的持続陽圧呼吸療法を行う際に健康保険が適用されます。就寝時に鼻にマスクを装着し、装置で空気を送り込むことで鼻から肺へ続く空気の通り道を広げ、無呼吸を防止する一般的な治療法です。一方、軽症の患者さんに対しては、歯科で作製してもらう専用のマウスピースを使った治療も普及しています。こうした装置を使った治療に対して煩わしさを感じるかもしれませんが、続けていくことで睡眠の質の改善が期待できます。睡眠時無呼吸症候群は、治療により症状のコントロールが図れる病気です。早めに医療機関を受診して、必要な治療を受けてください。
- Qこちらで行っている睡眠時無呼吸症候群治療の特徴は何ですか?
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A
▲携帯しやすいポータブル装置なので治療が継続しやすい
CPAP療法は装置が年々進化して、現在ではより手軽かつ快適に治療を継続できるようになりました。当院でも、治療継続のハードルを少しでも下げられるように、旅行や出張に携帯できるポータブル装置や、空気の圧力や睡眠データを遠隔モニタリングできる新型の装置を導入しています。また、患者さんに実際に装置を試していただくなど、安全性に配慮した、より不安の少ない治療の導入、継続に努めています。一方、管理栄養士も複数在籍しており、肥満の解消などを目的にした生活習慣の改善サポートに対応しているのも当院の特徴です。CPAP療法などによる治療と並行して生活改善に取り組むことで、よりスムーズな症状の改善をめざします。