森川 高司 理事長の独自取材記事
森川内科クリニック
(尼崎市/塚口駅)
最終更新日:2025/02/25

塚口駅より徒歩3分、ミリオンタウン塚口2階にある「森川内科クリニック」は、内科・小児科を中心に、糖尿病をはじめとする生活習慣病の治療、各種検査、健康診断、予防接種など、幅広い分野の診療を行うクリニックだ。2016年に同院を開業した森川高司理事長は、呼吸器や感染症など内科領域を中心とする豊富な診療経験を生かし、患者の全身を診るゼネラリスト。患者を何よりも優先し、かかりつけ医として地域医療のプライマリケア機能の一端を担っている。森川理事長は「私の使命は悩み、困っている患者さんの声に応えること。どんな時も誠実に患者さんと向き合いたい」と語る。穏やかな笑顔で患者と向き合い、寸暇を惜しんで診療にあたる森川理事長にクリニックの方針や特徴について、詳しく話を聞いた。
(取材日2022年12月5日)
ゼネラリストとして地域のプライマリケアを担う
まず医師をめざしたきっかけからお聞かせください。

ご覧のとおり、私は今は元気ですが(笑)、幼い頃はとても体が弱く、病気の治療のために行った病院で違う病気をもらってきてしまう……そんな子どもでした。その時の医師が、小児科を専門にしつつ、何でも診てくれる先生で、私の他に祖母も頼りにしていました。困っている人には必ず手を差し伸べてくれる、頼りがいのある存在だったんです。すごく温厚で優しくて、「自分もこんな先生になりたい」とずっと思っていました。「地域の患者さんのお役に立ちたい」という思い、「何でも診る医師になりたい」という希望は、この先生を慕う気持ちから生まれたものです。その思いは現在につながり、今も私の中で息づいています。
医師になってから開業に至るまでの経緯を教えてください。
奈良県立医科大学を卒業後、同大学の付属病院や救急対応をする地域の病院など、多くの病院でいろいろな症状の患者さんと出会いました。現場ではあらゆる内科系疾患に対応する力が求められ、その中で多くのことを学びました。そういった経験は、「患者さんの全身をしっかり診る」という、現在の自分の診療スタイルの基礎になっています。ただ、病気に苦しむ患者さんを診ているうちに「治療するだけが医療なのだろうか」という疑問が浮かんできました。東洋医学でいう、健康な人が病気になる一歩手前の段階「未病」の状態のときこそ、医師の適切なサポートが必要なのではないかと思うようになったのです。しかし勤務医という立場では、その段階から患者さんと関わるのは難しいことでした。そんな折に、この場所で開業できるチャンスに恵まれましたので、自分の理想とする医療を提供しようと開業を決めました。
診察する上でどのようなことを心がけていますか?

患者さんを何よりも大事にしていくということです。患者さんを「診させていただいている」という立場であると心得て、地域の患者さんに寄り添いたいと思っています。例えば、日曜日は休診になる医療機関が多いため、開業当初から日曜日も診察していますが、急病などで遠くから来院する方も少なくありません。それに加えて、在宅療養支援診療所として訪問診療も行っています。他にも午前の診察で「胃が痛い」と訴える方が来られたとしたら、空いた時間を見つけてすぐに検査ができるように手配するなど、常に患者さん第一の対応を心がけています。ちなみに上部消化管内視鏡検査は患者さんの負担に配慮して経鼻内視鏡を導入し、平日の朝8時からや土日にもできるようにしています。また、普段の診療は電話とウェブで予約できますが、予約なしでも受けつけています。「いつでも相談に行こう」と頼りにされる、それが私のめざすクリニックです。
検査・検診を通して、健康への意識を引き出したい
クリニックとしての特徴はありますか?

当院は、内科領域をメインとして、一人の患者さんの全身を継続的に診るということを大切にしています。例えば、高齢の方などで複数の疾患がある場合でも、当院への通院だけで済ますことができるように努めていますし、MRIなど精密な検査や手術が必要な場合は、兵庫県立尼崎総合医療センターをはじめとする連携施設をご紹介し、スムーズな引き継ぎに努めています。また、さまざまな専門機器を充実させて検査・検診に注力しているのも特徴です。最近では保険診療だけでなく、自費による先進の検査も導入し、多くの患者さんの健康管理に役立てたいと考えています。「病気になる前の予防」に興味を持つ方が増えてきたら、私としてはとてもうれしいです。
検査の特徴についてもう少し詳しく聞かせてください。
当院では検査結果を早くお伝えできるのが特徴です。糖尿病の検査結果は最短1分で出ますし、健康診断の血液検査の結果も即日お渡ししています。どんな病気も早期発見が大切ですが、検査結果が出るまでに時間がかかるため、なんとなく面倒に感じている方は多いと思います。また、検査後に不安な気持ちが続くのが憂うつだと感じていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。その点、検査当日に結果が出れば、不安を感じる時間を減らすことができ、万が一の場合にもすぐに治療に取りかかることができます。公費で受けられる特定健診にも対応していますので、ぜひ積極的に受けていただければと思います。
健康を保つために、検査を大切にされているということが伝わってきます。

がんや認知症など、高齢化していく社会の中で避けて通れない病気はありますが、早期発見さえできれば、進行を遅らせることも望めますし、完治をめざすことも可能です。まったく病気にならない人はいないけれど、早く治療をすることで元気に過ごせることも期待できます。今は検査の方法も検査機器も多くありますし、血液検査でがんや認知症を初期段階から発見につなげられる時代。医療機関を上手に利用して、自分の身体の状態を確認し、より健康に元気に過ごしてもらえたらと強く願っています。当院では、親子やカップル、友人同士での健診も大歓迎です。誰かと一緒に健診を受けることで新しい気づきがあることも多いです。皆で支え合う未来のためにもお勧めですよ。
病気ではなく患者を見つめ、地域医療に貢献したい
他にも注力されていることはありますか?

一つは新型コロナウイルス感染症に関することです。大学病院等でも使用されているクリーンパネルを導入したり発熱患者さんの動線の確保などの感染防止対策に努めるとともに、後遺症に悩む患者さんの声にも耳を傾けています。病気には検査結果に表れるものだけでなく、数値に表れてこないものも多くあります。思考力の低下や倦怠感、疲労感、痛みやめまいなどがあれば、日々の生活はとてもつらいものです。また、最近は男性で更年期症状に悩む人も多くいらっしゃいます。薬物療法はもちろんですが、生活習慣や食生活の改善で症状の緩和につながることもありますので、「なにかおかしいな」と感じたら、まずは相談してほしいですね。
院内の雰囲気もすてきで、とても落ち着きますね。
開業当初から「患者さんが少しでも安らげるクリニックにしたい」と考えていました。院内やホームページのデザインなどもその一環で、ロゴマークは妻が考案したもの、壁紙やステンドグラスにも、われわれの想いが込められています。また、より良い医療情報をお届けするためのニュースレターを発行したり、ホームページ上で公開したりもしています。以前は健康講座も開催していたのですが、残念ながら新型コロナウイルスの流行下で開催を控えています。患者さんとの交流の場として、ぜひ復活させたいと思っていますので楽しみに待っていてほしいです。また、お子さま連れの方の検査や通院も大歓迎です。お子さまが退屈したときはタブレットの貸し出しもしていますので、声をかけてください。
それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。

病気になる前の「未病」での受診や「予防」のための医療を広め、地域の皆さんの健康促進のお手伝いをしたいと考えています。今はまだ自費診療になるものがほとんどですが、時代とともに変わっていくはず。病気にならないための「クリニック」として、幅広く総合的な診療を続けていきたいと思っています。「診療を受ける側の視点を持ち、患者さんに寄り添う」という当院の姿勢がより広く理解されるとうれしいですね。他にも、在宅医療が行える高齢者向け賃貸住宅の可能性など、考えていることはまだまだたくさんあります。病気ではなく患者さんを見つめ、これからも有用な情報を発信し、地域医療に貢献できるように、今後も自己研鑽に努めていこうと思っています。