全国のドクター9,189人の想いを取材
クリニック・病院 158,628件の情報を掲載(2024年4月28日現在)

  1. TOP
  2. 埼玉県
  3. 川口市
  4. 川口駅
  5. 医療法人健仁会 益子腎臓内科透析クリニック
  6. 岡本 日出数 院長

岡本 日出数 院長の独自取材記事

益子腎臓内科透析クリニック

(川口市/川口駅)

最終更新日:2024/04/17

岡本日出数院長 益子腎臓内科透析クリニック main

JR京浜東北線・川口駅から徒歩8分の場所に位置する「益子腎臓内科透析クリニック」。院内は診察室の他に透析室を設置し、2フロア各30床という規模だ。院長の岡本日出数先生は、東京慈恵会医科大学での講師を務める傍ら、日本腎臓学会腎臓専門医や日本内科学会総合内科専門医の資格を持ち、多くの研鑽を積んだ腎臓内科のスペシャリストだ。同院では透析以外にも糖尿病や慢性腎臓病についても積極的に診療し、とにかく早期発見・治療できるよう健診の受診や、専門医療機関に早めに相談することを啓発している。「腎臓というのは、人生を左右するくらい重要な臓器ですので、一度治療に入ると長いお付き合いになります」と穏やかに話してくれた岡本院長。クリニックの特徴や強み、診療する上で大事にしていることなどを聞いた。

(取材日2023年9月20日)

慢性腎臓病のサポートと透析が同時にできるクリニック

先生のこれまでのご経歴について伺えますでしょうか。

岡本日出数院長 益子腎臓内科透析クリニック1

大学卒業後は東京慈恵会医科大学附属病院の第二内科に入局しました。医局が臓器別に再編されたタイミングで腎臓・高血圧内科に移り、神奈川県立衛生看護専門学校付属病院(現・康心会汐見台病院)に2年半ほど在籍。そちらから当院が所属するグループでもある医療法人健仁会の益子病院に移った後、こちらの地域で早くから腹膜透析なども行いました。その後大学に戻り、神奈川リハビリテーション病院の内科副部長を経て、益子病院へ再配属され、2013年からこちらのクリニックの院長になっています。

クリニックにはどういった患者さんが多くいらっしゃいますか?

最近はご高齢の方が多いです。原疾患の多くは糖尿病性腎臓病か腎硬化症です。昔のように、慢性糸球体腎炎から透析になる方はほとんど見かけなくなりました。日本の新規透析導入年齢は年々上昇し、2021年現在、平均約71歳といわれており、かなり高齢化が進んでいることがわかります。当院でも透析の患者さんの高齢化が進んでいることは否めません。透析患者さんの高齢化により、一般的に残念ながらお亡くなりになったり、自己管理ができず、長期で施設療養に移られたりする方も多くなってきているかと思います。当院では患者さんの高齢化に対して、スタッフを増員し、きめ細かなケアでサポートしていきたいと考えています。

こちらのクリニックの強みについて教えてください。

岡本日出数院長 益子腎臓内科透析クリニック2

2023年7月から臨床検査技師が加わりました。そのため、今後は多様なエコー検査が行えるのが強みです。透析の患者さんは腎臓がんになるリスクが高く、早期発見のためにもスクリーニング検査が重要です。院内で年1回の腹部エコー検査を実施したり、院外でCT検査を行ったりするだけでもがんの早期発見につながります。また、心臓エコー検査も重要だと考えます。腎臓病と心臓病は密接な関係があり、腎臓が悪いと心不全のリスクも上がります。血液透析の患者さんが透析を行う際に必要不可欠な、静脈を動脈に縫い合わせてつなぎ、動脈血を直接静脈に流す「シャント」は、心不全を合併する患者さんでは心臓に負担をかける可能性があるため注意をしなくてはなりません。今後はエコー検査を行うことで、動脈硬化のフォローアップや、副甲状腺の評価なども行っていきたいですね。

患者一人ひとりに合った健康管理や指導を実施

慢性腎臓病(CKD)とはどういった疾患なのでしょうか。

岡本日出数院長 益子腎臓内科透析クリニック3

慢性腎臓病(CKD)とは慢性に経過するすべての腎臓病を指し、2012年の日本腎臓学会作成のCKD診療ガイドでは、患者さんは全国に約1330万人いると報告されています。その人数は20歳以上の成人の8人に1人に相当し、一般の方には知られていないかもしれませんが新たな国民病とされています。当院では、透析以外に腎臓内科の外来も行っているため、いわゆる保存期のCKDの患者さんも多くいらっしゃっています。CKDは単に透析療法が必要な末期腎疾患のリスクになるだけでなく、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患をはじめ、心不全といった心血管病のリスクになることもわかっています。CKDのサポートと透析を行っているクリニックはあまりないと思います。ぜひ当院で1人でも多くの患者さんをCKDの保存期から透析期までフォローアップできたらと思っています。

どういったタイミングで専門医療機関を受診すれば良いのでしょうか。

CKDの患者さんは、健康診断などで腎機能が悪化している、あるいはタンパク尿が出ていると言われて受診されることが多いため、まずは健診を受けていただき、タンパク尿や血尿のチェック、腎機能障害がないかを把握していただきたいです。2023年度版のCKD診療ガイドラインには、腎臓内科への紹介基準として、推算GFRの数値とタンパク尿が陽性であることとありますが、まだ有効に機能していない可能性があります。CKDの患者さんは増加傾向にあり、きちんと脂質や血圧、糖尿病の管理をし、適切な食事指導を行う必要があります。当院では患者さん一人ひとりに合った生活習慣病の管理や栄養指導も行っておりますので、不安がある方は、ぜひお越しいたければと思います。

CKDを患った場合、自覚症状はあるのでしょうか。

岡本日出数院長 益子腎臓内科透析クリニック4

腎臓の病気は初期段階ではこれといった自覚症状はありません。進行するとむくみや倦怠感、排尿時に尿に泡が立って消えないなどの症状が出てきます。ただし、症状が出てくる頃には病状が進んでいることが多いです。健康診断の数値を軽視せず、気になることがあればとにかく早めに専門の医療機関にかかっていただきたいです。若い方でも腎臓病にかかる方はいますので、年齢でなかなか区分けすることもできません。若いうちに罹患した場合、しっかりコントロールしておかないと、年を重ねた時に腎機能を保つことができずに透析になる方が多くいらっしゃいます。早期に治療を開始することで、腎臓の障害を進行させるタンパク尿の減少、血清クレアチニン値の上昇、GFR低下の抑制を図って、少しでも多くの患者さんが透析に至ることがないようにしたいですね。

長い治療期間を乗り越えるために大切な信頼関係の構築

先生が診療する上で大事にされていることがあれば教えてください。

岡本日出数院長 益子腎臓内科透析クリニック5

患者さんやご家族に説明する時には、なるべく難しい専門用語は使わないよう意識しています。専門用語で手早く説明してしまうと、患者さん側はわかっているようで実はわかっていなかった、ということが起こり得ます。説明する際にはできるだけ言葉をかみ砕いてお話しし、「今お伝えしたことは理解できましたか?」と復唱して、必ず相互理解を深めるようにしています。そうすることで診療時間が長くなることもありますが、そこを省くと診療にいい結果が生まれてきません。きちんと説明すれば患者さんから「数値は変わりましたか?」などと積極的に質問していただけるようになり、難しい食事管理も努力していただけるようになります。

患者さんと接する時に心がけていることはありますか?

ご高齢の患者さんの場合には耳が遠い方が多いので、聞こえているふりをしてうなずいてはいるものの、すべてを理解できていないケースもあります。理解していただけるように諦めず、根気強く耳元でしっかりと話してコミュニケーションを取るように心がけています。大きな病院だと待ち時間が長く混雑していて、なかなかそこまで診察の際にケアができないと思いますので、クリニックだからできることは極力やっていきたいです。腎臓はその人の人生を左右する重要な臓器で、一度治療に入ると長いお付き合いになります。10代でいらっしゃった患者さんが今30代になり、50代でいらっしゃった患者さんが70歳になるなんてことも少なくありません。長く継続して治療するために、医師と患者さんとの信頼関係の構築は非常に大事にしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

岡本日出数院長 益子腎臓内科透析クリニック6

腎機能や尿の異常を指摘された場合、腎臓の専門医療機関にかかり、透析に至らないようにするために早期に治療を開始し、腎機能が悪化しないようにすることが大切です。一方、透析になってしまった場合には、良い透析を行い、元気に長生きしていただくためのサポートをしっかり行っていくことが大切です。当院では腎臓病や生活習慣病に関する食事指導や生活習慣のアドバイスも行えますので、お気軽にご相談ください。また、スタッフ一同、患者さんの緊張を取り除くことはもちろん、患者さん自身が抱える不安を自然と話してもらえるような環境づくりをめざしています。腎臓疾患でお悩みがあればぜひ一度お越しいただければと思います。

Access