宮崎 洋子 院長の独自取材記事
青山歯科医院
(狛江市/喜多見駅)
最終更新日:2024/12/02

狛江市東野川の閑静な住宅街にあるのが「青山歯科医院」。周囲の住宅に溶け込むようにたたずむ同院は、1964年に宮崎洋子院長の父が開業した。忙しかった父を助けたいと歯科医師をめざした洋子院長だが、前院長は国家試験前日に他界。親子診療はかなわなかった。「結果的に父とは働くことはできませんでしたが、こうやって父が診ていた患者さんを診られることは、とてもうれしいことですね」と洋子院長。父の意志を継ぎ、地域の患者を温かくこまやかに診療している。洋子院長は同院での診療だけでなく、狛江市歯科医師会に関連した院外活動にも精力的に取り組む。歯科だけでなく、医科とも連携し、健康に関する啓発活動を行うほか、小学校の校医や保育園の園医も務める。なぜそうした取り組みを行うのか、洋子院長の歯科医療に対する想いを聞いた。
(取材日2024年09月11日)
一般歯科と矯正歯科の二軸で専門性の高い治療を提供
どういった診療を行っていますか?

虫歯や歯周病の治療はもちろん、顎関節症の治療やホワイトニング、歯列矯正なども行っています。歯列矯正は、これまで他院の歯科医師をご紹介してきましたが、専門の先生による診療が院内で行えるようになりました。ワイヤーによる矯正のほか、マウスピース型装置を用いた矯正にも対応します。当院には人前に立つお仕事をされている患者さんもいらっしゃるので、そうした方には目立たない矯正方法をご提案することもあります。実は、矯正歯科を担当する歯科医師は、私の娘です。私の父である前院長は、一般歯科と小児矯正を専門にしていて、「矯正はとてもやりがいがあるよ」と聞かされていました。そのため私も矯正に興味を持ち、勉強したのですが、私が歯科医師になるのと入れ替わるように父が他界してしまい、私は一般歯科に注力することに。娘に勧めたつもりはないのですが、矯正を専門としてくれたことをうれしく思います。
親子で診療を行っているのですね。
はい。娘だけでなく、私の夫も歯科医師なので、家族全員が歯科医師です。夫は日本大学歯学部保存修復学講座の教授をしております。当医院での診療はしておりませんが、最新の技術や材料の情報の提供は常にしてくれております。私が歯科医師をめざしたきっかけは、歯科医師として忙しくしていた父を助けたいと思ったことでした。「そんな甘い考えでは歯科医師は務まらない」と反対されたことも懐かしい思い出です。私は父と一緒に働くことがかないませんでしたので、娘と一緒に働けることに喜びを感じています。
院内で歯列矯正が受けられるメリットを教えてください。

院内で歯列矯正ができることで、矯正の前後、通院中のメンテナンスが柔軟に行えます。例えば、矯正中に虫歯になった場合、装置をいったん取り外さなければなりません。これまでは、矯正を受けている歯科医院で外してもらうという手間が、患者さんにありました。それが、今は当院で装置の取り外しから、虫歯治療後の再装着まで一貫して行えるので、患者さんの負担が大きく低減できたと思います。また、矯正後のメンテナンスも、他の治療と合わせて行えることもメリットでしょう。現在、矯正歯科は月に2~3日の診療で対応中です。今後はもう少し診療日を増やして、より多くの患者さんを診たいと考えています。
女性ならではのこまやかなコミュニケーションを大切に
スタッフが全員女性とのことですが、これには何か理由があるのでしょうか。

女性だけのほうが気軽に、緊張せずに、皆さんがいらっしゃることができるのではという考えがあります。歯科医院というのは、どうしても怖い感じがしますよね。けれど当院は、まず気軽に世間話をするところから始まります。お話しすることを通院の動機づけにしていただきたいほどです。また、診療でもそれ以外の部分でも、こまやかな対応を心がけています。例えば詰め物一つにしても、できるだけ歯の色に合わせた自然なものを選べるよう、たくさんの色を用意するなどです。歯の色は個人差がありますし、実はメーカーによっても色が微妙に違います。単に白くさせることだけでなく、その人に合った自然な色味が選択可能です。
診療の際に心がけていることはどのようなことですか?
患者さんはすべて家族だと思っています。私だったら、家族にどんな診療を、治療をしてあげたいかな、ということをまず考えます。こう考えるようになったのは、自分が患者として病院を受診した際、医師と自分との間にとても大きな隔たりを感じたからです。言いたいことが言えない、うまく思いが伝わらないという経験をしました。私は「患者さんの言葉にならない思いをくみ上げてあげたい」、家族だと思って接すればそれができると思ったのです。患者さんのお話をよく聞きながら、その方とより近い距離感でいられる接し方をするようにしています。
先生が考えている「負担をできるだけ与えない治療」について詳しく教えてください。

私の考える「負担を与えない」というのは、治療における負担軽減と、治療前の緊張を和らげるということです。特に、治療前の緊張を和らげるといった部分では、患者さんとの対話をとても大切にしています。治療方針をしっかり説明することもそうですが、治療とは関係のない世間話をすることも少なくありません。お話しすることで、患者さんの緊張がほぐれればと思っています。また、自然歯を削ることを極力避けたいため、定期的にクリーニングと歯磨き指導を受けていただくことを推奨しています。虫歯になるのを防ぎ、万が一虫歯になっても検診を受けていただくことが大切です。定期的にクリーニングや検診を受けている患者さんには、積極的に褒めるようにしています。患者さんにモチベーションを保っていただくためです。検診は通常3~6ヵ月に1回ですが、月1回のペースで通う方もいらっしゃいます。
院外での啓発活動にも積極的に取り組む
狛江市歯科医師会の活動も熱心に取り組んでいるそうですね。

はい、歯科医師会の学術関係の活動を担当しています。これまでは、歯科医師会の中で勉強会や学術講演などを行っていましたが、医科の先生方とも連携した取り組みを始めました。例えば、顎骨壊死(がっこつえし)に関する医科歯科連携セミナーなどです。顎骨壊死とは、顎の骨の組織や細胞が部分的に壊死し、骨が腐る状態のことをいいます。骨粗しょう症を患っている方が、骨密度を高める目的の薬を服用すると、この顎骨壊死になりやすいのではといわれてきたのですが、必ずしもそうではないことがわかってきました。むしろ歯科治療中に、骨粗しょう症の治療を休止することがリスクなのです。そこで、そうしたことを歯科だけでなく、医科の先生方にも知っていただきたいと開催した次第です。ウェブセミナーでしたので、全国各地の先生方にご参加いただけました。今後は、一般の患者さんにもお伝えできる機会が作れればと思っています。
院外での活動を行う理由について教えてください。
新しい情報を正しく知っていただきたいからです。ウェブで何でも調べられる時代ですが、そこには古い情報や不正確な情報もたくさんあります。間違った情報を見て、不安を感じてほしくありません。私は小学校の校医や保育園の園医も務めていますが、子どもたちにも歯科について正しく理解してもらいたいと思っています。小学校では、歯科の授業を行うこともあるんです。また、狛江市では歯科検診に力を入れていて、狛江市歯科医師会とも連携して実施しています。これは、国が準備を進めている国民皆歯科検診にもつながることです。当院にも、市で実施した歯科検診にいらっしゃる方も多く、こうした取り組みが歯科治療を受けるきっかけになればと思います。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

歯科医院はなかなか受診したくない場所だと思います。虫歯も痛みが治まってしまえば、そのままにしてしまう方も多いでしょう。しかし、残念ながら歯科は自然治癒しません。放置したことの代償はとても大きいものになります。ご高齢の方が若い時にしておけば良かったと思うことに、歯科治療が上位にランクインするそうです。歯は失ってしまえば取り戻すことはできません。まだ治療できるうちにしっかり対処しておきましょう。当院ではできるだけ患者さんの歯を保存することに努め、怖くない治療を行っています。お子さまからご高齢の方まで、幅広いお口の悩みに対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはワイヤー矯正/75万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/90万円~、ホワイトニング/3万3000円~