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細谷 律子 院長の独自取材記事

細谷皮フ科

(狛江市/狛江駅)

最終更新日:2021/10/12

細谷律子院長 細谷皮フ科 main

狛江駅から徒歩約3分。1984年の開業から30年超の歴史をもつ「細谷皮フ科」は、地域の幅広い世代が信頼を寄せるクリニックだ。細谷律子院長は、肌トラブルに悩む患者の心に寄り添う姿勢が高い信頼を得ている。アトピー性皮膚炎をはじめ、円形脱毛症やニキビなど、慢性皮膚疾患をもつ患者の中には、心理的な配慮を必要とするケースも多いため、臨床心理士の資格も持つ細谷院長自ら、心理にアプローチする描画や森田療法的アプローチなど心理カウンセリングも行っている。「お子さんの慢性的な皮膚トラブルには、母親との関係性がカギを握ることも多く、お母さん達へのサポートにも力を入れています」と話す細谷先生に、皮膚と心理の両面から取り組む皮膚治療について話を聞いた。

(取材日2016年12月22日)

皮膚と密接に関係する心のケアにも取り組む

狛江で開業されたのはなぜですか?

細谷律子院長 細谷皮フ科1

私は東京慈恵会医科大学出身で、狛江からも近い慈恵医大第三病院にも勤務していましたので、「精密検査や手術が必要な患者さんを紹介するのに近くて安心」というのが一番の理由です。慈恵ではアトピー性皮膚炎における食物アレルギーを研究していました。その当時から感じていたのは、慢性的な皮膚疾患の中には、ストレスなど心理的要素が影響して悪化するものも多いということでした。例えば食物アレルギーの治療においては食事制限をすることもあるのですが、お母さんが完璧な食事制限をめざすあまりノイローゼのようになったり、自責的になったり、つらい心理状況になっていることも少なくありません。母親が精神的に疲れ果てると、子どもも苦しくなってしまいますから、まずは母親の心の状態をケアしたいと思っていて、父親や家族の援助もお願いしながら治療を進めていきます。

支える側の心のケアも大事なのですね。

かゆいときにだけでなく、思い通りにならないときに搔いたりもします。掻けば母親はイライラするし「掻いちゃダメ」と声を荒げれば子どもはもっと掻いたりします。皮膚症状に対して親子が悪循環を形成してしまうのです。母親が子どもの心と向き合い、親子の温かい心の交流が生まれると、子どもも皮膚に執着しなくなり、掻くなどの行動が減るので、薬の効果が発揮されて、皮膚症状は改善しやすくなってきます。

どのような方が多く診療に来られますか。

細谷律子院長 細谷皮フ科2

乳幼児から高齢者まで、アトピー性皮膚炎、尋常性座瘡(ニキビ)、湿疹、尋常性乾癬、円形脱毛症など、一般的な皮膚疾患の患者さんが多いです。アトピー性皮膚炎などは小さい頃からずっと診させてもらうことが多いので、親子3代にわたって診ているご家族もいらっしゃいます。お母さんの子どもの頃を思い出して、赤ちゃんの治療をすることもよくあります。ご高齢の方も増え、悪性腫瘍など手術や精密検査が必要なケースも増えてきました。その際は、近くの大学病院など特定機能病院などへ、速やかに紹介します。早期発見・早期治療につながる正確な診断を行うことが、地域医療に携わる医者の役目だと考えています。

受付から始まる一人ひとりにベストな治療

先生の診療方針をお聞かせください。

細谷律子院長 細谷皮フ科3

皮膚疾患の治療における最新の情報を提供し、正確な診断、指導をすることを心がけ、全人的に治療することをモットーとしています。心理的ストレスが痒み、じんましん、円形脱毛症などを生じさせ、またイライラから掻く、毛を抜くなどの行動が習慣化してしまうため、慢性皮膚疾患を持つ患者さんに対しては心理カウンセリングを行うこともあります。その際も、まず優先されるべきは、的確な皮膚科的診断と治療です。最近は患者さんのほうから「ストレスが原因で……」とおっしゃるときがありますが、必ずしもそうではないこともあります。まずは皮膚を観察して、有効と思われるできる限りの治療をすることを第一にしています。ご高齢の方は薬がうまく塗れないために治りが悪いことも多いです。処置のために通っていただき、週3~4回薬を塗って差し上げると、見違えるほど良くなりうれしくなります。

診察は予約制なのですね。

2~3時間待ちということが多かったので、20年程前から予約制で診療しています。それでも患者さんの症状により、1時間ほどお待たせしてしまうこともあり申し訳なく思っています。当院がめざす一人ひとりにきめ細かい診療が提供できるのは、支えてくれる優秀なスタッフのお陰です。看護師も受付もみな「受付した時から治療は始まっている」という姿勢で、患者さんのために親身に取り組んでくれる自慢のスタッフです。

描画でどのようなことがわかるのですか。

細谷律子院長 細谷皮フ科4

例えば家族の絵を描いてもらうと、自分だけ家族と離れて描いたりなど子どもの心情を垣間見ることができます。子どもの中にはいい子になろうとするあまり、親に本当の気持ちを言い出せない子もいます。円形脱毛症になってしまったある女の子は、プールを見た途端に吐くほど水泳がストレスなのに、母親に水泳を辞めたいとは言い出せなくて強化練習の時に一気に悪化してしまいました。辞めた途端に治ってしまって。お母さんに自分の気持ちに気付いてもらえたことで、親子関係がすごく良くなりました。子どもは口で十分言えない分、体で表現することがあるのです。

皮膚と心の両面から手作りの診療を提供

森田療法とは何ですか?

細谷律子院長 細谷皮フ科5

「不安はそのままに、今やるべきことをやっていく」ことを実践してもらい、あるがままの生き方を体得していく治療法です。感情は操作不可能。感情はそのままに今しなければならないことを行動することが大事。”行動していくうちに心理的変化が生じる”がこの治療法の理念としてあります。受験への不安からイライラして皮膚を掻くことが習慣化しているなら、不安だと思ったら単語を1つ覚えるのも一手です。そして足らない部分を悩むより自分のもっているものを生かす、どんな不幸な状況にあっても、その中で幸せな部分を見つけるなどの行動が習慣になるようにも指導していきます。他人と比較して落ち込むより自分自身も他人も認めることができる。このような生き方はストレス対処能力を強めることにもなると思います。そして、これらの指導を小さい頃から行っていきたいと思うのです。

母親が気を付けるべきポイントは?

ストレスを生じやすい性格や生き方は、素因と育てられた環境の影響を受けます。小さい頃から心をケアしていくことは大事で、当院ではお母さん方への養育の相談や指導を心がけています。乳幼児期には十分なスキンシップと愛情豊かな語りかけが大事。「無条件に愛されている」「ありのままでいい」と感じさせることが大切なのです。自分の存在に自信が持てると、将来出会うであろう困難な課題に向き合う勇気や、他人を思いやる気持ちが養われます。成人の患者さんに対しても、心理的なことに関して提案やアドバイスはしますが、私もあくまで患者さんと同じ悩む人間です。一緒に考えていきたいと思っています。皮膚病を心身ともに診ていく、一人ひとり手作りの治療です。今後も丁寧に手作りの診療を続けていきたいですね。

先生の美肌の秘訣は?

細谷律子院長 細谷皮フ科6

ありがとうございます。石鹸洗顔と化粧水、クリームの3つだけ。すごくシンプルでしょう(笑)。ファンデーションは乾燥するから付けません。患者さんも付けないほうが調子がいいとおっしゃいますから、試してみてください。いろいろ塗るよりシンプルが一番じゃないかしら。あとは犬との散歩がよいリフレッシュになっています。

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