増田 洋祐 院長の独自取材記事
ますだ皮ふクリニック
(安城市/安城駅)
最終更新日:2024/12/03

住宅街の一角に、2016年に開業した「ますだ皮ふクリニック」。増田洋祐院長は大学病院で形成外科を専門に研鑽を積んだドクターで、これまでに培った経験を生かし、皮膚全般の相談に応じている。患者は生後数ヵ月の赤ちゃんから高齢者まで幅広く、悩みの内容もさまざま。第三者からすると気にするほどでもないととれる悩みも少なくないだろうが、「どれだけ小さなあざや傷痕でも、すごく悩む患者さんは多いです」と話す増田院長。悩みをうまく言葉にできず口ごもる患者も少なくないことを踏まえ、スタッフと連携しながらスムーズかつ丁寧に悩みを引き出すことを徹底しているという。開業時から変わらず「皮膚に関することならなんでも相談できるかかりつけ医」をめざし、試行錯誤を重ねる増田院長に、診療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年2月8日)
皮膚に関する幅広い悩みに応え、患者を笑顔にしたい
医師をめざしたきっかけと、形成外科の道に進んだ理由を教えてください。

自分の技術によって何かを生み出していく仕事がしたいと思っていて、父が耳鼻咽喉科の医師だったのもあり、将来の仕事として真っ先に浮かんだのが医師でした。形成外科の道に進むと決めたのは、初期研修2年目の夏頃でしょうか。なかなか専門を決められずにいた中で、ある形成外科の先生との出会いがありました。研修先の病院には形成外科がなかったのですが、週1回形成外科の先生が皮膚科にいらしていたんです。その先生が患者さんと接する姿を見て「これだ!」と思いました。形成外科は技術で勝負できる領域だと感じたんです。形成外科の魅力は、ちょっとしたこだわりが結果に出やすいこと。例えば、ケガをした場合でも、そこを縫って治すのか、縫わずに治すのかは医師の判断になります。傷痕も目立たないほどきれいな処置をめざすことで、医師として喜びを感じるだけでなく充実感もありました。その経験も、形成外科に進むきっかけの一つでした。
開業前にはどのような研鑽を積まれてきたのでしょうか?
形成外科は、文字どおり「形を成す」治療を行う科です。大学病院などでは、重度のやけどの患者さんの治療を行ったり、耳鼻咽喉科や脳神経外科など他の診療科と合同で大がかりな手術を行ったりすることもありました。全身に及ぶ治療を手がけることも少なくなく、幅広い知識が求められますし、複数の形成外科の医師とチームを組んで手術することもあります。とても奥が深い分野です。大変だと思う時もありましたが、できるだけ早く回復させてあげたい、患者さんがどんどん元気になっていく姿を見たいという気持ちがあったので頑張れましたし、やりがいも感じていましたね。クリニックを開業してからは、大きな手術をする機会はありませんが、大学病院での経験を生かして、患者さんの治療にあたっています。
開業のきっかけを教えてください。

大学病院に勤務していると大きな手術を経験できるので、技術を向上させる意味でも、できれば長く勤務したいと思っていました。一方で将来は開業したいという気持ちも抱えていて。いずれは自分の技術で勝負したいと思っていたので、あとはどのタイミングにするかという問題でした。そんな折、父が引退し兄が後を継ぎました。それに刺激を受けたというわけではないのですが、その頃には自分の技術に自信を持てるようになっていたので、1年間の準備期間を経て2016年に当院を開業しました。
悩みを打ち明けられる関係性を築くことが治療の第一歩
現在、どのような患者さんが来院されているのですか?

生後数ヵ月から90代の方まで、全世代といえるほど幅広い年齢層の患者さんに利用いただいています。ご相談で多いのは、皮膚の炎症など日常生活で起こるようなトラブルが大半です。形成外科に関しては、あざの治療や、ほくろなどのできものを切除するような、手術関連の相談にも応じています。あざの治療やできものの手術は、形成外科が得意とする領域ですね。その他、自費診療で行う美容皮膚科では、しみやしわ、保険適用外の小さなほくろなどの相談が多いです。
診療時、どんなことを心がけていますか?
基本的なことではありますが、患者さんの話をしっかり聞いてお悩みを引き出し、適した対処法を提示することを常に心がけています。特に皮膚の悩みは、こちらが見過ごしてしまいそうな小さなしみやニキビでも、患者さんはすごく悩んでいることがあります。ですから、患者さんの言葉に耳を傾けることが大前提となります。ただ、医師にいきなり相談するのは緊張する方も少なくありません。当院では、患者さんが待合室にいる間に、あらかじめスタッフが症状や悩みをヒアリングします。ワンクッション置くことで、かなりリラックスする患者さんも多いですね。ありがたいことに多くの患者さんにご利用いただけるようになった一方で、忙しさに追われることも増え、反省することも多くなったように感じます。そういった時は初心に返って、患者さんと向き合うことの大切さを意識するようにしています。
スムーズな診療には、スタッフさんとの連携が欠かせないのですね。

事前にヒアリングを行うスタッフも、無理に踏み込まないようにするなど、患者さんの様子をこまやかに把握しながら進めてくれるので心強いです。診察では、クラークをつけてカルテ操作を手伝ってもらっています。そうすることで、私は診察に集中できますし、患者さんとコミュニケーションをしっかりとることができると考えています。正直に言えば、他のクリニックと比べて1日あたりの診察人数は多いとはいえないかもしれません。でもそれは、一人ひとりの患者さんに向き合うための時間をしっかりと設けたいと考えているからでもあります。とはいえ、もっとうまくできるんじゃないかと立ち返る毎日です。その度に反省して、初心に返って、どうしたら良いかを模索しています。
適切な時期に治療を始めるためにも、まずは相談を
印象的な患者さんとのエピソードをお聞かせください。

医師になって間もない頃の話なのですが、がんの手術を控えた患者さんと担当医の先生が手術について話をしていた時のことです。当時、その場に私も同席をしており、担当医の先生が手術の内容などを詳しく患者さんに説明をしていました。そして最後に「何か質問はありますか?」と尋ねると、患者さんが「傷痕は残りますか?」と聞いてこられたんです。生死に関わる大きな手術の話の中で、最後の質問が見た目に関する話だったことにとても驚きました。その一方で、傷痕が残るかどうかが患者さんにとって重要なことだということも再認識し、形成外科の責任の重さと、この仕事のやりがいを感じました。開業後も、ちょっとしたあざでもできるだけきれいにしてあげたいと、レーザー治療器を複数種類用意しました。患者さんが抱える悩みを可能な限り解決できる環境を整えたいと思ったからです。
悩みを解決するためにも、どのようなタイミングで受診すると良いでしょうか?
お悩みの内容にもよりますが、お悩みがあるのなら早めに相談していただくのが望ましいです。例えば赤ちゃんのあざは、数ヵ月に1度といったように、基本的に複数回にわたる治療が必要で、治療完了までに1年、長いと2年程度を要するケースがあります。生後間もない時期に治療できるのか、不安に思う親御さんもいらっしゃるでしょうが、早くから始める分治療も早く終わることが望め、お子さんも怖い思いをせずに済むかと思います。1歳くらいになると「病院が怖い」と感じてしまうこともありますからね。診察の結果、大きな病院での治療が必要と判断した場合は、責任を持って適切な医療機関をご紹介いたします。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

多くの患者さんを診療していて思うのは、一度だって同じ診療はない、ということです。同じ内容の治療でも、どういうふうにお話しするといいかなど、説明の流れも患者さん一人ひとりに合わせて調整しています。簡単なことではありませんが、とてもやりがいを感じています。開業以来、常に患者さんの期待に応えるには何をすべきかを考え、実践してきました。これからも診療を通して需要を捉え、変化し続けていきたいと思っています。皮膚に関するお悩みはご本人、あるいはご家族にとって、とても大きなものだと思います。相談することで気持ちが晴れることもありますから、気になることがあったらご相談いただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみケア/1cm10発5500円~、しわケア/眉間:2万7500円~、保険適用外のほくろの切除/5mm以下6050円~、医療用脱毛/両脇:6050円~
※症状に応じて金額が変わる可能性あり、詳しくはホームページをご確認ください