宮坂 宏恵 院長の独自取材記事
耳鼻咽喉科ヒロ医院
(新宿区/高田馬場駅)
最終更新日:2026/09/25
JR山手線高田馬場駅から徒歩2分。ビル7階のピンクの看板が目を引く。コンパクトながらも感染症対策が隅々まで行き届いた空間だ。院長の宮坂宏恵先生は東邦大学医学部を卒業後、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)、耳鼻咽喉科教室とその関連病院などで研鑽を積み2016年に開業。地域に根づき始めた3年目に新型コロナウイルスの感染拡大に直面し、PCR検査機器の早期導入や発熱患者の動線分離など感染症対策に全力で取り組んできた。「がんなどの悪性疾患は見逃したくない」と真剣に語る一方、笑顔からは患者の不安を和らげる温かさがにじむ。花粉症のレーザー治療から睡眠時無呼吸症候群の管理、補聴器の導入支援まで、耳・鼻・喉の幅広い悩みに応える診療について話を聞いた。
(取材日2026年7月24日)
開業から10年、地域に根差した安心できるクリニック
開業からまもなく10年ですが、クリニックとして大きな転機はありましたか?

開業3年目でようやく地域に根づいてきた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大に直面しました。耳鼻咽喉科は鼻や喉を診る科のため症状が重なることも多く、外来診療が実質止まる時期もありましたが、東京都や医師会と連携しながら感染症対策に全力で取り組み、PCR検査機器も早期に導入しました。その経験を通じて感染症への備えがクリニック全体に根づき、現在も皆さんに安心して受診していただける体制が整っています。耳鼻咽喉科では薬による治療だけでなく、鼻の吸引や吸入などの処置ができるのも特徴です。風邪の際も選択肢の一つとして知っていただき、特につらい鼻症状がある方には気軽に受診していただきたいですね。
来院される患者さんの年齢層や、通いやすさのための工夫について教えてください。

0歳から90代まで、本当に幅広い年齢の方が来院されています。高田馬場はオフィスも多いエリアですので、近くにお勤めの会社員の方が多く、もちろん昔からこの地域にお住まいの方もいらっしゃいます。当院は朝8時30分から診療を始めていますので、出勤前に立ち寄ってくださる方も少なくありません。「忙しくてなかなか受診できない」という方もいらっしゃいますので、ご自身の生活スタイルに合わせて朝の診療時間も活用していただければと思っています。JR山手線の高田馬場駅から徒歩2分、東京メトロ東西線や西武新宿線も乗り入れ、駅からすぐの立地です。受診しやすいよう時間制の予約システムも導入していますので、耳・鼻・喉で気になることがあれば症状が軽いうちに、まずは一度受診していただきたいですね。
幅広い年代に寄り添う診療体制
クリニックとして特に力を入れている治療について教えてください。

春先は花粉症シーズンの治療ですね。指先の血液でのアレルギー検査を小さいお子さんには導入しています。ご希望の方にはレーザー治療を行っています。鼻の粘膜にレーザーを当てて焼灼し、花粉が付着しても反応しにくい状態をつくるための治療で、鼻の通りが良くなる効果も期待できます。粘膜は時間とともに再生しますので永続的なものではありませんが、シーズン前に希望される方は多くいらっしゃいます。毎年1月頃からご希望が増え始め、予約制で午前中にお受けいただいています。お子さんの花粉症に悩む親御さんからの相談もありますし、じっとしていられるお子さんであれば小学生でも対応可能です。花粉症の時期は1年で最も忙しく、夏場は比較的ゆったりとした診療になりますね。
いびきや日中の眠気に悩む方も、耳鼻咽喉科で相談できるのでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が繰り返し止まる病気です。夜中に120秒以上も呼吸が止まる方がいますが、起きている時に同じ時間、息を止めてみてくださいと言っても絶対にできませんよね。それだけ酸素が届いていないわけですから、しっかり寝たはずなのに疲れが取れない、昼間に強い眠気が出るといったかたちで日常生活に影響します。原因は鼻詰まりや喉の狭さ、体重増加などさまざまで、まずご自宅で一晩簡易検査を行い、必要に応じて精密検査を経てCPAPという呼吸補助装置を用いた治療をします。耳鼻咽喉科でこの治療を行う利点は、鼻の通りを整えるための治療も同時にできること。状態が改善すれば装置を外すことをめざせますし、呼吸器内科とも連携しながら対応しています。
補聴器の導入を検討される方への対応もされているそうですね。

今年の4月から、新宿区の補聴器に関する補助制度が大きく変わりました。これまでは現物支給のみでしたが、現金での支給も選べるようになったんです。23区の中でも区ごとに制度は異なりますが、新宿区はとても恵まれた状況になったと感じています。難聴と認知症の関連は、学会などでも注目されていて、耳から入る情報が減ることで脳への刺激が少なくなり、認知機能に影響する可能性が指摘されています。聞こえが低下し始めた段階で補聴器を使い始めると楽しい日常会話の改善が期待できますし、指先が利くうちに操作に慣れておくことも大切です。お仕事を続けている方ほど補聴器への意識が高い印象がありますね。制度が変わったことで「使ってみたい」という方が増えているのは、とてもうれしいことです。
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に悩む方への対応もされていますか?
はい。新型コロナウイルス感染症の罹患後症状では、味覚や嗅覚の障害が見られました。人によっては長期間続くこともあります。症状の中には上咽頭炎が影響しているものもあり、上咽頭炎に対するBスポット療法(上咽頭擦過療法)が注目され、当院でも行っています。Bスポット療法は、私の出身医局である東京医科歯科大学耳鼻咽喉科にゆかりのある治療法の一つです。この治療は慢性上咽頭炎に伴うさまざまな症状や、鼻水が喉の奥へ流れ落ちる後鼻漏で悩む患者さんに対して、ご希望の方に引き続き診療を行っていきます。
感染対策を徹底し 悪性疾患の早期発見に努める
発熱の症状がある患者さんには、どのように対応されていますか?

発熱のある方には、まず事前にお電話で予約を取っていただくようお願いしています。来院されたら通常の待合室には入らず、奥のセパレートされた空間でお待ちいただき、そちらで検査や処置を行う流れです。待合室は熱のない患者さん専用にすることで、院内感染のリスクを抑えています。患者さんはもちろん、一緒に働くスタッフも守らなければなりませんから、皆さんにマスクの着用にもご協力をいただいています。PCR検査は現在も稼働しており、帰省前に「家族にうつしたくないから」と検査を希望される方もいらっしゃいますね。院内には空気清浄機も複数台設置していますし、先日発症した麻疹のように予期しない感染症への対応が必要になることもありますので、日頃から備えを怠らないようにしています。
日々の診療で大切にされていることは?
最も大切にしているのは、がんなどの悪性疾患を見逃したくないということです。耳・鼻・喉のすべてに悪性の病気が起こり得ますから、一つ一つの診察に常に緊張感を持って臨んでいます。初期の段階で何かのサインに気づくことが私たちの大切な役割です。先輩から教わった「五感をフルに活用して、何かいつもと違う、おかしいと感じたら自分の感を信じろ」ということを大切にしています。新宿区には大学病院が3つ、大規模な病院も複数あり、異常が見つかった場合にすぐご紹介できる連携体制が整っているんです。大きな病院の先生方にはいつもお世話になっていますし、この地域の医療環境にはとても助けられていますね。スタッフも患者さんへの丁寧な説明を心がけてくれていて、チーム全体で診療を支えてくれています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

耳鼻科は「混んでいる」「怖い処置が多い」というイメージを持たれがちですが、当院では感染対策を徹底し、安心して受診できる環境づくりを大切にしています。「こんなことで受診してもいいのかな」と思うようなことでも気軽に相談してほしいです。特にお子さんは親御さんの協力のもと、一人ひとりの成長やペースに合わせて診療を進めています。無理に処置を行うのではなく、「今日はここまでできたね」と少しずつ慣れてもらいながら関係を築いていくことを大切にしています。また、予約や受付の電子化が進む移行期ですので、ご高齢の方には受診しやすいよう電話での受付を続けています。年齢を問わず相談しやすい環境を整えていますので、耳・鼻・喉で気になることがあれば、気軽に足を運んでいただければと思います。

