全国のドクター8,873人の想いを取材
クリニック・病院 161,495件の情報を掲載(2020年1月20日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 千代田区
  4. 小川町駅
  5. 聖堂前クリニック
  6. 木村 智城 院長

木村 智城 院長の独自取材記事

聖堂前クリニック

(千代田区/小川町駅)

最終更新日:2019/12/03

20191203 bana

「聖堂前クリニック」付近にはオフィスビルが多く、近隣で働く20~50歳代の働き盛りの人が多く来院するそう。入り口は目立つ装飾などはなく、落ち着いて患者が入りやすいよう配慮されている。院長の木村智城先生は、大学病院に長く勤務した後に開業。現在も大学で週1回の診療、年1回の講義を続けている。「患者さんの話をよく聞いて正確な診断をする」をモットーに、運動や生活面からものアプローチも心がける。一人ひとりの話を丁寧に聞き、穏やかな言葉で答えてくれる木村院長にさまざまな話を聞いた。
(取材日2019年6月14日)

患者の話をしっかり聞き、状態を細かく把握して診断

こちらに来院する主な患者層やその相談内容について教えてください。

1

当院に来られるのは主に会社員の人で、「働き過ぎて疲れ切ってしまった」「仕事時間が長く睡眠時間が取れない」など、職場のストレスや過労問題での相談が多いですね。年齢は20~50歳代の患者さんの来院が多く、中心は30~40歳代です。この近辺に住んでいたり、勤めている人がほとんどですが、クチコミで遠方から来院する人もいます。またそれほど多くはありませんが、他クリニックに通院していたものの変化が感じられずに、こちらに来たという患者さんもいらっしゃいます。

運動面や生活面からのアプローチも取り入れているそうですね。

10年ほど前までは薬を使った治療を中心にしていたのですが、あまり改善が見られない患者さんが多いように思っていました。良くならないままずっと通院し続けている患者さんが多いため、別の方法でアプローチしてみようと思ったのがきっかけで、運動面や生活面に着目するようになっていきました。あまり薬に頼らず、生活状況を詳しく聞くようにしたところ、こういう生活状況で、こういう職場環境だから悪くなっている可能性がある、などということがわかり、それを患者さんと一緒に改善していくようにしたのです。それから、できるだけ少ない薬で、一人ひとりに時間をかけて話を聞き、それに対してアドバイスをしていくという診療スタイルに変わっていきました。

患者からの反応はありましたか?

他のクリニックから当院に移ってきた患者さんの中で一番多いのは、「こんなに長く話を聞いてもらったのは初めて」という反応です。それまでは、それほど詳しく話をしないまま薬を処方されるという診察が多かったようです。しかし、ちゃんと詳しく話を聞かなければ、どんな薬を使っていいのか、あるいは薬を出さなくていいのかなども判断できませんからね。ですが、患者さんに詳しく話を聞いていたら、そんなふうに言われることが時々ありますね。

比較的症状の重い患者さんの診療はどのようにされていますか?

2

統合失調症の場合は、病名だけ聞くと重いのですが、多くの場合は外来診療で対応でき、適切な処方をすれば改善の可能性が高いため、当院で診るようにしています。多くはありませんが、入院が必要なケースの場合は、その患者さんやご家族の希望される病院、またはお近くの専門の病院に紹介しています。

薬だけでなく、運動や生活の見直しで改善の方向へ導く

今現在の診療スタンスにつながったきっかけなどありましたらお聞かせください。

3

10年ほど前、大きく考えが変わるきっかけがありました。それなりの診療経験を積んで、一人前の医師だと思って自信満々で診療をしていた頃です。20歳代後半の女性の患者さんなのですが、当院に来る前から何種類もの薬を飲んでいて、それを私が引き継ぎ、2年くらいずっとそのまま治療し続けていたのです。この人はなかなか治らないタイプだと考え、抗うつ薬、睡眠薬、安定剤などいろいろ出していたのですが、いつしか「本当にこんなに必要なのかな」と疑問に思うようになりました。それで、たまたまなのですが、運動を勧めてみました。その頃は運動療法などを取り入れていなかった時期なのですが、「ジムでも行って運動したらいいかもしれませんね」と勧めてみたのです。

それで運動するようになったのでしょうか?

私は、週に1回くらいジムに行ったらいいのではないかというつもりだったのですが、その患者さんはものすごく素直な人で毎日ジムに行き、ランニング、水泳、ストレッチなど毎日1~2時間の運動を行っていたそうです。結果的に薬も減らすことができて、2年後には通院の必要もなくなりました。この患者さんとのやり取りの経験によって、薬に頼らない選択肢もあるのではないかと考えるようになり、他の人にも同じように運動などを勧めてみるようになったんです。

やはり薬だけでは改善が難しいのでしょうか?

4

最近、うつ病の8割に抗うつ薬が効かないという意見もありますが、僕の見解はちょっと違います。抗うつ薬がうつ病の8割に効かないのではなく、そもそも「うつ病」と誤診されているケースがあるのではないかと思っています。本当はうつ病ではなく、単なる睡眠不足だったり、家庭内のストレスだったりする人、労働環境のストレスだったりする人をうつ病と診断しているために、名目上うつ病の人が増えてしまった。ですから、狭い意味でのうつ病に対する治療とは違う治療が必要になるのではないかと思っています。抗うつ薬を使用する場合でも、漫然と処方だけして短い時間で診察を終えることのないようにしています。

家族や職場関係者へのサポートを行い、より良い状況へ

世間では、長時間労働などの問題で働き方改革を進める流れがありますが、先生の実感としてはいかがですか?

5

長時間労働については多少改善されたようになっているという程度で、実感としてはまだそんなに進んでいないという印象です。ただ、ありがたいことに、私が診断書に「長時間労働を是正してください」と書くと、以前は全然相手にされないこともあったのですが、最近はそういう診断を書いたら、会社側が対応する姿勢を見せてくれるようになりました。また、患者さんご本人の意向を確認しながら、私が「可能であれば、会社の人と話をしますよ」と提案して、上司にあたる方や人事部の人と電話で連絡を取ったり、当院に直接来てもらって話し合うこともあります。診断書だけのやり取りでは、うまく意思の疎通が取れず、患者さん本人にとって最適な対応を取れないことが多いですから、直接、会社の人に来てもらえると、状況の改善がスムーズになり、大きく治療にプラスに働きます。実際に会社の人と話をするのは、当院の特徴かもしれません。

本人が来院するのではなく、ご家族が相談に来ることはありますか?

はい、引きこもりについてのご相談が多いですね。引きこもっているご本人を直接診ないと診断がつきにくいのですが、ご家族に詳しく話を聞いて、だいたいの診断の目安をつけます。それぞれの症状に合わせたアドバイスをして、可能だったら当院に連れて来てくださいと伝えます。それでも直接受診が難しいのが現実です。その際は、区などの行政に相談する方法もあるというお話をします。私は以前、大学病院から派遣されるかたちで新宿区の保健相談員をしていたことがありますが、必要な場合は往診にも行っていました。こういった行政のシステムもあるのですが、一般にはほとんど知られていません。一般的に思われているよりは行政などのシステムは整っていて、引きこもっている人も社会になじんでいけるように手助けしてくれますので、少しだけ勇気を出して外に出ていただければ、改善の可能性が広げていけると思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

6

自分でうつ病だと思い、職場の人からもそう言われている、という人が多いのですが、実際はうつ病ではなく、睡眠不足だったり、職場内の人間関係のもつれだったり、あるいは家庭内でのもめ事でうつ病に似たような症状が起こっていることが多くあります。なかなか自分では自覚できないのですが、それを一つ一つ解決していけば、うつ病のような症状は少なくなると思います。そのためには、まずは患者さんの背景を詳しく知る必要があると考えています。今後も一人ひとりの患者さんとの関係性を大事にして診察をしていきたいです。何か不安なことなどがあれば、気軽に足を運んでほしいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

家族のみの相談(30分)/5400円~

Access