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木村 智城 院長の独自取材記事

聖堂前クリニック

(千代田区/神田駅)

最終更新日:2024/02/21

木村智城院長 聖堂前クリニック main

2023年3月に東京メトロ銀座線神田駅より徒歩5分と利便性の良い場所に移転した精神科・心療内科の「聖堂前クリニック」。木村智城(ともき)院長は20年間の大学病院での診療経験を持つベテランのドクターだ。「患者の話をよく聞いて正確な診断・治療をする」ことをモットーとして、薬に頼りすぎず生活環境の改善にも力を入れた治療を行っている。患者に安心感を与えるような柔和なまなざしと穏やかな口調が印象的な木村院長に、いろいろと話を聞いた。

(取材日2019年12月16日/情報更新日2023年3月20日)

患者の話をしっかり聞き、状態を細かく把握して診断

クリニックの移転についてお聞かせください。

木村智城院長 聖堂前クリニック1

以前に勤務していたクリニックから独立する形で、こちらに移転開業しました。いくつか物件を検討しましたが、利便性の良いこの場所で診療することにしたのです。内装についても、待合室の椅子などインテリアコーディネーターと相談しながら、こだわって決めたんですよ。スタッフも新しく雇うなど、これからいろいろと試行錯誤していくことになるかと思いますが、患者さんには以前と変わらず、安心してお越しいただければと思っています。

どのような患者さんが多いですか?

人間関係のストレスや過労が原因と思われる心身の不調を訴えて来られる方が多いですね。年齢は20~50歳代が多く、中心となるのは30~40歳代です。この近辺に職場や自宅がある方が多いのですが、クチコミなどで遠方から来院する方もいます。症状はさまざまですが、特に初診時に患者さんの性格、背景、現在抱えている悩み、出ている症状などを、時間をかけて伺うようにしています。その上で薬が必要なのか、必要ならどんな薬が必要なのかを判断するようにしています。

生活習慣や労働環境についてのアドバイスも重視されているそうですね。

木村智城院長 聖堂前クリニック2

私も以前は薬物治療を中心にしていましたが、あまり改善がみられないまま通院だけを続けている患者さんが多かったので、別の方法でのアプローチも考えるようになっていきました。患者さんの生活状況、労働環境を詳しく聞いてみると、人間関係や過重労働などが症状の原因になっていることが多く、それを患者さんと一緒に改善していくようにしています。例えば睡眠不足を改善するだけでうつ症状が改善に向かう患者さんもいますし、メタボリック症候群の改善をめざすだけで日常の疲労感も感じにくくなる患者さんもいます。また、肝機能障害や甲状腺ホルモンの異常が精神状態と関係している場合もあるので、そうした原因が疑われる時は当院で血液検査をしてみます。必要な場合には近くの画像専門のクリニックで頭部MRIをお願いして診断の補助にすることもあります。

薬に頼りすぎず生活環境の見直しで改善の方向へ導く

現在の診療スタンスにつながったきっかけなどありましたらお聞かせください。

木村智城院長 聖堂前クリニック3

一つのきっかけだけではなく、いろんな患者さんが私の治療の幅を広げてくれたと思っています。ある20代の女性患者のケースでは「過量服薬を繰り返す境界型人格障害」というふれこみで私の外来に紹介されたのですが、何げない会話の中でジム通いを勧めてみたところ、どういうわけか毎日ジムに通い始め、次第に睡眠薬がなくても眠れるようになりました。そうすると気分も安定して劇的に服薬量が減り、最終的には服薬がなしになり、しばらく経過をみた後終診となりました。40代男性のケースでは「常にうつ状態が続いている暗い人」だったのですが、この方になんとなく運動をしてみれば、と勧めたところ、なぜかしばらくしてマラソンを始め、みるみるうちに活気が出てきて倦怠感が改善に向かい、抗うつ薬なども不要となりました。ほかにもこれらと似たようなケースをいくつか経験し、患者さんにできるだけ運動するよう勧めるようになったわけです。

どの患者にも運動を勧めるのですか。

いえいえ、運動が苦手な方もいらっしゃいますし、脚や心臓に持病を抱えている方もいらっしゃいますので、一律に運動を勧めるということはしていません。メンタルヘルスを考慮した運動指導について専門に学んできたので、それぞれの方に合ったリラクゼーションを勧めています。ハードな運動をする必要はなく、1日30分散歩をするようにしただけでうつ状態に良い影響があった人もいます。手軽にできるのは体操やストレッチですね。マッサージやヨガなんかもお勧めですが、お金がかかりますから長続きはしない印象があります。

やはり薬だけでの治療は難しいのでしょうか?

木村智城院長 聖堂前クリニック4

誤解のないように説明すると薬の効果がまったくないと言うつもりはありません。最近、うつ病の多くに抗うつ薬は作用しないという意見もありますが、私の見解はちょっと違います。そもそも「うつ病」と誤診されているケースがかなり多いのではないかと思っています。本当はうつ病ではなく、単なる睡眠不足の人、職場や家庭のストレスで一時的に落ち込んでいる人をうつ病と診断してしまっているために、名目上のうつ病患者が増えてしまっているのではないかと。ですから、本来のうつ病に対する治療とは違う治療が必要なのではないでしょうか。抗うつ薬などを使用する場合でも、漫然と処方だけして短時間で診察を終えることのないようにしています。

家族や職場関係者へのサポートを行い、より良い状況へ

世間では、長時間労働などの問題で働き方改革を進める流れがありますが、先生の実感としてはいかがですか?

木村智城院長 聖堂前クリニック5

長時間労働については多少改善されたようになっているという程度で、実感としては長時間労働については、実際臨床をやっている立場としてはまだあまり改善されていないように感じます。ただ以前は診断書に「長時間労働の是正をお願いします」と書いても無視されることが多かったのですが、最近はそういう診断書を書くと、職場側に対応してもらえることが多くなりました。また、患者さんご本人の意向を確認しながら、上司や人事の方と電話で連絡をとったり、直接当院に来ていただいて話し合うこともあります。診断書だけのやりとりでは、うまく意思疎通がとれず適切な対応がとれないことが多いですから、直接話し合えると、職場や本人の状況が明らかになり、治療に大いにプラスとなります。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

木村智城院長 聖堂前クリニック6

疲れやすい、気分が晴れない、なんとなく不安だなどの症状がある患者さんのほとんどは何か原因があることが多いものです。睡眠不足や極端な運動不足、対人関係のもつれなどが背景にあることが多く、それらを解決することで薬をあまり使わなくても改善に向かっていくことが多いものです。もちろん、薬物治療が必要な病状に対してはそれに応じた治療をしますが、どういった病気なのかを見極めるためにも、患者さんの社会的背景、身体症状を詳しく知る必要があると考えています。何か不安なことがあれば気軽に足を運んでもらいたいですね。

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