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西田 朗 副院長の独自取材記事

にしだこどもクリニック

(多摩市/京王永山駅)

最終更新日:2021/10/12

西田朗副院長 にしだこどもクリニック main

京王永山、小田急永山の各駅から徒歩3分の場所に昨年11月開院した小児科、小児アレルギー科のクリニックが「にしだこどもクリニック」だ。大きなキリンのオブジェが出迎えてくれるこのクリニックで、子どもの予防接種と健康診断を受け持っているのが西田朗副院長。都立清瀬小児病院、八王子小児病院の副院長、小児総合医療センターの副院長と院長を歴任し、東京都全域の小児保健と小児医療に関わってきた西田副院長は、キリンが大好きであることや絵や工芸にも造詣が深いなどユニークな側面を持つ経験豊富なドクターで、インタビューにもに楽しく応えてくれた。「新生児科の医師として母子保健に力を入れていきたい」という西田副院長にこれまでの歩みや開業についての思いを聞いた。

(取材日2016年2月24日)

親子のキリンがテーマの院内は飾り物も全部自分で

いろいろなところにキリンがいてかわいいですね。

西田朗副院長 にしだこどもクリニック1

私は子どもの頃からキリンが大好きだったんです。形がきれいですよね。ずっとキリンとシマウマがいるクリニックを作るのが夢でした。残念ながらそれは実現できませんでしたけどね。東京都立小児総合医療センターができた時に私は副院長だったのですが、5階の中庭でキリンを飼いましょうって提案したこともあるんです。6階のベランダが餌をあげるのにちょうど良い高さなんですよ。院長も会議で言ってくれたんですけど、これも実現しませんでした。そんなこともあって、今度はキリンをテーマにということですね。ここは息子と一緒にやってますが、親子なのでロゴマークを決めるのにも揉めましてね(笑)。最終的には息子に従っていますけど、息子が受け持つ一般外来は親子のフクロウで、私が受け持つ健診と予防接種は親子の見つめ合うキリンということになりました。表にいるキリンの模様の中には一つだけハートのマークが隠れていますから探してみてください。

こだわったところは何ですか?

もともと絵を描いたり何かを作るのが好きなものですから、クリニック内のレイアウトやデザインは私がやりましたし、ちょっとした小さな飾り物なども全部、自分で作っています。あとは一般外来と予防接種や健康診断でくる患者さんの入り口と待合を分けてあります。これは感染のリスクを考えてのことですが、予防と健診の受付は1番の「きりん」の入り口、一般外来は2番の「ふくろう」です。それとクリニック内では、患者さん用の丸椅子を使っていません。実はあれは危ないんですよ。子どもがくるくる回して外れると、それでけがをしてしまいますから。うちでは子どもが座りやすいような低めの四角いソファのような椅子を使っています。

開業するにあたって、なぜこの地を選んだのですか?

西田朗副院長 にしだこどもクリニック2

いろいろな理由があるのですが、うちはもともと1905年から八王子で開業していたんです。内科小児科の医院だったのですが、私が新生児の専門だったこともあって、父が亡くなった時に継がないで廃院になりました。そして長男が小児科医、次男が薬剤師になって、どこかで開業しようということになり、良い場所がないかと探していたんですね。この場所は駅から近いうえに、日本医科大学多摩永山病院に隣接しており、稲城市立病院や私が勤めていた都立小児総合医療センターもそう遠くなく病診連携がしやすいこと、そしてこの地域には意外と小児科医が少ないということもあって、ここにしました。開院して4ヵ月ですけど、しっかりとしたお母さんが多いように感じます。考え方がしっかりとしているという印象があります。

健康診断と予防接種を通して母子保健にも力をいれる

なぜ先生は、健康診断と予防接種を専門的に担当しているのですか?

西田朗副院長 にしだこどもクリニック3

息子とやっているので、一緒のことをすると揉めるんです(笑)。それは置いといても、私は新生児科の医師で、東京都の母子保健運営協議会の委員もやっていますが、今後は母子保健のほうに力を入れていきたいと考えています。赤ちゃんが生まれるまでは両親学級などがあるのですが、生まれた後のことについての教育がないんですね。それでプレネイタル・ビジット(出産前小児保健指導)といって、妊娠中にそれらの教育をするシステムを以前に国でも進めたんですけど、うまくいかなかったんです。でもやるべきだと思うので、その一環として小児の予防接種や健診に来てもらった時に、親御さんと話をしたり悩みを聞きたいと思っています。

診療では、何を心がけていますか?

自分の子どもだったらどうだろうってことが一番です。自分の子どもだったらどうしてほしいのか、どうすれば良いのか。患者さん、親御さんの立場になって考えることが大切です。そしてもう一つは愛される、愛せるクリニックにしていくことです。作っておしまいではなくて、患者さんや親御さん、そして職員と一緒になって作り上げていきたいと思っています。職員からの提案で、4月から親御さんを集めて勉強会をするとこが決まっていますし、この出入り口を出たところに横に長い30メートルくらいの壁がありますが、今年の夏くらいに、ある美術大学の先生に協力してもらって壁画を描きたいと思っていて、そこに患者さんやその家族、そして職員にも一筆入れてもらおうと考えています。他にもありますが、地域の人たちと一緒に作っていって、そしてみんなに愛されるクリニックにすることが大事だと思っています。

先生はいくつもの小児病院の副院長や院長を務めてこられましたね。

西田朗副院長 にしだこどもクリニック4

巡り合わせですよ。僕は、都立清瀬小児病院の副院長になってくれって言われた時に、やめようと思っていたんです。臨床を離れるのが嫌だったので。だけどその時は、3つの病院と1つの病院の小児科を合わせて新しく小児総合医療センターをつくることが決まっていて、それに中心的に関わることができるということがあって引き受けたんです。その結果、副院長になってから定年退職になるまでの11年間は臨床を十分にできなかったので、これからもう一度臨床をやって、経験をいかしながら地域の子どもたちの健康と、健やかな発育と発達、親御さんの不安解消のお役に立ちたいと思っています。

診ていた子どもたちの成長が何よりもうれしい

忘れられないエピソードはありますか?

西田朗副院長 にしだこどもクリニック5

たくさんあるんですけど、やっぱり医者になってすぐに担当した患者さんたちですね。今でも最初に受け持った4人の名前は覚えていますよ。その中の一人は、その後もずっと関わりがあるんです。その子は長いこと入院をしていて、しょっちゅう担当医が変わるのが嫌だったらしくて、回診に行くといないんです。診察ができなくて困ったなと思っていたら、その子が中庭で遊んでいるのを見つけたので一緒に遊んで、四つ葉のクローバーを探してね。それから今度主治医になったんだよって言って仲良くなりました。その子は大きくなってから看護学校へ進んで、私がいた大学の付属病院の看護師になったんです。小児科は、退院してからも七五三をやった、小学校に入ったなど連絡をもらえるのが本当に楽しい。おまけがいっぱいなんです。

先生はなぜ医師を志したのですか?

親も医者でしたから、結局医者しか知らないんですよ。他のことを知らない。親から医者になれと言われたことはありませんでしたが、親に対する反発みたいなのもあって、大学を受験した時には他の学部を受けたこともありました。結局は自然と医学の道へということになりましたね。小児科を選んだのは、親も小児科がメインだったのでその影響もありますが、子どもが大好きだったというのが一番です。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

西田朗副院長 にしだこどもクリニック6

少子化対策は本当に大切だと思います。子どもがいない社会というのは、いずれ滅びるんです。だから子どもは、これまで以上に大切にしていかなくてはなりませんし、そのためには子育てがしやすい社会というのをみんなで作るにはどうすれば良いのかっていうのを考えていかなくてはなりません。このクリニックについては、患者さんやそのお母さん、家族や職員、みんなで作り上げていくものだと思っています。クリニック内にはご意見箱もありますので、みなさんからのご意見や要望を聞きたいと思っています。また一般診療と予防、健診を分けているというのを、最大限に生かした医療をしていきたいですね。

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