大場 崇芳 院長の独自取材記事
西志津おおば内科
(佐倉市/勝田台駅)
最終更新日:2025/07/09

京成本線の勝田台駅から車で約5分の閑静な住宅街の中にある「西志津おおば内科」。ゆとりのある広さの院内は明るくやわらかな色合いでまとめられ、受付カウンターの丸みのある曲線や天井の間接照明と相まって、優しい雰囲気が漂う。院長の大場崇芳先生は日本医科大学千葉北総病院で循環器が専門の医師として活躍した後、より患者に近い存在の医師をめざして開業。何でも相談しやすい穏やかな優しい人柄で、患者やその家族に寄り添った診療を行っている。取材では、約10年にわたって地域密着型の医療を提供してきた大場院長に、日々の診療に懸ける思いから趣味のことまで、さまざまな話を聞いた。
(取材日2024年12月7日)
患者の背景まで考慮し、一人ひとりを丁寧に診療
開業から約10年がたった現在の心境を教えてください。

私はこの土地に住み始めて、もう20年近くになるのですが、近所で親しくしていただいていた方が心臓の病気になったことが、ここでクリニックを開業しようと思ったきっかけですね。その時に「この地域で気軽に来られるクリニックを構えて重い病気を未然に防ぎたい」と思うようになりました。大規模病院よりももう少し患者さんとの距離を近くして、生活と密接に関わりながら医療を行いたいと考えたのです。開業してからは、酒々井市や千葉市、茨城県の水戸市などにお住まいの方や、病院勤務の頃から診ている患者さんが来院してくださることもあります。ありがたいことに、この10年で患者さんの数も非常に増えました。どうしてもお待たせしてしまうことがあり大変申し訳なく思っていますが、患者さんや、日頃から私を支えてくれているスタッフたちに心から感謝しています。
日々の診療で心がけていらっしゃることは何ですか?
患者さんお一人お一人を丁寧に診察させていただくことですね。これは、開業から10年たった現在も変わらず、私の中で最も大切にしていることです。むしろ、変えてはいけないことだと思っています。症状や疾患は患者さんによってさまざまです。治療の際には、病気のことはもちろんですが患者さんのお考えや背景も考慮して対応していく必要があります。また、いろいろな要素が複合的に合わさっていたり、いくつかの病気が併発しているケースもありますので、体全体を総合的に診ることも大切です。診断結果をお伝えする時も、患者さんの個性といいますか、性格のようなものを配慮しながらお伝えすることで患者さんの心に響くように、と意識をしています。特に生活習慣病の治療では、生活スタイルを変えていただくことが必要な場合もあります。患者さんだけに押しつけるのではなく、「私と一緒に」という気持ちでお話しするようにしています。
近年、診療を行う上で変化を感じたことはありますか。

新型コロナウイルス感染症への対応を経験し、スタッフ同士の結束はより高まったように感じます。今まで経験したことのない状況に患者さんも不安になる中、しっかり対応してくれたスタッフには本当に感謝しています。診療において変化があったとすれば、発熱している方への対応方法です。もともと当クリニックでは、発熱の患者さんに対しては診察室を分けるなどの配慮をしていました。新型コロナウイルス感染症の流行以降は、いったん電話で症状をお聞きした上でその後の対応を検討しお伝えするなど、さらに感染防止に気をつけるようにしています。ただ、患者さんの数が増えたことで診察までお待たせしてしまうこともあり、そこは申し訳なく感じているところです。また、以前は時間に余裕があれば往診にも応じていましたが、現在は往診に精力的に取り組んでおられる近隣のクリニックにお任せしています。
健診で異常を指摘されたら、早めに受診を
循環器系疾患の専門家として、読者に伝えたいことはありますか。

心臓に雑音がある、心電図に異常がある、コレステロール値が高い、血圧の異常が見つかったなど、会社の健診などで異常を指摘されたら、ぜひ早めに来院してください。特に高血圧症は心筋梗塞や脳梗塞などの重い疾患を招く恐れがありますし、腎臓を傷めると人工透析などへつながることもある危険な状態です。日常生活でできる基本的な対策は減塩と運動ですが、実は高血圧症の要因は塩分の取りすぎだけではありません。ホルモンバランスの異常や、副腎や腎臓の病気によるものなど多岐にわたります。そのため超音波検査や血液検査などさまざまな検査をして多角的に診断する必要がありますし、要因ごとに適切な治療が求められます。ですから、異常が見つかった後に改めて詳細な検査と診察を受けることが大切です。
患者さんへの対応で意識されていることはありますか?
病状の詳しい説明や、患者さんの体にどういうことが起こっているかを、模型などを用いながらできるだけわかりやすくお話しするようにしています。また患者さんを診察室にお呼びするときは自ら顔を出してお呼びするようにしています。これは、自分が座りっぱなしになるのを予防するためでもあるのですが、医師の顔をまったく知らないと診察室に入った時に緊張する方もいらっしゃるかなと思いますので。同時に待合室の様子も少し見て、先に診たほうがいいと感じる方がいれば診察の順番を変えることもあります。すごく調子が悪くても自分から言い出せない方もいらっしゃいますからね。でも、患者さんのご様子はスタッフのほうが早く気づくことも多いんですよ。うちのスタッフには本当に頭が下がります。
どうして循環器をご専門にされたのでしょうか?

私が小さい頃、夜の雪深い山道の中を誰かと一緒にお医者さんのもとへ歩いて行くという夢を見ました。その状況が夢にしても過酷でしたので大きな衝撃を受けました。そして、医師になってから山形の病院で勤務した時期があるのですが、その時はまさにこの夢のとおりでびっくりしたんです。循環器を専門に選んだのは、大学の講義でみんなが「難しい」と言いがちな検査結果や計器の読み取り方がすんなり頭に入るなど、循環器の分野に不思議な縁を感じたためです。人のために何かをする、ということも昔から好きでしたし、理想に近い職業に就けて良かったと思っています。
地域住民にとって身近な医療の相談窓口であり続けたい
今後、地域の皆さんにとってどのようなクリニックでありたいとお考えですか。

これからも、困った時にはいつでも患者さんがすぐに来られるクリニックとして身近に感じてほしいと思っています。体調を崩した時はもちろんですが、相談事があったらいつでも来てもらいたいですね。例えば、なんとなく気分が優れないけどどこの医療機関に行けばいいかわからない、医療機関に行くほどではないかもしれないが何となく気になる、といった時でも気軽に相談していただきたいです。お電話での相談も受けつけています。私が診させていただける内容については誠心誠意対応させていただきますし、もっと専門的な検査や治療が必要だと思われれば適切な大規模病院や検査機関をご紹介します。
サッカーが趣味だそうですね。
ええ。年に1回、静岡にあるプロサッカーチームのグラウンドを借りて、他地域の医師会や他大学の先生方のチームと交流試合を楽しんでいます。年に1回ですからけがをしないよう、試合の少し前から体づくりをして臨みます。夏には、体力づくりも兼ねて軽登山をしているんです。気分転換にもなりますし、健康維持のためにも頑張っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

患者さんが増えたことで待ち時間が長くなるなど、ご迷惑をおかけする場面もありますが、常に患者さんに対して真摯に対応するという診療の姿勢は開業当初から変わりません。ですので、少しでも不安がある時は早めに来院してほしいです。また、日々のちょっとした習慣、例えば食事や運動が病気の予防につながるということをお伝えしたいですね。とはいえ、長年続けてきた生活習慣を変えるのはとても大変だと思います。私たちも、どうすればより良い生活習慣が続けられるのか患者さんとともに考えていきますので、一緒に取り組みましょう。当クリニックではなんでも気軽にご相談いただける環境をつくりながら、必要に応じて大規模病院などとも連携して皆さんの健康をサポートしていきたいと考えています。スタッフ一同、親身になって対応していますので、お体に関して何か戸惑いや不安があればいつでもご来院ください。