自分だけでなく身近な人の
ストレスチェックのポイント
烏山たむらメンタルクリニック
(世田谷区/千歳烏山駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
企業に義務化が予定されているストレスチェック。その名前だけが先行してし、ネット上にはありとあらゆる情報があふれている。今回話しを聞いたのは、昭和大学病院精神科に勤務してたくさんの患者と接し、患者の悩みや性格に寄り添う診療を施す「烏山たむらメンタルクリニック」の田村利之院長。自分自身、そして周りの人たちのストレスチェックのポイント、クリニックでの診療方法、精神科の医師との向き合い方について取材した。
(取材日2016年1月21日)
目次
精神科には「診療する」より「相談する」のスタンスで
- Qストレスを認識できる心の変化や行動があれば教えてください。
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A
▲1人で悩まず気軽に相談してほしいと語る田村院長
仕事をされている方だと、不安な気持ちになる、落ち着かない気分が続く、以前と比べて怒りっぽくなる……などがあげられます。女性の方だと、動悸、呼吸が苦しくなる、手足がふるえるなどの症状を訴える方が多いですね。男性では、眠れない状態が続き、寝る前に「寝るためのお酒」を飲んでいるうちにアルコールに依存するようになってしまう方もいらっしゃいます。このような症状が現れる背景としては、職場の人間関係や仕事の内容、仕事の忙しさや重大な仕事を抱えたことによる緊張感など、実にさまざまです。
- Q職場の人や家族を見る際に注意することはありますか?
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A
▲早期発見も治療も周りの人の協力が不可欠
職場でも家庭でも、その人が以前と比べて明らかにイライラしていたり、攻撃的になったりしている場合は「ストレスがたまっている状態」という可能性が高いと思います。職場では、昇進などキャリアアップが要因となることもあります。企業に義務化が予定されているストレスチェックは、本人も気づかない精神状態を客観的に判断する指標です。企業が積極的に取り入れ、従業員のストレスを早期発見し、職場環境の改善につなげることを期待しています。家庭環境で最近多いのは、介護によるストレスですね。高齢の両親が病気になり、肉体的、精神的な負担は大きいものです。高齢化社会が進む昨今、このようなケースは今後も増えていくと思われます。
- Q心の病と思われる方にどのように接すればよいでしょう。
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A
▲恥ずかしいことは無いので、ありのままの状況をヒアリング
職場の場合は、可能であれば仕事量を減らしたり、仕事に余裕を持たせるような配慮が必要だと思います。精神が病んでしまうと仕事もできなくなりますので、悪くなる前に何らかの手を打つことが大切ですし、そのための「ストレスチェックの義務化」なのだと思います。仕事ができる人ほど几帳面で完璧主義の傾向があり、そのような方はうつになりやすいと言われています。身近でこのような方がいたら、「大変そうですね」「何かあったの?」など声をかけるのもよいでしょう。受け止め方はその人によってさまざまですが、周りの声が、自分を振り返るきっかけの一つになるものです。
- Q精神科の医師との付き合い方を教えてください。
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A
▲話しやすい環境で、何でも相談できる
繰り返しになりますが、精神疾患は、一度悪化してしまうと治りが悪く、治療に時間がかかってしまいます。「精神科はハードルが高い」と感じる人も多いようですが、「最近良く眠れない」「イライラする」など少しでも気になることがあったら「診療に行く」というよりも「相談に行く」というスタンスで足を運んでいただきたいですね。一歩を踏み出すことができれば、まずはドクターとつながり、アドバイスを受けることができます。ドクターとコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことができれば後々までの安心感につながると思います。だからこそ少しでも早く来てもらいたいですし、そのための環境づくりや私の姿勢が大切だと思っています。
- Qクリニックではどのような診療をされるのですか?
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A
▲様々な症例を経験している田村院長
最初に問診票に記入していただき、それを元に、初診の場合は最低でも30分の時間をとって患者さんとじっくりお話をさせていただきます。診断の参考として、クリニックでもストレスチェックを行っています。これらから疾患をしぼりこみ、症状の程度によって、薬の処方や日常生活を送る上でのアドバイスを行います。薬に対しては、「1回飲み始めたらやめられないのではないか」など心配に思う方もいらっしゃいますので、目的やタイプ、効果の現れ方などに加え、副作用についてもくわしく説明しています。患者さん一人ひとりの悩みや症状に寄り添いながら、その方に合う方法を提案させていただいています。