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田村 利之 院長の独自取材記事

烏山たむらメンタルクリニック

(世田谷区/千歳烏山駅)

最終更新日:2019/08/28

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スーパーや飲食店などが軒を連ねる京王線千歳烏山駅周辺は、人々の会話や笑い声が途絶えないにぎやかな街。そんな場所に、心の悩みを持った人に静かに耳を傾けようとクリニックを開業した医師がいる。「烏山たむらメンタルクリニック」の田村利之院長だ。「心の病を診る」という難しさを相手に感じさせない、親しみやすい人柄が見える田村院長。先生の趣味の話になった時、「う〜ん、今は本当にないんですよ」と正直に悩む姿に、患者への実直な応対を垣間見た。自身の強みについて「誰とでもうまく付き合えること」と話しながら、少年のような笑顔と少し照れた表情を見せたのが印象的だ。その様子とやわらかな語り口から、強みが嘘でないことが伝わってきた。南向きの日当たりのいい静かな診察室で、田村院長にたっぷりと話を聞いた。
(取材日2015年11月19日)

臓器ではなく人を診る

開業の経緯を教えてください。

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私は先月まで、近所の昭和大学附属烏山病院に勤務していたのですが、2015年11月から当院をスタートさせました。この場所では先月まで別の先生が精神科のクリニックを開業していたんです。お辞めになることになり、その先生と私の上司が知り合いだったことが縁で、私が患者さんを引き継いで新たなクリニックを開業させていただくことになりました。院名は変えましたが、内装は前の先生のものをほぼ変えずに引き継がせてもらいました。20年前の内装だそうですが、レトロでおしゃれな雰囲気があるでしょう。必要ならば少しずつ、内装に工夫を加えていこうかなと考えています。開業後、新たに作ったのはロゴ。人と人の交わりをイメージしました。精神科は臓器うんぬんではなく、人とのコミュニケーションを取れるようになることをめざすものだという思いで作りました。

以前の先生から患者さんを引き継ぐにあたり、心がけたいことはありますか?

患者さんも「新しい医師はどんな人だろう?」と不安があると思うんですよね。だから「ちゃんと診ていきますよ」という姿勢を患者さんに示さないといけないと思っています。そのために、話を丁寧にお聞きすることと、私を知っていただくことを大事にしていきます。先ほどロゴに「人と人との交わり」というメッセージを込めたとお話ししましたが、患者さんと医師もコミュニケーションが取れないと治療はうまくいかないんですよ。例えば、精神科の治療では薬も大事なのですが、医師を信頼してくれないと患者さんはきちんと薬を服用してくれない。途中で勝手に飲まなくなって、症状が悪化してしまうこともあります。だから、「この先生が言っていることなら大丈夫」と思ってもらえるような関係構築をめざします。

診察では、具体的にどんな話を聞くのですか?

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仕事内容や人間関係などで「何が嫌なのか」を患者さんの言葉で話してもらうことから始めます。でも、もともとの性格がおおざっぱな人と細かい人では、許せることや気になることの範囲も違うでしょう。だから性格や生い立ちなども診断にはとても重要な要素。よって、生まれた場所や兄弟の有無、学歴、さらには虐待を受けたことがあるかなどについても伺うことになります。ただ、本人が聞かれたくないだろうということは尋ねないようにしていますのでご安心ください。

大学病院で早期治療の必要性を実感したからこそ気軽なクリニックをめざす

開業前は、大学病院に長年勤務されたそうですね。最近の患者さんの傾向で感じることはありますか?

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トータルで10年ほど大学病院にいました。東京医科大学を卒業後は同大学で研修を受け、その後は昭和大学精神医学教室に入局し、複数の附属病院を経て、開業直前は烏山病院におりました。大学病院ではチームを組んで治療にあたるため、他の医師と相談しながら難しい患者さんの診療も経験しました。最近感じるのは、70代以上でうつ病にかかる人がぐっと増えたことです。体力の衰え、老いへの不安や拒否などから、気持ちがどんと落ち込んで食事も取れなくなっていく。「隣の人から嫌がらせを受けている」といった妄想を持つ人もいます。しかし、こうした症状も早めに治療を受ければコントロールすることができるんです。薬の服用によっていい精神状態を保つことも可能なのです。ただ、難しいのは認知症との違い。うつ病だと診断を受けたけど、実は認知症だったというケースも少なくありません。だから、周囲の方は高齢者の変化に気付いたら、早期のうちに、経験豊富な医師に相談してほしいですね。

勤務医から開業医に転向し、めざしたことはありますか?

精神科はハードルが高いと感じる人が多いので、「ちょっと気になるな」と思っただけで気軽に相談してもらえるような場所をつくることをめざしています。精神が病んでしまうと仕事もできなくなりますから、次第に生活も困難になる。悪循環なんです。そのような症状が重い患者さんを大学病院ではたくさん診てきたのですが、「もっと早く治療を始めていれば、入院するほど悪化せずに済んだのに」と思うことも多々ありました。だから少しでも早く来てもらいたい。そのための環境づくりや私の姿勢が大事だと思っています。

姿勢という話が出ましたが、院長が影響を受けた人はいますか?

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東京医科大学での研修医時代に出会った外科の先生ですね。ある手術に立ち会った際、想定していたものと違う状況になったんです。そこにいたみんなが一瞬、「これはやばい」と思ったはずです。そういう場面ではパニックになって怒り出す先生もいますが、その外科の先生は冷静に手術を進行。そして無事に成功させました。感情的にならず、冷静沈着に判断をすることの大切さを実感しましたね。診察では時には感情を出したほうが人間らしくていいこともありますが、基本的にはその先生の姿勢は見習いたいと思っています。

患者と医師は対等……診察室の椅子に込めた思い

医師になった理由、そして精神科をめざしたきっかけをお聞かせいただけますか?

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医師が多い家系で、身近な職業だったということはありますね。祖父は産婦人科の医師で、父は精神科の医師でした。千葉県館山市の実家のすぐ近所に父の経営する病院があり、遊びに行っては仕事をする父を見ていました。だからと言って、医師になることに対して強い思いを持っていたわけではないんです。でも、小学校の時に目の前で祖父が亡くなるという経験をした時、「人を助ける医師という仕事はいいな」と思ったかなあ。精神科の医師になったのは、検査結果にとらわれずに「本人がつらいかどうか」で診てあげたいと思ったからです。実際に精神科の医師として働き始めると、大変なことはいっぱいありました。精神科に来る患者さんというのは、治療の期限が見えません。治るという保障もない。気持ちが落ち込んで通勤できなくなれば収入もなくなるわけですから、患者さんは治療に生活がかかっている。でも、あせって治療をするとうまくいかないんですよ。だからこそ、患者さんから体調の変化について良い言葉を聞けると、やりがいを感じますね。

ところで、プライベートでの時間にされる趣味などはありますか?

今は、趣味がないんです。子どもの頃は水泳、大学の頃はスキーといったスポーツを楽しんでいたのですが、最近はジムに行くくらいですね。太らないように(笑)。でも、ちょっと汗をかくだけでも気持ちにいい影響を与えますよね。あとは、学生時代の仲間と会うことが気持ちの切り替えかな。医学部で一緒に苦労して勉強した仲間とは環境が似ているせいか、一緒にいると楽しい。気心の知れた仲間と話すと刺激を受けるし、ストレス発散にもなりますね。

最後に、読者の方に向けて院長の強みとメッセージをお伝えください。

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強みを自分で言うのは難しいけど(笑)。私は誰とでもうまく付き合うことができるんですよ。例えば、よく会う大学時代の仲間も、同級生ばかりでなく先輩や後輩が多い。学年や専門を超えて、誰とでもやっていける性格なんです。それはクリニックでも同じ。看護師や受付スタッフなどとも、立場に関係なく付き合っているつもりです。みんなでいい方向に行こうと力を合わせることが好きなんです。もちろん患者さんとも。一人ひとり違う性格や悩みに寄り添いながら、患者さんと一緒に症状を改善させていきたいと思っています。ちなみに診察室の椅子は、医師側と患者さん側がまったく同じものなんですよ。これは「患者さんと対等な関係でいたい」という私の思いでもあります。この椅子に座り、お悩みやお気持ちをゆっくりと聞かせてください。

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