古平 喜一郎 院長の独自取材記事
こだいら泌尿器科
(世田谷区/学芸大学駅)
最終更新日:2025/04/07

環七通り沿いの建物の1階ながら周囲を住宅地に囲まれ、落ち着いた環境にある「こだいら泌尿器科」。小児科だった父のクリニックを継いだ古平喜一郎院長が2015年に泌尿器科として開院したクリニックで、大学病院や地域の基幹病院で培った知識・技術を生まれ育った地域に生かしたいとの考えで診療を行っている。一般的な症状を診るほか、排尿障害や排尿習慣への対応と前立腺がん検査に力を入れているが、「専門性と同時に総合的な視点も必要だと感じています」と院長。「患者さんの悩みやご不安はさまざま。それに応えられるよう、当院では一人ひとりにじっくりと話を伺う姿勢を大切にしています」。そう話す院長に同院の特徴や地域への想いなどを聞いた。
(取材日2024年9月24日)
泌尿器の専門医療をベースに総合的な診療をめざす
こちらのクリニックの特徴を教えてください。

当院は地域に根ざした泌尿器科クリニックとして、さまざまなご相談を伺うよう心がけています。小児科の医師だった父のクリニックを継ぎ、泌尿器科に転科して再オープンして約10年になりますが、小さなお子さんから働き盛りの世代、高齢の方まで幅広い年齢層の方に来院いただけるようになりました。女性の患者さんも比較的多いですね。開院当初は、病院に来院する患者さんとクリニックに来院する患者さんの病気の質や症状の違いに正直驚きました。クリニックの場合は多くの方に症状があり、たとえ病名が判然としなくても悩まれていることが多いので、画像を用いるなど説明の仕方を工夫して現在に至ります。目の前にいる患者さんの困り事を伺う姿勢が地域のクリニックでは大切だと考えています。
泌尿器科としてはどんな症状に対応されるのでしょうか?
前立腺肥大や過活動膀胱などによる各種の排尿障害、血尿や排尿時の痛み、膀胱炎、尿失禁といった一般的な症状のほか、前立腺がんや膀胱がんの検査および治療、小児の夜尿症などが中心です。勤務先の健康診断でPSA(前立腺特異抗原)の値が高いと指摘されて精密検査を受けに来る方も増えていますね。当院では特に排尿障害や排尿習慣の対応と、前立腺がん検査に力を入れ、必要な際には適切な病院にご紹介しますので、気軽にご相談いただければと思います。さらに深刻な病気も見逃さないよう、院内には精密な診断に欠かせないディスポーザブルタイプの内視鏡も導入しました。このほか、大学病院で泌尿器腫瘍を専門に診てきた経験を生かし、がんの治療などのセカンドオピニオンにも対応しています。
インターネットでの受診予約や事前問診も用意されていますね。

患者さんの利便性向上をめざして数年前からネット予約をスタートしました。当初はご利用の少ない状態が続いたのですが、最近は利用される患者さんが増え、ネットからの予約は一般的になりましたね。また、ネット上での事前問診は2年前から開始しています。当院で記入する時間・手間が省ける以外に、ご自宅などでじっくり入力いただけるので服用中の薬やアレルギーのことなど書き忘れが少なく、病気や症状についてご自身で整理できる点もメリットです。受診時に症状を説明されるときも話しやすいのではないでしょうか。もちろん、ネットを利用されない方は電話でご予約いただけますし、どうしても当日受診されたい場合は予約優先にはなりますが対応可能です。また、オンライン診療も可能で、女性の患者さんを対象にした外来の曜日・時間帯も設けるなど、さまざまな患者さんにお応えできるよう配慮するのも地域のクリニックの役割だと思っています。
患者一人ひとりと時間をかけて話す姿勢を大切に
ネットで病気について調べて来られる方も多いのですか?

泌尿器科の患者さんは下腹部の違和感や血尿など何らかの症状があると、まずネットやSNSなどで症状から考えられる病気について調べ、その後に受診されることが多いように思います。最近は過活動膀胱や男性更年期についてネットの情報で知って相談される方も少なくありません。患者さんが症状や病気についてあらかじめ調べているため話が非常にスムーズに進むこともある一方で、情報過多のため、軌道修正しないといけないこともあり、十分な説明が必要と感じています。病気の診断には、どんな症状か、症状が起きる頻度や条件、患者さんの年齢、食事や運動習慣、立ち仕事か座り仕事かといった生活スタイルを踏まえて、総合的に判断することが重要です。時間をかけて調べて不安な時間を過ごされた患者さんのためにも、しっかりコミュニケーションして適切な情報をお伝えしたいですね。
患者さんの自宅への往診にも対応されるそうですね。
在宅医療を担当している主治医から、泌尿器科関連のトラブルや困り事で依頼されて往診に伺うことが多いですね。例えば、排尿のために入れた尿道カテーテルは定期的な交換が必要ですが、交換が難しい時には、私が呼ばれることがあります。その時は患者さんのご自宅や入所されている老人ホームに訪問して対応しています。在宅医療でない場合、ご家族が患者さんを連れて介護タクシーなどで移動し、交換してもらうのはさらに大変です。そうしたときは当院から往診に伺えばご自宅で交換ができます。クリニックの中だけでなく、院外でも泌尿器科として診療にあたる機会を作り、地域の医療にさらに貢献したいと考えています。
それ以外にも地域医療の活動に携わっていると伺いました。

以前に当院がある下馬・野沢地域の医療や介護の連携を図る役割をいただき、ケアマネジャーや訪問看護師をはじめとした皆さんと協働して、地域住民の健康を守る地域包括ケアの推進活動に携わりました。そうした経験から、今も世田谷区の地域包括支援センターである通称「あんしんすこやかセンター」で地域の皆さんの相談に応じ、介護保険の認定審査にも携わるなど、地域医療連携活動に深く関わっています。ただ、私は医師なので地域の皆さんとさまざまな場で接点が持てますが、一般の方は地域とのつながりが希薄になっているのが気がかりです。そのため地域の健康をテーマにした講演会をお引き受けするなど、健康を起点に地域の皆さんが交流できる場を設け、医療に限らず地域全体が活性化するような活動も進めたいと思っているんです。
健康を起点に生まれ育った地域の活性化も目標に
泌尿器科の医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

泌尿器の病気を患い治療を受けた親族の様子を多感な時代に間近で見ていたことに加え、医学部在籍中に自分が見つけた病気を自分の手で治療できる点に魅力を感じ、泌尿器科を選びました。実際にやってみると内科的な対応も外科的な処置もできる、非常にやりがいのある診療科で、特に勤務医時代は多くの手術を経験しました。今でも院内で電気メスを使ったイボの切除のほか、依頼があれば小手術なども行っています。大学病院や地域の基幹病院での診療を経て、父が診療していた小児科のクリニックを泌尿器科に転科し、2015年から当院がスタートしました。これまで培った知識・技術を自分が生まれ育った地域で役立てたいとの想いで診療を続けています。
ご趣味や休日の過ごし方についてご紹介ください。
大学時代はラグビー部で、今もリーグワンやラグビー日本代表の試合をよく見に行きます。院内にもさりげなくラグビー関連のグッズを置いていますね(笑)。さらに友人の影響もあってアメリカンフットボールにも興味が湧き、アメリカのプロリーグ・NFLも動画などで見るようになり、完全に楕円球スポーツファンになっています。また休日は近代建築を見て回ることが、リフレッシュになっています。大正から昭和初期の建築物が好きでしたが、今では現代建築も興味深く見て回っています。わざわざ遠くまで見に行くより、散歩がてらにぶらぶら歩いて興味の引かれる建築をスマートフォンで写真に収めるのが楽しみなんです。
地域の皆さんにメッセージをお願いします。

泌尿器トラブルは非常にデリケートな問題です。ただ、専門の医師と話すと安心できることも多く、当院では患者さん一人ひとりの話をじっくり聞く姿勢を大切にしていますので、安心して受診してください。特に最近は泌尿器に限らず、目の前の患者さんの悩みを伺うのが医療の本質で、地域のためにできることはやろうと考えるようになりました。例えばご相談の中でご家族が認知症かもしれないといった話になれば、世田谷区のあんしんすこやかセンターなど適切な相談窓口もご紹介できます。当院では医療や健康を起点に、地域の皆さんが安心で豊かな生活を送れるようサポートできるクリニックをめざしています。