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有川 章治 院長の独自取材記事

ありかわクリニック

(宮崎市/南宮崎駅)

最終更新日:2023/06/20

有川章治院長 ありかわクリニック main

宮崎市中心部から南西へ、病院やクリニック、飲食店や住宅街が点在する大坪町にある「ありかわクリニック」は、2015年開業の脳神経外科のクリニックだ。主に、頭痛、めまい、しびれ、手足の動きにくさ、しゃべりにくさといった症状を治療の対象としている。院長を務める有川章治先生は、宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)を卒業後、27年以上にわたり基幹病院で脳神経外科や救急科外来を担当した経験豊富な医師。近年は片頭痛治療に注力しており、頭痛薬の飲みすぎや食生活を含めた生活習慣など、年代や性別によって異なるさまざまな原因を究明し、適切なアドバイスをしてくれる。「何科を受診したら良いかわからない方も、ぜひお気軽にお越しください」とにこやかに話す有川院長に話を聞いた。

(取材日2023年5月12日)

受診当日にMRIが撮れる体制を整えている脳神経外科

さまざまなクリニックが密集した地域ですが、この地を選んだのはなぜですか?

有川章治院長 ありかわクリニック1

このエリアにはクリニックはたくさんありますが、脳神経外科はありませんでした。また、MRI撮影を予約なしで当日にできるクリニックもなかったので、この地を選びました。このエリアは地域一帯が大きな病院のようにさまざまな診療科のクリニックが集結しています。隣には小児科、少し歩くと循環器内科、耳鼻咽喉科、整形外科、眼科、皮膚科、内科・外科と、これだけ集まっているのは珍しいですね。お互いに連携もしていて、患者さんの紹介ができる体制を整えています。整形外科などから、首、腰、膝のMRIの撮影で紹介いただくことも多いです。

患者さんはお近くの方が多いですか?

患者さんは近隣にお住まいの方が多いですが、北は延岡市、南は日南市など遠方から来られる方もいます。脳神経外科だからか、最初は敷居が高いと感じられる方もいらっしゃるようですが、一度来ていただけると再来院される方が多い印象です。脳神経外科以外の領域に関して相談される方もおり、これまでの経験からわかる範囲でお答えします。ご自身の症状をとても心配されて来られる方も多いため、しっかりと診察や検査をして少しでも安心して帰っていただけるよう努めています。

現在、力を入れている疾患はありますか?

有川章治院長 ありかわクリニック2

片頭痛です。中でも、市販の頭痛薬の飲み過ぎによる頭痛は最近注目されていて、特に女性は月経痛を抱えているために、市販の頭痛薬を飲まれる方も多いと思います。これは意外かもしれませんが、身近に薬があるといった理由から、医療関係者にもこの症状は多いんです。市販の頭痛薬は正しく使用すれば問題ないのですが、頭痛とある程度うまく共生しながら、薬に頼り過ぎないようにすることが大切です。一方で、頭痛を診る医師としては、薬の飲みすぎによる頭痛に関しては悩みの種でもあります。例えば生活習慣などの薬以外の方法も細かく指導しながら、“いかに頭痛薬の処方を減らすか”という課題と向き合っています。片頭痛が最も多い患者層は30~40代の女性ですが、小中学生でもありますし、高齢でも悩んでいる方はいます。特に30~40代の女性は、頭痛が発生しても薬をのみながら仕事や家事・育児をこなさなければならず、治療の難しい年代です。

何げない生活習慣が頭痛を誘発することも

ほかに片頭痛の原因としてはどんなことが考えられますか?

有川章治院長 ありかわクリニック3

チョコレートの食べ過ぎが片頭痛を誘発することもあり得ます。男性の場合はアルコールが原因になることも多く、よく聞く“二日酔い”は、アルコールによって血管が拡張することで起こります。また、コーヒーなどに含まれるカフェインは頭痛の予防に有用ですが、摂りすぎると逆に頭痛が発生することもありますので、オフィスでお仕事されている方などは要注意です。このように、皆さんが知らないうちに原因物質を摂取していることも多く、食習慣に気をつけるだけで改善がみられることも考えられます。食べ物以外で言えば、小中高生の特に男子はゲームの画面を長時間見ていたり、大きな音をずっと聞いたりすることが片頭痛の原因になっていることもあります。日常生活で何げなくやってしまっている習慣は盲点になりがちですが、その改善を心がけるだけでお薬の量を減らすことも期待できます。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

小さい頃に同居していた身内が、最期は自宅で亡くなったのです。亡くなった原因について今、考えてみると、おそらく脳の疾患で、脳卒中だった可能性が高いのではないかと思います。突然意識が亡くなって、かかりつけの医師が往診に来てくださったのですが手立てがなく、それから1週間ほどで息を引き取りました。私は小学校低学年の頃でしたが、あまりにも突然亡くなってしまったことにショックを受けたのを覚えています。その頃から、医師になることを意識し始めました。

脳神経外科を専門に選んだのはなぜですか?

有川章治院長 ありかわクリニック4

身内が脳疾患で亡くなっていることは理由の一つです。また、宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)に木下和夫教授という素晴らしい先生がいたことも、選択の際に大きく影響しました。木下先生は非常に厳しく、私は常に怒られながら成長しました。印象に残っている木下先生の言葉に、「人の言うことをうのみにするな。自分の目で確かめろ」があります。これは、例えば患者さんが以前かかっていた医師が下した診断に対しても、それをまるまる信用するのではなく、一から自分で診察、診断しなさいということです。病歴に関しても、本当にその病気だけなのか、他の病気が隠れていないのかをもう一度見直すんです。紹介状に記載してある情報をそのままカルテに写せば非常に楽なのですが、そうやって手を抜いてしまうと真実は見えてこないんですね。診断の結果が気になる患者さんをもう一度調べ直してみると、診断が変わることも少なからずありました。

救急科外来の経験も生かした診療を

勤務医時代の経験は開業後にどのように生かされていますか?

有川章治院長 ありかわクリニック5

ごくたまに激しい頭痛で嘔吐がある方や、ふらふらして車で連れて来られるような患者さんもいますが、そういったケースでも慌てずに対応できます。また、何科に行ったらいいかわからないといった患者さんでも、おそらく内科じゃないかな、などとある程度の検討をつけて紹介することもできます。こういったことができるのは、救急科外来でいろいろな症例を経験したおかげだと思っています。もちろん、必要と感じたときには速やかに救急車を呼ぶなどの対応をすることもできます。また、周囲のクリニックや大規模病院には知り合いも多く、連携が取りやすい関係であるのは、知っている土地で開業した強みだと思っています。

お休みの日のリフレッシュ法を教えてください。

犬を飼っているので、散歩は必ず行きます。あとは、本を読んだり音楽を聴いたりしてゆっくりと過ごしていることが多いです。本のジャンルは基本的には探偵小説やSFで、新しい作家の本というよりは、自分が小さいころに流行った作家の本を好んで読んでいます。音楽は結局同じものを繰り返し聴いています。70年代や80年代の洋楽や邦楽がしっくりくるみたいですね。

最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。

有川章治院長 ありかわクリニック6

開業して8年ほどたち、各症状に対する自分なりの薬の組み合わせや診療スタイルは徐々に確立されてきました。ただ、医療は日々進歩していますので、それに伴って治療法のアップデートはずっと続けていくと思います。新しい薬も出てくると思いますが、新しいからといって昔からある薬より優れているとは限りませんので、しっかりと見極めながら使用していきたいです。地域の皆さんにおかれましては、頭痛、めまい、しびれといった頭や神経に関係するような症状がある場合はいつでもお気軽にお越しください。可能な限り原因を究明して、症状が緩和するように努めます。

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