田中 聡 院長の独自取材記事
アイクリニック南台
(相模原市南区/小田急相模原駅)
最終更新日:2024/01/15
小田急線相模原駅前から続くにぎやかな商店街。その中にある一軒家風の建物が「アイクリニック南台」だ。田中聡院長は相模原病院で網膜疾患の手術を中心に、緑内障や白内障、一般眼科疾患など幅広い診療に携わってきた。その経験をもとに、同院でも丁寧な診察と診断を心がけている。高質な診療の提供に尽力するのに加えて、患者の利便性の向上も考慮。院内環境の更新をまめに行い、同院のコンセプトである「丁寧な診察と説明、温かい医療の提供」を守り続けている。そんな同院の特徴や診療方針について田中院長に話を聞いた。
(取材日2023年9月28日)
経験と連携を生かしより良い医療を提供
エントランスの緑や開放感のある待合室など、居心地が良いクリニックですね。
患者さんは不調を抱えて来院されるので、少しでも居心地の良い環境で治療を受けてほしいと考えたのです。待合室は開放感のある吹き抜けの空間にして、大きな窓からはエントランスの植栽が見えるようにしました。検査室の中は壁ではなく木の格子で仕切り、中待合室の椅子は一人掛けの大きめの椅子にするなど、閉塞感がなくゆったりとした造りに。皆さん「気持ちが和む」「開放感がありリラックスできた」とおっしゃいますね。「自分の家より居心地が良い」と冗談で言う人もいるほどです(笑)。
こちらの診療方針を教えてください。
勤務医時代には手術を中心に行っていました。ですから、自分のクリニックでも手術をやりたいと思っていたのです。その一方で、開業当初は手術ができる環境ではなかったため手術以外にも何かできないだろうかとも考えていました。そう考えながら診療をしていたところ、手術に関するアドバイスをしたり術後の経過を診たりすることで患者さんが安心する様子を見て、手術をしなくても貢献できることがあると気がついたのです。幸いこの地域には手術を実施できる医療施設が数多くあり、現在の場所へ移転した際に当院では実施しないと決めました。手術は行っていませんが、知識や経験はしっかりと持っているつもりです。それを生かして中立的な立場で手術について説明ができ、患者さんにとって本当に必要かを考えられると思います。また手術を受けると決めた方には、どの医療施設で手術を受けたほうが良いか相談に乗れるのも強みだと思っています。
紹介先の医療施設は決まっているのですか?
目の状態や日程、日帰りか入院かなど、患者さんがどのように手術を受けたいかなどの希望をしっかり聞いて、一人ひとりに適した医療施設を紹介しています。僕自身が多様な手術を執刀してきた経験から、手術内容とそのメリットやリスクなどの説明はもちろん、術後のケアもできますし、手術をしない場合の経過観察は当院で対応可能です。手術に迷いがあるという方、どこで手術を受けるのが良いのかと悩まれている方はぜひご相談ください。勤務医時代から15年以上この地域で診療に携わっており、地域の医療事情はよくわかっているので安心して相談していただけたらうれしいです。
機器を充実させ子どもの近視の進行予防にも尽力
機器の充実もクリニックの特徴の一つですね。
緑内障の早期発見に有用なOCT(光干渉断層計)や視野検査機器を備え、網膜に対するレーザー治療機器や後発白内障に対応できるYAGレーザーも設置しています。最近は広角眼底カメラを導入しました。網膜の検査では、瞳孔を開くための目薬をさして30分以上待ち眼底を見る散瞳検査をしますが、どうしても待ち時間が長く車での来院ができなくなります。また一般的な眼底カメラは網膜の中心はしっかり撮れますが、病変が少し外側にあると撮影が困難になります。しかし広角眼底カメラなら散瞳をしなくても1回の撮影で広範囲を撮れるため、時間短縮や車で来院された場合でも眼底の確認が可能になります。場合によっては散瞳が必要なケースもありますが、糖尿病網膜症の定期的な経過観察などにおいては、患者さんの負担が軽減できるので導入して良かったと実感しています。
特に緑内障の早期発見に力を入れているとか。
緑内障は日本人の主な失明原因といわれていて、自覚症状が出にくく、視野異常が現れた時にはかなり症状が進行していることが多い疾患です。40歳以上の約5%が緑内障ともいわれる一方で、緑内障と診断されている人はそれほど多くありません。早期に見つけて適切な治療をすれば症状のコントロールが望めるので、緑内障の早期発見に努めることは地域医療に従事する者としてとても重要だと考えています。発見するタイミングが大切なので、40歳を超えたら一度は眼科受診をお勧めします。
今後は、子どもの近視診療にも注力していくそうですね。
子どもの近視進行予防にも力を入れていく予定です。近年スマートフォンの普及や、コロナ禍を機に学校でタブレットを使用するようになった影響で、子どもが電子機器を使う時間が増えています。それに伴い近視が進行している子どもが増加しています。近視が進行すると、網膜剥離や緑内障、近視性黄斑症といった失明につながる病気を発症するリスクが高まります。将来にわたって健康な目を保つためには、子どもの頃から近視の進行予防・管理をすることが重要です。そこで当院では子どもの近視をより綿密に診られるように、2023年12月から眼軸(目の奥行きの長さ)を測ることにより近視の進行状態の確認ができる機器を導入しました。もし、お子さんの近視が少しでも気になるという場合はぜひ相談しにきてください。
ドライアイの診療にも注力しているそうですね。
ええ。近視と同じように、電子機器の使用時間が増えたことによりドライアイで悩む方も増えています。ドライアイ=乾くというイメージを持つ方が多いと思いますが、実際はかすみやまぶしさ、見えづらさといった症状が多いです。また視力は低下していないことがほとんどなので、ドライアイだと気づかないことは少なくありません。2023年12月より涙の蒸発のしやすさを計測したり、涙の保持に重要な油層をつくるマイボーム腺を計測できる機械を導入しました。これにより今まで以上にドライアイの適切な診断ができるのではと考えています。治療は点眼薬の他に、涙点プラグ、場合によっては抗菌剤点眼や瞼を温めることで改善につながる場合もありますので、状態・原因に合わせて治療法を提案させていただきます。
患者と真摯に向き合い、丁寧な診察と説明を心がける
医師を志したきっかけを教えてください。
母は昔から病気を患っていて、小さい頃から「あなたが治してくれたらいいのに」と冗談半分で言っていたそうです。それに対して、多分僕は母を喜ばせたかったのでしょう。「大きくなったらお医者さんになって治してあげる」と言い続けていたようです。それが理由かはわかりませんが、小学校の卒業文集にも「将来の夢は医師」と書いてありましたね。医学部ではさまざまな診療科を検討しましたが、診察から検査、診断、そして手術を含めた治療まで、すべて自分でできるところに魅力を感じて眼科を選びました。これからも新しい知見や情報も積極的に取り入れて診療をブラッシュアップし、患者さんに還元していきたいと思います。
診療で心がけていることは何でしょう?
患者さんの話をよく聞き、丁寧に診察、そして質問にしっかり答えきちんと説明することです。患者さんは状況がわからず心配でしょうから、自分が持つ知識を生かして可能な限りしっかりと説明し「来て良かった」と納得して帰っていただくことを目標にしています。ただ、丁寧な診療を行うと待ち時間が長くなる問題が起きました。その解消のために当院では2023年3月から時間帯予約制を導入し、患者さんの来院のタイミングを分散させ、待ち時間の短縮をめざしています。予約制になったからといって時間に追われ急いで診察することはせず、真摯に向き合う姿勢としっかり説明する方針はぶれずに守っていきたいです。
最後に、展望と読者へのメッセージをお願いします。
当院は幅広い眼科疾患に対応し、丁寧な診療を心がけています。また周辺の医療施設との連携を生かして、患者さんにより良い選択肢を提供していきたいです。時代とともに医療も進歩し新しい治療がどんどん出ているので、そういう情報を敏感に拾い、患者さんのニーズにできる限り応えていきたいですね。また患者さんが自分の家族だったらどうするか考え親身に接する。日頃からそんな思いで診させていただいています。何か心配なことがあったら気軽に来ていただきたいと思います。