陳 勁一 院長の独自取材記事
博愛医院
(相模原市南区/小田急相模原駅)
最終更新日:2026/05/11
小田急相模原駅にほど近い「博愛医院」は、1969年に開業以来地域に寄り添ってきた歴史あるクリニックだ。院長を務める陳勁一(ちん・けいいち)先生は、大学病院で非常勤講師も務める循環器内科のエキスパート。その専門性と、スタッフからも慕われる温かい人柄を生かした幅広い診療に取り組んでいる。訪れる多くの患者に、どこまでも謙虚に患者に寄り添いたいという勁一院長に、患者への真摯な思いから充実の内視鏡検査のことまで、じっくり聞いた。
(取材日2020年6月15日/再取材日2026年2月26日)
「すべての人を平等に」、博愛の精神で患者と向き合う
とても歴史のあるクリニックだそうですね。

当院は1969年に父が胃腸外科として開業して以来、半世紀が過ぎました。父は夜中の急患にも対応していましたが、75歳になる頃、さすがに限界を感じたようで、2007年に私が引き継ぎました。物心ついた時から昼夜関係なく患者さんのために尽力する父の姿を見て育った私にとって、父の後を継ぐのは当然のことでした。建物の老朽化も進んでいたので、そのタイミングで建て替えたのですが、とにかく来てくださる患者さんにとって居心地の良い場所になるよう、待合室は30~40人入れるくらい広く取り、高い天井と木目調の内装を施しました。診療科目は内科、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科ですが、かかりつけ医としてお子さんから高齢の患者さんまで、地域の皆さんのお役に立てるよう幅広いニーズに柔軟に対応しています。
2代目院長に就任するまでの経歴を教えてください。
私は大学卒業後「東京都立駒込病院」というがん専門の病院で消化器内視鏡科の研修医をしていましたが、弟が消化器をやりたいというので、兄弟で専門が重なってもつまらないかなと、興味のあった循環器を専門にしました。その後、大学病院などで循環器だけでなく呼吸器や消化器などについても学び、集中治療室でカテーテル治療やペースメーカー治療に携わり、在宅医療も10年ほど経験しました。これまで多くの学びを得られたのは、何人もの良い先生との出会いに恵まれたからだと思っています。また、患者さんから学ぶことも多く、そういう意味では日々勉強といえます。常に謙虚に、おごらずにやっていく姿勢を大切にしていきたいですね。
「博愛医院」という院名には、どんな思いが込められていますか?

台湾から日本にやって来た父は、「人を助けるためには医者しかないだろう」という人でした。患者さんに説教するなど厳しい一面もありましたが、愛情を持って接しているというのが子ども心にもわかる、とても思いやりのある医師でした。「博愛医院」という名前は、ある革命家の掲げた「博愛主義」から父が名づけたもので、「すべての人を平等に愛する」という父の思いとともに、私も日々診療をしています。当院には開業当初から通い続けてくださる70~90代の患者さんも大勢いらっしゃいますが、高齢の患者さんに多い訴えは、ずばり「つらい」。「歩くのがつらい」「体がつらい」、中には「生きるのがつらい」という人もいます。「つらい」と言われた時は「どうしましたか?」「一緒に頑張りましょう」と、まずは相手の話に耳を傾け、寄り添うよう心がけています。
専門性を生かして病気の早期発見をめざしていく
患者さんと接する時に大切にしていることは何ですか?

患者さんは、それぞれいろいろな人生を抱えています。夫婦で通院されている方、一人暮らしの方、中には家族関係が壊れてしまって寂しい思いをしている方もいます。医師には、短時間でそれを察知する能力が必要だと思っています。患者さんの気持ちをくみ取り、適切にアドバイスをすること。薬は大事ですが、それだけではなく、生活習慣を変える必要があることなどをしっかりと相手の心に届くように言ってあげられる、そんな医師になりたいと思っています。私は「虚心坦懐」という言葉が好きなのですが、先入観を持たず、常に平静な心で患者さんと向き合いたいと思っています。患者さんは、医師からの「大丈夫ですよ」という一言を待っていると思うのです。ですから医師が常に勉強するのは当たり前。安心を与えていける存在でありたいと思います。
内視鏡検査に力を入れているそうですね。
私の弟で、副院長の陳勁松(ちん・けいしょう)先生をはじめ、当院には胃カメラを専門とする先生方が複数在籍し、多くの内視鏡検査を行っています。担当するのは「国立がん研究センター」「がん研有明病院」「東京慈恵会医科大学附属病院」など先端の医療現場で活躍している先生方です。内視鏡も2019年に、より鮮明な画像で精密な画像診断がめざせる先進の物に更新しました。画質が格段に良くなっただけでなく、従来の内視鏡よりずっと細くやわらかい管を鼻から入れるので苦痛を感じにくいと思います。通い慣れた身近なクリニックで専門的な内視鏡検査が受けられますので、内視鏡検査をもっと身近に感じていただけたらうれしいですね。
循環器の専門家として、心不全の予防にも力を入れているそうですね。

高齢化に伴う心不全患者の急増を「心不全パンデミック」といいますが、2030年に心不全患者は130万人に達すると推定されています。そこまで増えると、医療現場は崩壊しかねません。心不全は心筋梗塞・心臓弁膜症・心筋炎など心臓の病気や、高血圧、動脈硬化などが原因となって引き起こされ、急性心不全と慢性心不全に分けられます。当院では高血圧症・狭心症・不整脈の患者さんの日常管理や、糖尿病専門診療、メタボリック症候群をはじめとする生活習慣病の診療にも力を入れています。慢性心不全を専門とする看護師など、高い意識を持つスタッフが患者さんに親身に寄り添い、薬だけに頼るのではなく、食事指導や運動も取り入れながら、病気の進行を遅らせるよう、または未然に防ぐことができるよう努めています。
若い患者さんにはどのような症状が見られますか?
消化器であれば過敏性腸症候群、循環器ですと心臓神経症といった、ストレスが原因となる症状の方がしばしば来られます。呼吸器ですと風邪や喘息などの患者さんが多いですね。幅広く診療していますので、何か不調があればまずはご来院ください。当院では院内処方も行っており、診療後の会計の際にお薬もお渡しできますから、患者さんにとっての利便性も高いと思います。
かかりつけ医ならではの気軽さで、専門医療を身近に
スタッフ一丸となって診療されているそうですね。

当院の看護師さんは皆スペシャリスト。私に言われなくてもとても一生懸命やってくれ、細かく指示を出してくれるありがたい存在です。救急病院で働いていた人や、在宅医療専門のスタッフもいます。診察前に看護師が患者さんにじっくり話を聞く時間を取り、例えば生活習慣病については、生活リズムや食事についての話を伺いアドバイスしています。私から言うよりも看護師さんから伝えたほうが良い時もあり、またそうした時間は患者さん自身が気持ちを打ち明けるためにも大切です。優秀なスタッフに恵まれていて幸せだと、本当に感謝しています。
患者さんとの印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
当院では、100歳を越えるご高齢の方の在宅医療にも対応しています。私の母は若い頃に亡くなってしまったので、もし母が生きていれば当院に通ってくださっている患者さんと同じくらいの年齢になるのかなと。そんな患者さんが大勢います。私はそのような高齢の患者さんに自分の親の姿を重ねながら診療しています。本人はもちろん、ご家族も喜んでいただけたらうれしいですね。いつまでも元気に長生きしていただけるよう、心を込めて診療していきたいと思います。
今後の展望をお聞かせください。

「すべての人に平等に心の通う愛を」という理念のもと、当院を頼ってくださる患者さんに喜んでいただける、質の高い医療を提供したいですね。より高度な医療が必要になった場合は「相模原病院」「国立がん研究センター」「がん研有明病院」「東京慈恵会医科大学西部医療センター」など連携している病院をご紹介します。また「最後まで責任をもって診る」ことも理念の一つ。通院が困難な方や容体が急変した方のために、24時間訪問診療ができるよう、訪問看護ステーションの事業にも取り組んでいて、当院も随時連携しています。これからも「博愛」の精神のもと、患者さんにより適切な医療を提供できるよう努力を重ねていきたいと思います。どうぞお気軽にご相談ください。

