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陳 勁一 院長の独自取材記事

博愛医院

(相模原市南区/小田急相模原駅)

最終更新日:2023/02/16

陳勁一院長 博愛医院 main

小田急相模原駅にほど近い「博愛医院」は、地元で圧倒的な信頼を集める歴史ある医院だ。院長の陳勁一(ちん・けいいち)先生は、大学病院で非常勤講師も務める循環器科のエキスパート。専門性を生かした幅広い診療と、スタッフからも慕われる温かい人柄で、多くの患者が訪れる。どこまでも謙虚に患者に寄り添いたいという陳院長に、患者への真摯な思いから充実の内視鏡検査のことまで、じっくり聞いた。

(取材日2020年6月15日/情報更新日2023年2月10日)

「すべての人を平等に」博愛の精神で患者と向き合う

とても歴史のあるクリニックだそうですね。

陳勁一院長 博愛医院1

当院は1969年に父が胃腸科外科として開院して以来、半世紀が過ぎました。父は夜中の急患にも対応していましたが、75歳になる頃さすがに限界を感じたようで、2007年に私が引き継ぎました。物心ついた時から昼夜関係なく患者さんのために尽力する父の姿を見て育った私にとって、父の後を継ぐのは当然のことでした。建物の老朽化も進んでいたのでそのタイミングで建て替えたのですが、とにかく来てくださる患者さんにとって居心地の良い場所になるよう、待合室は30~40人入れるくらい広く取り、高い天井と木目調の内装を施しました。診療科目は内科と循環器科、消化器科、呼吸器科ですが、かかりつけ医としてお子さんから高齢の患者さんまで、地域の皆さんのお役に立てるよう幅広いニーズに柔軟に対応しています。

2代目院長に就任するまでの経歴を教えてください。

私は大学卒業後、都立駒込病院というがん専門の病院で消化器内視鏡科の研修医をしていましたが、弟が消化器をやりたいというので、兄弟で専門が重なってもつまらないかなと、興味のあった循環器科に進みました。その後、大学病院などで循環器だけでなく呼吸器や消化器などについても学び、集中治療室でカテーテル治療やペースメーカー治療に携わり、在宅診療も10年ほど経験しました。これまで多くの学びを得られたのは、何人ものいい先生との出会いに恵まれたからだと思っています。また、患者さんから学ぶことも多く、そういう意味では日々勉強と言えます。常に謙虚に、おごらずにやっていく姿勢を大切にしていきたいですね。

「博愛医院」という院名に込められた思いをお聞かせください。

陳勁一院長 博愛医院2

台湾から日本にやって来た父は、「人を助けるためには医者しかないだろう」という人でした。父は、患者さんに説教するなど厳しい一面もありましたが、愛情を持って接しているというのが子ども心にもわかる、とても愛情深い医師でした。「博愛医院」という名前は、孫文の博愛主義が好きだった父が名づけたもので、私も「すべての人を平等に愛する」という父の思いとともに日々の診療をしています。当院には開院当初から通い続けてくださる70~90代の患者さんが大勢いらっしゃいますが、高齢の患者さんに多い訴えは、ずばり「つらい」。「歩くのがつらい」「体がつらい」、中には「生きるのがつらい」という人もいます。「つらい」と言われた時は、「どうしましたか」「一緒に頑張りましょう」と、まずは相手の話に耳を傾け、寄り添うよう心がけています。

専門性を生かして病気の早期発見をめざしていく

患者さんと接する時に大切にしていることは何ですか?

陳勁一院長 博愛医院3

患者さんは、それぞれいろいろな人生を抱えています。夫婦で通院されている方だけでなく、一人暮らしの方もいれば、家族関係が壊れてしまって寂しい思いをしている人もいます。医師には、短時間でそれを察知する能力が必要だと思っています。患者さんの気持ちをくみ取り、的確なアドバイスをしてあげること。薬は大事ですが、それだけではなく、生活習慣を変える必要があることなどをしっかりと相手の心に届くように言ってあげられる、そんな医師になりたいと思っています。私は「虚心坦懐」という言葉が好きなのですが、先入観を持たず、常に平静な心で患者さんと向き合いたいと思っています。患者さんは、医者からの「大丈夫ですよ」という一言を待っていると思うのです。ですから医者が常に勉強するのは当たり前。安心を与えていける存在でありたいと思います。

内視鏡検査に力を入れているそうですね。

私の弟で、副院長の陳勁松(ちん・けいしょう)先生をはじめ、当院には胃カメラを専門とする先生方が複数在籍し、多くの内視鏡検査を行いました。担当するのは、国立がん研究センターやがん研有明病院、東京慈恵会医科大学附属病院など先端の医療現場で活躍している先生方です。内視鏡も2019年に、より鮮明な画像で正確な画像診断がめざせる先進のものに更新しました。画質が格段に良くなっただけでなく、従来の内視鏡よりずっと細い、やわらかい管を鼻から入れるので、痛みや苦痛を感じにくいようです。通い慣れた身近なクリニックでこういった先生方の内視鏡検査が受けられますので、内視鏡検査をもっと身近に感じていただけたらうれしいですね。

先生は循環器の専門家として、心不全の予防にも力を入れているそうですね。

陳勁一院長 博愛医院4

高齢化の増加に伴い、心不全患者が急激に増加することを「心不全パンデミック」といいますが、2030年に心不全患者は130万人に達すると推定されています。そこまで患者数が増えると医療現場は崩壊しかねません。心不全は、心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎など心臓のさまざまな病気や、高血圧、動脈硬化などが原因となって引き起こされる状態のことで、急性心不全と慢性心不全に分けられます。当院では高血圧症や狭心症、不整脈の患者さんの日常管理や、糖尿病専門診療やメタボリック症候群をはじめとする生活習慣病の診療にも力を入れています。慢性心不全を専門とする看護士など、高い意識をもつスタッフが患者さんの気持ちに寄り添いながら、薬だけに頼るのではなく、食事指導や運動療法も取り入れた親身のサポートで病気の進行を遅らせ、未然に防ぐことができればと思っています。

かかりつけ医ならではの気軽さで、医療を身近に

スタッフ一丸となって診療されているそうですね。

陳勁一院長 博愛医院5

当院の看護師さんは皆スペシャリストなので、私に言われなくてもとても一生懸命やってくれています。救急病院で働いていた人や、在宅医療専門のスタッフもいます。的確に指示を出してくれるからありがたい存在です。患者さんに対しても、看護師が診察前にじっくり話を聞く時間をとっています。例えば、生活習慣病については、生活リズムや食事についての話を伺いアドバイスしています。私から言うより看護師さんから一言言ってもらったほうが良い時もあります。そういった時間が、患者さん自身が気持ちを打ち明ける大切な時間だと思っています。優秀なスタッフに恵まれていて幸せだと、本当に感謝しています。

印象に残っている患者とのエピソードを教えてください。

当院にずっと通ってくださっていたおばあちゃんが、自宅で元気に100歳の誕生日を迎えることができました。訪問診療での対応でしたが、息子さんからすれば大切なお母さんです。本人はもちろん、ご家族もとても喜ばれていました。その後しばらくして亡くなられたのですが、「先生に診てもらえてよかった」と、ご家族から感謝していただけたことがとてもうれしかったですね。私の母は若い頃に亡くなってしまったので、もし生きていれば母と同じくらいの年齢の患者さんが大勢います。私はそのような高齢の患者さんに自分の親の姿を重ねながら診療しています。いつまでも元気に長生きしていただけるよう、心を込めて診療していきたいと思います。

今後の展望をお聞かせください。

陳勁一院長 博愛医院6

「すべての人に平等に心の通う愛を」をという理念には、当院を頼ってくださった患者さんに、より喜んでいただけるような質の高い医療を提供したいという思いがあります。より高度な医療が必要になった場合は、相模原病院や国立がん研究センター、がん研有明病院、東京慈恵会医科大学附属第三病院など連携している病院をご紹介します。また、「最後まで責任をもって診る」というのも理念の一つ。これまでも通院が困難になったり、容体が急変した患者さんのもとにスタッフとともに訪問していましたが、人数や体制的にどうしても行き届かない面がありました。なんとかしたいという思いはスタッフも同じで、2020年に24時間体制のスキルが高い看護師が対応できる、訪問診療専門の事業所をスタートさせました。これからも博愛の精神のもと、患者さんのためにより適切な医療を提供できるよう努力を重ねていきたいと思います。どうぞお気軽にご相談ください。

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