がんの標準治療と並行してできる
保険診療対応のハイパーサーミア
相武台脳神経外科
(相模原市南区/相武台前駅)
最終更新日:2024/04/12
- 保険診療
現在がんの標準治療といわれるのは手術、抗がん剤、放射線治療だが、そのサポートとなるべく治療として注目されるハイパーサーミア。まだ導入しているクリニックは少ないというが、1990年から条件を満たせば保険適応になり、副作用も少なく、多くの種類のがんに対応しているという。「相武台脳神経外科」の加藤貴弘院長は、がんの治療に苦しんでいる人たちを少しでもサポートできればと、クリニックの移転と同時に機器を導入。「今までのがん治療と並行して行うことができ、リスクも少ないので、チャレンジしてみようという姿勢も大事だと思う」と話す加藤院長。ハイパーサーミアという治療法を初めて聞いたという人にもわかりやすいように、特徴や治療の流れを詳しく聞いた。
(取材日2024年4月3日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qハイパーサーミアとは、どのような治療を行うのでしょうか?
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A
現在がんの3大治療は手術、抗がん剤、放射線治療ですが、ハイパーサーミアはそれらと並行しながら行う治療だと考えてください。患者さんはベッドに寝た状態で、体を上下から二極の電極盤ではさみ、患部に熱を当てがん細胞へアプローチする温熱療法です。熱が痛覚に当たると少し痛みがあることと患部が肺や胸部の場合は少し息苦しいと感じることもありますが、全体的には痛みも少なくリスクが低い治療法だと思います。1990年から保険適応になっており、がんそのものの減少を図る、抗がん剤や放射線治療の効果を高めたり、患者さんのがんに対する抵抗力を上げたりすることを目的としています。
- Qどういうメカニズムでがん治療を行うのですか?
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A
がん細胞が熱に弱いという特性を利用した治療法です。正常細胞が耐えうる温度とがん細胞が死滅する温度の違いを利用します。がん細胞は、42~43℃で死滅するとされており、がん細胞の部分に局所的に熱を当て、がん細胞の減少を図ります。がん治療を氷山に例えるなら、水面の上に出ている氷の部分をたたくのが標準治療と言われる手術、抗がん剤、放射線治療です。しかし、水中の氷を溶かさなければ、時間がたつとまた氷が盛り上がってしまうように、がんも表面に見える部分だけたたくのではなく、中に潜んでいる部分もやっつけるという考えの治療がハイパーサーミアです。
- Q治療を行う上で、副作用はありますか?
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A
熱を当てるので表皮が軽いやけどのような状態になってしまうことはありますが、当院ではなるべくそういう状態を避けるため、看護師が傍で見守りながら、患者さんが熱すぎると感じる場合などはその都度対応するようにしています。また皮下脂肪が多い人は、脂肪が硬くなってしまい痛みを感じることがありますが、それは一時的なもので1週間くらい経てば改善されます。もう1つ注意することは、がんの人は脳梗塞になりやすい傾向があり、ハイパーサーミアは脱水状態になることがあるため、脳梗塞のリスクが少しあることです。ですから、治療の前後には水分をしっかり取るようにしてもらい、脱水をおこさないように注意しながら行っています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1電話かウェブから診察予約を取る
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診察を受けるには予約が必要。電話で「ハイパーサーミアの治療を希望する」旨を伝える。もしくは、ホームページの問い合わせリンクからハイパーサーミアについて問い合わせを行うこともできる。どちらの場合も、ハイパーサーミア担当の看護師から直接説明を受けた後、診察予約を取る。担当看護師と話す際、がんのステージや今までの治療経緯などをまとめておくと、スムーズに話が進められる。
- 2初診を受ける
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現在治療をしている病院の紹介状と画像データなどを持って初診を受ける。現在の状態の確認。その後ハイパーサーミアの治療の流れについて説明を受ける。この時に、がんを克服するためにはどういう意識で臨むべきかなど、同院でのがん治療の全体像についても説明を受ける。初診で説明を受けた後、ハイパーサーミアが受けられると最終判断されれば、初回治療の予約を取る。
- 3ハイパーサーミアの治療を受ける
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治療を受ける日は、腕時計やピアスなど金属製の物は身に着けないようにする。ハイパーサーミアの治療時は、クリニックで用意された服に着替えるが、汗をかくためタオルを持参すると良いそうだ。また脱水症状をおこさないように、治療前後には水分を十分に取ることが必要。ベッドの上に寝て、上下から電極を挟みこんで、患部に熱を受ける。1回の治療はおおよそ30分前後だそうだ。
- 4治療の進行具合の評価
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おおよそ1週間に1回、全8回の治療を2ヵ月間で受けることを1クールとする。8回の治療終了後、今まで治療を受けている病院や紹介状をもらった病院で画像を撮ってもらい評価。ここまでの治療は保険診療が適応される。その後追加で受ける場合、保険適応されるかどうかは県によって異なるので確認が必要だという。