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谷川 治 院長の独自取材記事

博多駅前まちかど皮膚科

(福岡市博多区/博多駅)

最終更新日:2021/10/12

谷川治院長 博多駅前まちかど皮膚科 main

博多駅から徒歩3分、医院名のとおり博多駅前のビジネス街の角にある「博多駅前まちかど皮膚科」。緑を基調とした優しい雰囲気、自然光がたっぷり入る明るい院内は都会の中心にありながらも、どこか和める医院だ。院長の谷川治先生は他科出身だが、原因探しから治療までトータルに患者を診たいという想いのもと、皮膚科にキャリアチェンジし、数々の臨床経験と経歴を持つ医師だ。自身のことを「緩やか」と表現するとおり、気取らず自然体で穏やかなオーラが漂う谷川院長は、なんでも相談できる優しい先生という表現がぴったり。「治療のゴールは患者さんが決めていい」と言う谷川院長。その診療方針や日々の診療について、詳しく話を聞いた。

(取材日2020年11月11日)

街の中心部にありながらも、和やかなクリニックを

とても素敵な院内ですね。こだわったところなどはありますか?

谷川治院長 博多駅前まちかど皮膚科1

開業したのは2015年です。ここは以前は実は倉庫だったんですが、知人から「この場所で新しいことを始めたい」と話があり、縁あって開業することになりました。名前の由来はここがちょうど“街角”にあったからです。院内の設計はデザイナーさんにお願いして、私からは自然光がたくさん入るようにオーダーしました。皮膚科の診察には自然光のほうがより患者さんを診やすいので。私自身があまりかしこまった人間ではないので、院内もアカデミック過ぎたり、おしゃれ過ぎたりすることなく、私らしくアットホームな雰囲気は出ているんじゃないかなと思っています。

スタッフ体制について教えてください。

看護師3人と事務スタッフ3人で運営しています。チームワークとしてはスタッフを信頼して、看護師に任せるところ、医師の私が行うことを意識的に分けるようにしています。皮膚科ですので薬の塗り方や自宅でのケアの方法を指導することも多いですが、同じ内容でも人によっては表現の仕方が違うこともあります。それが患者さんは違う内容と誤認されてしまうことも考えられますので、説明が重複しないようにしています。

開業されるまでのご経歴を教えてください。

谷川治院長 博多駅前まちかど皮膚科2

育ちは宮崎県です。父が医師でしたので、自然な成り行きで私も医師の道へ進みました。父は大学病院勤務でしたので転勤も多く、これまでいろいろな土地に住みました。妻が福岡出身なので結婚を機に福岡に住み、今年で20年くらいになりますね。開業するまでは、福岡大学病院や済生会飯塚嘉穂病院などに勤務していました。勤務先は大学の人事になりますので、いろいろなところを経験するのですが、その中でも医師としての基礎を作ってくれたのは、院長を任された北海道の千歳時代ですね。院長といっても院内で医師は私一人ですので、自分で考えて動き、日々が経験と学びでした。一日100人ほどの患者さんを診ていたので、とてもハードではありましたが、若さもあり乗り越えました。北海道で過ごした日々は自信となり、また良き思い出として、医師人生の大きな糧となっています。

患者が決めたゴールに、医師として真摯に伴走したい

どのような患者さんがいらっしゃいますか?

谷川治院長 博多駅前まちかど皮膚科3

0歳の赤ちゃんからご高齢の方まで、やけどなどの急性外傷からまれな皮膚疾患まで幅広く対応しています。博多駅前のビジネス街という場所柄、20代女性の患者さんが一番多く、ニキビやアトピー性皮膚炎の診療が多いのが特徴かと思います。特に今年は感染症対策のためにマスクを着用する機会が多く、その影響でニキビのお悩みで来院される方は例年以上に増えていますね。開業するまでは入院施設のある療養型の病院に勤めており、診る疾患も褥瘡や壊疽など高齢の方がかかる疾患が中心でしたから、開業して若い女性の患者さんの多さに驚いています。私は男ですし見た目は気にしないほうなので、女性の肌についての意識は妻に聞いていますね。どういったことが悩みになるのか、どうなったらうれしいとか、妻からは患者目線として教わることが多く、患者さんからもお話をお聞きして診療へ生かしています。

先生の医療に対するモットーを教えてください。

目標は患者さんが決めていいものだと思っています。モデルさんのようにニキビ一つない肌になりたい方もいらっしゃれば、ひとまず今のトラブルを解決できればいいと思われる方もいらっしゃいます。患者さんによって目標が違うので、その人に合わせてゴールを設定していいのかなと考えます。慢性の皮膚疾患は仕事柄や生活スタイルも大きく関係してきますので、ご自身でのケアでも患者さんによってできること、できないことが異なるというのが実情です。理想の状態はもちろんありますが、それを押しつけてしまうのは、逆に患者さんを困惑させてしまうかもしれません。ですので、命に関わらない一般的な皮膚疾患の場合は、患者さんの満足を一番大切にしています。

診療で心がけていることはありますか?

谷川治院長 博多駅前まちかど皮膚科4

やけどやケガなどの急性疾患の場合は、適切な処置を行えばいずれ治癒へと向かいますが、ニキビや湿疹や手荒れなどの慢性疾患の場合は、遺伝的なもの含め、何かしらの原因があります。こうした多くの皮膚疾患には、多くの場合症状に適した薬が処方され、いったんは症状が治まったかのように見えますが、それは治ったことにはならないんですね。患者さんの中には薬を塗って治ったら、もうぶり返さないと思っておられる方もいますが、そうではありません。原因を除かない限り本当の治癒は望めないと私は思っています。治癒に最も必要なことは、原因とその背景をしっかりと患者さんと確認していくことです。そのためにも、正しい診断をつけることはもちろんですが、患者さんにわかりやすいカウンセリングは大切だと考えます。

SOSを出せずにいる人に気づきのきっかけを

印象に残っている患者さんについて教えてください。

谷川治院長 博多駅前まちかど皮膚科5

以前、全身のひどいかゆみを訴える20歳くらいの外国人の患者さんを診察したら疥癬だったことがありました。疥癬はうつる病気で、栄養や衛生状態が悪い環境で広がります。本来は貧困地域に多い病気ですが、現代日本では、病院や高齢者施設の入所者、およびその関係者の間で流行を見ることがあるくらいです。医療関係者でもない健康な若者がそうそうかかる病気ではありません。不思議に思いカウンセリングを進めると、その方は途上国から2ヵ月前に来日され、一緒に来日した人たちとワンルームマンションに5人で共同生活をしていることがわかりました。狭い部屋で雑魚寝生活をしているうちに感染したらしく、後日診察してみると同室の3人も疥癬にかかっていました。目の前の疾患だけではなく、背景も確認することが功を奏した事例です。

今後の目標や展望はありますか?

目標を掲げるのではなく、受け身でいいと思っています。女性患者が多いから美容へシフトしていく、というより、患者さんの求めに応じて、これまでどおりお一人お一人対処したいと考えています。あと、これは常日頃感じていることなのですが、本当に困っている人は声が出せていないんじゃないかと感じています。例えば、アトピー性皮膚炎でも本当に重症の方はなかなか皮膚科へは来られません。なぜ来ないかというと、今までさんざん努力しても良くならず、もう諦めてしまっているのではないかと思うんです。内科に行かれて、そこの先生に「内科よりも皮膚の症状のほうが心配です」と紹介されて来られる患者さんもいらっしゃいます。そういったSOSを出せずにいる方の声を拾い上げるためのきっかけを何かつくれればいいなと考えています。

読者へのメッセージをお願いします。

谷川治院長 博多駅前まちかど皮膚科6

慢性の皮膚炎は、遺伝的なものを除けばすべて原因があって出ています。その原因を突き止めて、本当の意味での治癒をめざせるように診療にあたっています。原因を取り除くには、患者さんご自身の日々の過ごし方が大切です。私はその原因を取り除く、気づきのヒントをつくれればいいなと思っています。と言っても、原因がわかったからといって実行に移すのはとても大変ですし、医師の私でも完璧には無理だと思います(笑)。たまに、こちらからの提案を全部実行している方もいらっしゃいますが、本当にすごいなと感心しています。ただ、努力では変えられないものもあると思います。患者さんお一人お一人の要望にお応えするのがモットーですので、身近な町のかかりつけ医として気軽に訪れてください。

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