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松本 伸治 院長の独自取材記事

松本クリニック

(八尾市/近鉄八尾駅)

最終更新日:2020/04/01

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地域の人々の生活に寄り添う温かい医療を届けることをモットーとする「松本クリニック」。松本伸治院長は、父親が難病を患い在宅医療が必要となったことをきっかけに開院を決意した。自身が家族を介護する立場になり、在宅医療においては患者だけではなくその家族も一緒に地域で支えていくことが重要だと強く感じたのだという。2014年に在宅医療専門のクリニックを開院。さらに2015年には内科、外科、整形外科、リハビリテーション科、漢方内科などの外来診療を含めたクリニックとして現在の場所に移転開院した。「医師は天職」と穏やかに語る松本院長に、患者やその家族への思い、そして今後の展望などを聞いた。
(取材日2019年5月29日)

患者と家族に安心を届ける在宅医療に注力

和歌山の大学を卒業後、大阪に戻ってこられたのですね。

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他大学の工学部を卒業して就職も決まっていましたが、そこから医師をめざして入学したのが和歌山県立医科大学です。卒業後、初めて担当した患者さんが初期の肝臓がんで、簡単な手術をすればすぐに退院できる見込みだったのですが術後肝不全を起こして亡くなられたんです。それから消化器外科、特に肝臓外科を専門にやりたいと考えるようになりました。また同じ頃、父がALS(筋萎縮性側索硬化症)という神経難病であると診断されたこともあり、研修医をしていた和歌山から実家のある大阪に戻り、八尾市立病院に勤務することに。当時同院には肝臓外科分野で有名な先生がいらっしゃって実家からも近かったんです。その流れで同院と関連が深い大阪大学消化器外科に入局しました。

八尾市立病院で緩和ケアを担当するようになったきっかけを教えてください。

父が病気の診断を受けたのは私が研修医2年目の頃。治らない病気で症状は徐々に進行していきました。そして自宅療養することになり、在宅医療を受ける側になったんです。私自身も患者の家族として介護をする側の立場になり、一方で仕事として患者さんを在宅療養に送り出す側の立場でもあり、両方の視点を持てるようになりました。介護する側の気持ちもある程度わかっていたことから緩和ケアにも携わるようになったんです。その頃外科から内科に転科して、内科全般についても勉強させてもらったことは現在の診療に大きく生かされています。

この建物の2階に訪問看護ステーションがあるのですね。

在宅療養に携わっているとケアマネジャーやヘルパー、訪問看護師、訪問リハビリがとても重要な役割を担っていると実感します。医師以上に患者さんやご家族に必要とされている存在なのではないでしょうか。在宅療養の場は生活の場でもありますので、実際の生活に密着したケアの部分での貢献度はとても大きいですね。それゆえに、2年ほど前に「松くり訪問看護ステーション」を設立し、在宅療養のサービスをさらに充実させていきたいと考えています。

現在、訪問看護ステーションとの連携はどのようにされているのでしょうか。

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30人程度のメンバー全員で毎朝ミーティングを行い、患者さんの状況などを情報共有しています。また夕方にはその日の申し送りを欠かしません。同じ建物の1階と2階ですし、同じグループですから日中も常に連絡を取り合っていますね。皆「患者さんとそのご家族のために」という共通の思いを持って動いてくれていますね。

外来診療でも一人ひとりの生活に寄り添い見守る

在宅療養支援診療所と掲げておられますが、外来診療もされているのですね。

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移転前は在宅医療専門のクリニックだったのですが、外来も始めたのは健康寿命を延ばすためのサポートも重要だと考えるようになったからです。病気が悪化しないうちに体をケアすることで、できるだけ長く健康的な生活を送っていただくお手伝いができればと。また例えば、大病院で治療を受けていた患者さんが、治療が終わった後のちょっとした不調や自宅で療養する上で不安に感じることなどを気軽に相談できる場所も必要ですよね。当院がそのような場所になれればと思っています。外来に通える間は通っていただき、将来的に在宅医療が必要になった際にも継続的な診療ができれば患者さん、ご家族にも安心していただけるのではないでしょうか。

外来にはどのような患者さんが来られますか?

患者さんの年齢層は高めです。生活習慣病の方、整形外科も標榜しているので整形的な疾患の方、その両方を抱えている方も少なくありません。前述のような大きな病院で治療を受けていた方の診療も行っています。リハビリテーションのために来られる方、風邪などで来院される方もいらっしゃいますね。また当院では、痙縮(けいしゅく)といって脳卒中の後遺症で筋肉が過緊張状態になっている方にA型ボツリヌス毒素製剤を用いた療法を行っています。動かしにくかった筋肉が動くようになれば、着替えなどの際ご本人も楽ですし介助する方の負担も軽減されます。さらに今後は栄養学などと結びついた診療により、病気を予防しながら健康寿命を延ばす取り組みにも力を入れていきたいと考えています。

診療において心がけていることをお聞かせください。

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目線を患者さんと同じ高さにするということを大切にしています。在宅の患者さんとお話しする際にはベッドサイドに座って目線を合わせます。在宅医療の場合、患者さんやご家族の生活の場に入って診させていただくので特に意識していますね。また在宅医療においては患者さんだけを診ているわけではなくて、患者さんを日々支えているご家族も含めてサポートしていくというスタンスでお付き合いしていますので、ご家族のお話にもしっかり耳を傾けるよう心がけています。外来診療においても、患者さんの生活に寄り添った医療を届けたいという思いは昔から変わらずに持ち続けています。

無理のない、不安のない在宅療養の輪を広げたい

先生が思い描いている在宅医療とはどのようなものですか?

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一つはケアプランセンターやヘルパーステーション、訪問看護ステーションと医師がグループとして連携して活動する仕組みで、当院でも実現しつつあります。最終的な展望としては介護者のサポートも一緒に行える仕組みづくりを考えています。患者さんを自宅で家族が見るというのは本当に大変なことで、ご家族には相当な覚悟が必要なんです。私の父は9年間闘病した末、1年半前に亡くなりましたが、介護をする家族のほうも精神的につらくなってしまうことがあるということを身をもって体験しました。そのため近年はレスパイト入院といって、ご家族に休養していただくために地域の病院と連携を取って患者さんの一時入院を勧めることもあります。

ご家族が休むことも必要なのですね。

そうなんです。ただ、現状だと患者さんが入院している間、一時的ではあっても今まで在宅で診てもらっていた医師や看護師などとの関わりが途絶えてしまいます。それは患者さんとしても不安ですし、ご家族も心配だと思います。ですから当院のグループ内でレスパイト入院のようなことが可能になれば、すべてが一元化され、患者さんやご家族の安心につながるのではないかと考えています。このような私の構想が実現し、地域の皆さんのお役に立つことができて、それがモデルケースとなって、同じようなことをしようという先生方が現れて輪が広がっていけば、無理なく在宅での療養ができるような世の中になるのではないでしょうか。

近年は一人暮らしの高齢者も増えています。

そうですね。日常的な人との関わりがなくて、医師の診療を受けたほうがいい状態、あるいは公的サービスを受けられる状況なのに何もしていない、できていないという方が結構いらっしゃいます。私も役所から依頼を受けてお手伝いさせていただくこともありますが、地域全体で見守り支えていくことが大切ですね。

病気を抱える患者さんやご家族にメッセージをお願いします。

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患者さん、ご家族の中にはどこでどうすればいいのかわからず困っている方が多くいらっしゃいます。当院では「地域連携室」といって、そういった皆さんからのご相談を専任のソーシャルワーカーが承っています。電話相談も可能ですし院内で、あるいはご自宅で直接お話をお聞きすることもできます。患者さん、ご家族、あるいはケアマネジャーさんから詳しく状況をお聞きして、お一人お一人に適切なアドバイスをさせていただいています。在宅医療だけでなく公的サービスもいろいろありますから、さまざまな情報を得る機会としてもぜひ活用していただきたいですね。

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