松田 恵里子 院長の独自取材記事
松田歯科クリニック
(相模原市南区/相模大野駅)
最終更新日:2025/06/30

相模大野駅から徒歩約5分の場所にある「松田歯科クリニック」。一般歯科はもちろん、小児歯科・歯周病治療・インプラント治療・矯正など専門的な治療も実践。相談しやすいアットホームな雰囲気と診療内容の幅広さで、子どもから大人まで幅広い患者に愛されている。小児歯科を専門とする松田恵里子院長をはじめ、各分野の専門知識を持った歯科医師がそろい、チーム一丸となってさまざまな症例に対応。患者を指導するのでなく支援する姿勢を大切にしているという。診療所間外でも障害のある子どもに対する摂食指導などで地域貢献を続ける松田院長に、同院の特徴や今後の展望について聞いた。
(取材日2025年4月10日)
一般歯科から一歩進んだ、専門的な治療も幅広く実践
こちらの歯科医院は開業して25年以上になると伺いました。

はい。当初は夫が院長を務め、私は大学病院で小児歯科を診ていましたが、しばらくして私もこちらで主に診察するようになり、夫が亡くなってからは院長を引き継いで続けています。ずっと地域密着でやってきて、近隣の患者さんが年齢を問わず来院されますし、親子での受診も多いです。当院では、「お口の中も含めた全身の健康を大切にする」ことを目標に、悪いところを治療するだけでなく、予防から治療後のフォローまでしっかり行うことを大切にしています。地域のニーズをもとに、一般歯科はもちろん、小児歯科・歯周病治療・インプラント治療・矯正など幅広く対応し、安心して通っていただけるよう、感染症対策にも注力しています。常時換気もしながら空気清浄機と加湿器を使い、粉塵・飛沫を吸引する口腔外バキュームをユニットごとに配置しました。共用部はこまめにアルコール消毒しています。
インプラント治療や矯正などの専門的な治療も受けられるのですね。
小児歯科、歯周病治療、インプラント治療、難症例の抜歯、入れ歯治療、矯正は専門の歯科医師が対応し、一般的な治療と専門的な治療どちらもカバーする、いわゆる1.5次診療をめざしています。ここまで幅広く対応できるのはご協力くださる先生方のおかげです。常勤の中江ゆきを先生の専門は歯周病で、薬剤を使って菌の除去を図る歯周内科にも取り組んでいます。週に2日インプラント治療を担当するのは、大学病院で難症例の治療も手がけるベテランの中村篤先生。当院はできるだけ歯を抜かない治療をモットーとしていますが、中村先生のおかげでインプラント治療という選択肢の可能性が広がりました。私の専門は小児歯科で、噛み合わせの改善や虫歯予防が期待できる矯正も手がけています。特にマウスピース型装置を用いた矯正を希望される方の増加を受けて、以前はスペースの関係上諦めていた歯科用CTやセファログラムも導入しました。
専門的な治療を実践しているのはなぜですか?

専門的な治療のために大学病院などに通うことは患者さんにとって負担の大きいことです。さらにこの辺りには歯科のある大学病院が少ないのです。「ここで完結できるのなら治療を受けたい」という声も多く、プラスアルファの治療を模索するようになりました。例えば、歯周病の保険診療は歯垢・歯石の除去が中心となりますが、重度の場合、これだけでは改善が見込めないことも。そこで自費診療にはなりますが、唾液検査や内服薬による歯周内科治療を加えることで、改善へと前進するきっかけをつくることができるのです。こうした専門的な治療を取り入れることで、患者さんの本気度も変わり、治療へのモチベーション維持にもつながると感じています。
小児と高齢者を中心に、口腔機能の育成と維持にも尽力
ご専門である小児歯科の魅力は何でしょう。

乳歯が生える前から永久歯がそろうまでの間、ずっと診ていけることです。子どもの口は大人と違いダイナミックに変化するので、少しの乱れであればその変化を利用して軌道修正を図ることが可能なことも多く、そういうサインを見逃さないように心がけています。また、最初は泣いて暴れるような子でも、時間をかけて説明し、痛みに配慮した治療を行いながら、次第にリラックスしてもらえるように努めています。そうすることで、痛みの感じ方も違ってくるのではないでしょうか。小さい頃から通っていた患者さんが、大きくなってからもお口の健康を保ってくれる姿はうれしく思いますね。成人しても受診してくれたり、引っ越した後でも訪ねてくれたり、中には歯科医師になった方もいたりと、一人ひとりの成長を見られることも小児歯科の魅力ですね。
小児の口腔機能にもアプローチされているとか。
いわゆる「お口ポカン」や噛まずに丸飲みしてしまう子、噛み切りづらい肉や野菜を嫌がる子などが増えています。これらは口周りの筋肉を正しく使えていないことに起因するもので、適切な訓練や食事内容の見直しにより改善を図ります。2歳6ヵ月健診で、噛み合わせが深い過蓋咬合が多く見られ、前歯で十分に噛み切ることができない子が増えているにもかかわらず、離乳が完了したからと大人と同じ食事を与えてしまうようなケースが多く見られます。噛み方、食べ方を意識して練習するとともに、発達に合わせた食事内容に調整することが重要です。ライフワークとしてきた特別支援学校での摂食指導経験も生かし、熱心なスタッフとともにこうした口腔機能発達不全症の改善に取り組んでいるところです。すぐに結果が出るものではありませんから、お子さんや親御さんを「指導する」のでなく「こうしたらできるのでは?」と支援する姿勢を大切にしています。
高齢者の口腔機能低下症にも取り組まれているそうですね。

高齢者の場合、現状維持か進行速度を抑えるためのトレーニングとなります。本来であれば小児期にしっかり発達させた口腔機能を上手に維持し、衰退期をできるだけ遅らせるべきなのですが、発達が不十分だと衰退も早く急激になってしまいます。発達不全と低下に同時にアプローチしていくことが非常に重要なのです。特に高齢者の場合、食事形態が不適切なことによる誤嚥が命に関わることも多く見られ、管理栄養士も交えての摂食指導が必要だと感じています。食事内容を画像で記録・分析できるアプリなども活用しながら、一人ひとりの口腔機能に合わせた食のアドバイスも提供していきたいですね。
選択肢を広げ、ニーズに応える包括的な診療を
院外でも積極的に活動されているのだとか。

診療外でライフワークにしているのが、特別支援学校での摂食指導です。昔は障害者歯科という分野が一般的でなかったので、大学病院の小児歯科で障害者も診ていましたが、その関連から摂食障害に関わるようになりました。大学での摂食勉強会のネットワークから活動が広がり、特別支援学校の生徒さんへの直接的な摂食指導や口腔ケア指導のほか、教員や保護者向けの講演会も行っています。ほかには大学の兼任講師をしているので、勉強会や学生の教育指導に行くこともあります。また地域貢献の一環として歯科医師会の障害者歯科の診療所での診療や2歳6ヵ月健診を引き受けたり、地域包括支援センターでの講演会などの活動をしたりしています。
今後の展望を教えてください。
高齢化を受けて、口腔機能低下症へのアプローチを強化するとともに、いずれは訪問診療も検討したいと考えています。高齢者向けの訪問歯科診療は増えてきていますが、気管切開している在宅療養中の子などを対象としているところは少ないのです。多摩地域には小児訪問歯科のスタディーグループもあり、そこでの知見やノウハウを神奈川エリアにも広げるお手伝いができればと思っています。今後も「自分が必要とされているところに行きたい」という思いをモチベーションに、自分の専門性を還元できるところがある限りは力を尽くしていきたいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

虫歯菌は3歳までにお口の中に定着するといわれます。まずは規則正しい食生活、食習慣、歯磨き習慣を心がけていただき、定期検診をしっかり受けてください。発達に合わせた食事や生活のアドバイスに加え、子どもの場合、年齢によって虫歯になりやすい場所がだいたい決まっていますから、ケアのポイントもお伝えできます。大人の方の場合、悪い部分にアプローチするという一般的な治療から一歩進んで、リスクを探り、悪くさせないためのアプローチも可能です。複数の歯科医師が専門性を持ち寄り、患者さんや時代のニーズを取り入れながら、包括的な診療をめざしているのが当院の特徴。常に新たな分野の勉強にも励み、選択肢を増やすよう努めています。お口の健康を長く維持するパートナーとして、ぜひご利用ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本44万円~、歯列矯正/3万3000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/33万円~、歯周内科治療/8万8000円~、唾液検査/3300円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。