全国のドクター9,257人の想いを取材
クリニック・病院 158,643件の情報を掲載(2024年4月23日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. あま市
  4. 甚目寺駅
  5. ひだまりこころクリニック
  6. 野村 紀夫 院長

野村 紀夫 院長の独自取材記事

ひだまりこころクリニック

(あま市/甚目寺駅)

最終更新日:2024/02/06

野村紀夫院長 ひだまりこころクリニック main

名鉄津島線甚目寺駅から徒歩2分の場所に2015年に開設された「ひだまりこころクリニック」。20人を超える医師たちによるグループ診療により、土日も入れ週7日診療で困ったときにすぐ受診できる。また、さまざまな得意分野・専門分野を持つ医師がそろうことで患者に合った医師を見つけやすいといった強みを持つ、ユニークな心療内科となっている。スタッフも看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、臨床検査技師、事務という職種で40人近くを擁し、診療の質を担保し、接遇面でも患者満足度を向上させるため総勢60人でたゆまぬ努力を続ける。やみくもに薬は出さないなど、その診療方針にも患者に寄り添う姿勢を徹底させる院長の野村紀夫先生に、クリニックの強みやスタッフの教育にかける思いなどを聞いた。

(取材日2017年12月11日/情報更新日2024年1月29日)

在籍医師20人以上、週7日診療するクリニック

どうしてこのような形のクリニックをつくろうと思ったのですか?

野村紀夫院長 ひだまりこころクリニック1

心療内科は患者さんと医師の相性が重要で、腕のいい医師だからといって、主治医として合うかというと違います。できるだけ患者さんにとって選択肢が増えるよう男性・女性、ベテラン・若手、児童専門、認知症に詳しい、精神分析に詳しい、漢方に詳しいなど、さまざまな得意分野を持つ医師に来てもらい、患者さんの特徴や希望に合わせて担当を決めることにしています。また診療科目の特性上、どうしても一人ひとりの患者さんとお話しする時間が長くなり、待ち時間が長引く傾向がありますが、医師の数を増やすことでその短縮にもつながると考えました。さらに、規模をある程度大きくすることで、看護師や精神保健福祉士といったスタッフを常駐させることが可能になり、採血や心電図などの検査、社会復帰支援や会社・行政向けの書類作成なども常に迅速に行えるようになっています。

これだけ多いと診療方針の共有や、質の担保は大変ではないですか?

その通りです。だから、まず採用においては診療技量はもちろんのことコミュニケーション能力の高さを重視しています。入職したら、まず実際に私の診療を見学してもらい、実際にさまざまなケースへの対応を見ながら、当院の診療や接遇に関する方針を理解してもらいます。患者さんを担当するようになってからも折々に症例検討を行い、情報を共有。言語化できるものはほぼマニュアルにして、クリニックとしての診療の質を保てるよう努めています。若い先生は、熱心で患者さんのために一生懸命になれる先生にお願いしています。どの先生も医師として優れた技量を持つばかりでなく、患者さんに寄り添って大事に診療してくれるので、安心して患者さんをお任せしています。

医師以外のスタッフの皆さんもとても感じが良いですね。

野村紀夫院長 ひだまりこころクリニック2

当院では職種を問わず、働くことで人間として成長してほしいとの思いから、スタッフの教育にはとても力を入れています。外部から講師を招いて勉強会を開いたり、外部の講習会に積極的に参加したりしてもらっています。やはり院内の業務についてはできる限りマニュアル化し、教育係のスタッフが丁寧に教える仕組みを作っています。接遇に関しては、接遇の良さで知られるテーマパークのキャストに学ぶなど、医療以外のサービスからも良いものはどんどん取り入れるようにしています。みんなで医師をサポートし、患者さんのために働こうという意欲の高い人ばかりで、雰囲気もとてもいいですよ。

スタッフ教育にも力を入れ、困っている患者を救う

診療上、大切にしていることは何ですか?

野村紀夫院長 ひだまりこころクリニック3

患者さんは困っているから来る、その困っていることに対してできるだけのことをしましょう、ということを医師・スタッフ全員と共有しています。心療内科に来る患者さんは、見た目以上に重症であることも多いです。本当は仕事にも行けない、家では涙も出ないほどつらいのに診察室では「大丈夫です」と微笑んでいたりします。特に初対面だとなかなか言えないことも多いです。そこを汲み取ってほしいと医師たちにはお願いしています。どうやって患者さんと向き合うかは、それぞれの人生経験にもよるところも大きいのですが、まずは医学的に正しい対応があるので、それを守ったうえで、言葉をかけるほうがいいのか、踏み込まないほうがいいのかなどを判断して寄り添えるよう心がけています。

うつ病にかかると「病院へ行くたびに薬が増える」とよく聞きますが。

当院が処方する薬の数はかなり少ないと思います。他院から来た先生もびっくりされます。確かにごく一部の方で薬が必要な人はいるのですが、ほとんどの方は本当に少ない量の薬で治療できるはずだと考えています。だからやみくもに薬は出しません。出す場合は副作用の少ない薬を優先して使う、減らす・止めるタイミングも適切に指導することを徹底しています。例えば患者さんが「〇〇を処方してほしい」と薬目的で来院された場合も、きちんとお話して患者さんが依存することにならないよう配慮します。薬だけに頼らず、心理検査を行うことで、その結果に基づいた精度の高さを意識したカウンセリングを必要に応じて取り入れるなどの工夫をします。ただし、ためらわずに薬を使うことが必要なときもあります。それによって、結果的に治療期間や休職期間を短くしたり、家庭でのトラブルを起こりにくくしたりもできるのです。

漢方はどのようなときに使うのですか?

野村紀夫院長 ひだまりこころクリニック4

将来妊娠を希望される方には使用します。また、症状によっては漢方のほうが合う場合があります。例えばパニック障害で喉のつまりだけが取れない患者さんには、「半夏厚朴湯」という薬がお勧めできます。また更年期の症状や、生理前にイライラしたり気分が落ち込んだりする方の中には、漢方が合う場合も。抗うつ薬としてはベンゾジアゼピン系の薬をよく使いますが、どうしても依存性があり、だんだん量が増えて止められなくなる人もいるため、漢方は大事な選択肢です。漢方の味や粉が苦手な患者さんもいますので、医師がその気持ちを理解できるよう、サンプルを飲んで苦さや飲みにくさも理解しています。粉薬のほか、錠剤やゼリーでお出しすることもできる場合がありますよ。

めざすのは日本一の心療内科

老年心療内科というのは何ですか?

野村紀夫院長 ひだまりこころクリニック5

高齢者の方を対象に、老人性うつ病や認知症の方などを診ています。超高齢社会で認知症の支援ニーズはどんどん高まっており、当院には私をはじめ専門知識を持つ医師が数名いるので、地域の他の医療機関や介護事業者と連携しながらサポートしています。うつ病と認知症は見分けがつきにくく、うつ病だと思って治療を開始してから、やはり認知症だった、ということは一般的にもよくあるケースですが、当院ではどちらにも対応できます。また2018年春には精神科の訪問看護を、近隣にある訪問看護ステーションと提携して始めます。認知症や精神遅滞などで自宅におけるサポートが必要な患者さんが対象です。当院受診中に、看護師に一度来てもらって話をし、その後に訪問を開始します。外来で医師の前では本当のことを言えない患者さんが自宅で見せる素の気持ちを大事にしていきたいと思っています。

日本一の心療内科をめざしているそうですね。

とにかく患者さんにとって、スタッフにとって、クリニックにとってもいい場所を作りたいという思いでやっています。患者さん・スタッフ・クリニックの「三方よし」を満たして、その満足度の三つの総和がどのクリニックよりも高くなるように、という目標です。医師と合わない、薬を飲むことに不安がある、予約が取れない、休診日で見てほしいときに診てもらえないといったことが起こらないように、さまざまな取り組みを行っています。

最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

野村紀夫院長 ひだまりこころクリニック6

当院は週7日診療し、患者さんがつらいと思ったときにすぐ対応できる態勢を整えています。基本、予約制にしていますが、緊急の患者さんも受け付けています。また幅広くいろいろな医師がいますので、患者さんに合う先生を見つけやすいと思います。つらいときは、ご自身が思っている以上に重症であることが少なからずあります。そのせいで家庭がうまくいかない、仕事がうまくいかない、学校に行けないということもあります。家族や友達に相談してそれでもうまくいかなくなったとき、話せる友達がいなければ自分ひとりで解決できなくなったとき、仕事や家庭に支障が出始めたときが受診のタイミング。迷ったら抱え込まず、早い段階で相談に来ていただければ幸いです。

Access