不調や不安を抱え込まず受診しよう
心療内科との上手な付き合い方
メンタルクリニック杉山医院
(名古屋市守山区/守山駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
ストレス過多な現代社会。「心が疲れた……」「私ってうつなのかも?」誰しも一度はそんなふうに思ったことがあるはずだ。しかし、昔に比べてポピュラーになったとはいえ、受診するとなるとまだまだ腰が引けてしまう部分もある精神科や心療内科。精神科の医師として30年以上のキャリアを持つ杉山一(はじめ)院長は、精神科が浸透してきた一方、ネットなどにあふれかえる情報のせいで素人判断をする人が少なくないことにも懸念を示す。どの程度の症状で、どのような時に利用すれば良いのか、メンタルクリニックの利用の仕方を教えてもらった。
(取材日2016年10月13日)
目次
「心の病」のボーダーラインは、日常生活に支障があるかどうか。つらいと感じたら専門家の診断を
- Q心療内科・精神科には、どのような症状の時にかかるべきですか?
-
A
▲優しい語り口調だが、患者への心遣いを熱く語る杉山院長
精神科のクリニックや心療内科のイメージが近頃はだいぶカジュアルになってきたようで、人から「精神的に疲れているのでは?」と言われて来院したり、ちょっとした不調などで来院する人も多いですよ。人間、いつも元気なわけではありませんから、眠れない時や気分が沈む時は誰にだってあります。「心の病」に対して神経質になりすぎるのも良くないので、一時的なものならばあまり気にしないように。ただし、そういった症状が何週間も続き、日常生活に支障を来すようであれば、ためらわずお近くのクリニックを受診してください。
- Qうつ病はいまだ増加傾向にあるのでしょうか?
-
A
▲自然光が入り、フローリングで温かみがある明るい待合室
学会でもよく議論されますが、本当に増えているかは正直私にもわかりません。確かにストレス社会で軽いうつ状態の人はたくさんいるのかもしれませんが、実際はうつ病の人が増えたというより、例えばインターネットの自己診断など「うつ」を測る尺度のようなものが氾濫したことにより、自分はうつ病なのではないかと思いこんでいる人が多くなったと思います。うつ病のみならず他の精神科疾患の多くは軽症化しており、本当に投薬や入院などの治療が必要な人というのはそこまで増えているわけではないと感じています。しかし、誰もがなる可能性があるのがうつ病です。素人判断はせず、心配を感じた時には必ず専門の医師に診断してもらってください。
- Q自律神経失調症かもと感じたら、何科に行けば良いですか?
-
A
▲日本精神神経学会精神科専門医として専門性の高い治療を提供
そもそも自律神経失調症というのは通称のようなものなんです。うつ病と明確な区切りはなく、絡み合っているような感じなのですが、より体のほうにダメージが出るのが自律神経失調症といえるかもしれません。自律神経は呼吸や心拍など体の機能のすべてをつかさどっているところですから、何か強烈なストレスがかかると大なり小なり必ず乱れ、身体に影響を及ぼします。胃が痛い、呼吸が苦しいといった症状があるのに、検査をしても何も異常がないということで最終的に精神科にやって来る方がほとんどなのですが、それは回り道でも何でもなく、まず不調を感じる部位の科にかかるのが正解だと思います。体の病気を見逃すことのほうが怖いですからね。
- Q大人になってから発達障害を自覚することはありますか?
-
A
▲大人の発達障害や認知症でも相談できる
本人は無自覚な場合が多く、周りに言われて来院される方がほとんどです。自分の好きなことだけができる学生のうちは目立ちにくいのですが、社会に出るとそういうわけにもいきません。仕事でミスを重ねたり、他の人たちと連携が取れなかったりして、どうしても周囲から浮いてしまうんです。しかし程度にもよりますが、生活の仕方を工夫したり、コミュニケーションの練習をすることで社会に適応していくことも可能だと思います。近頃は言葉が一人歩きしている部分もあり、理解が進んだというよりはレッテルを貼られてしまうという面もあって残念です。発達障害の特性は個々で違いますから、本人も周りの人もその特性をよく理解することが大切です。
- Qどのような方法で治療を進めていくのでしょうか?
-
A
▲しっかりと向き合ってくれる診察室
原因がわかったほうが患者さんも病気と向き合いやすくなるので、まず原因となっていることを探ります。何らかのトラブルが原因の場合、それが片付けば症状が改善されることも多いですからね。上司ともめたとか、家族とうまくいっていないなど、意外と心当たりがあることが多いんですよ。治療の中心となるのは、薬物療法と簡易的な精神療法です。当院は私のみでやっているクリニックなので、一人の患者さんに対して使える時間も限られていますし、十分というわけではありませんが、その都度その都度ちゃんと患者さんの話を聞き、投げかけをしてできるだけスッキリして帰ってもらうようにしています。