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杉山 一 院長の独自取材記事

メンタルクリニック杉山医院

(名古屋市守山区/守山駅)

最終更新日:2019/11/05

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市バス・ゆとりーとライン守山駅から徒歩2分。住宅街の一角にある「杉山医院」は院長の杉山一(はじめ)先生の父が1955年に開業した医院。当時は内科・小児科として地域の健康を支え続けてきたが、現院長が引継いだ1993年からは精神科・心療内科・内科を標榜し「メンタルクリニック杉山医院」を開業。外観はほぼ当時のままで「昔ながらの町のお医者さん」というイメージだ。中に入ると白を基調とした清潔感のある落ち着いた雰囲気の待合室が広がっている。受付から診療、薬の処方、会計までを院長が一人で行っており、待合室での様子も診察のうちだと話す。患者の気持ちに寄り添い、治療の提案や手伝いはできるがあくまでも治すのは患者自身であると言う院長。その思いや心がけていることなど話を聞いた。(取材日2016年7月26日)

50年以上の歴史あるクリニックとして地域に貢献

歴史ある医院だと伺いました。

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もともとは私の父が1955年に内科の医院として開業しました。当時、この辺りはまだ名古屋市と合併しておらず守山市で、その守山市内でも医院は数件しかありませんでした。父は夜中に急患を診察したり、頼まれれば往診にも出かけたりと忙しく動き回っていましたね。小学校の校医もしていて、まさに町のかかりつけ医といった感じでした。そんな父の姿を見ていたからか、自然に医師になろうと決意していました。父は内科・小児科の医師として幅広い病気に対応しており、心療内科的な関わりもしました。私は子どもながらに見ていた医学テレビドラマが記憶にあり、精神科に興味を持ちました。「病は気から」という言い伝えを確かめてみようと思い、大学病院の精神科へ進みました。

先生のご経歴を教えてください。

大学を1980年に卒業後、精神科病棟を担当しながら内科、外科、婦人科など他の科とも連携して治療を行ってきました。勤務した大学病院は科ごとの敷居が低くて風通しもよく、勉強になりました。その頃の精神科は薬物療法が主流で困っている症状に対して、いかに薬を的確に処方できるかを学びました。また身体疾患がもとで精神を病んでしまう患者さんも多いので、身体の不調を整えながら心も安定させていくことが重要だと学び、その考えは今の礎になっています。その後、1989年に埼玉県立精神保健総合センター(現・埼玉県立精神医療センターおよび精神保健福祉センター)の立ち上げに携わることになり精神科病棟の医長を担当しました。1993年から父の後を引き継いで「メンタルクリニック杉山医院」を開設しましたが、6年後に埼玉県立精神医療センターに呼び戻されたため、ここを一旦休診にして埼玉に戻りました。

その後どうなさいましたか?

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当初は5年ほどで名古屋に戻るつもりでしたが、1999年から15年間埼玉で勤務しました。とにかくいてもらわないと困るとまで言われ必要としていただいたので自分のできることはすべてやりきろうという思いでした。最後の8年間はセンター長を務めさせてもらいました。それまでの立場とはまったく違い、組織のトップとしていろいろな重責を体験しました。また県立ですので、県内の病院のことは当然ですが、全国の精神保健医療福祉行政などにも精通している必要がありました。ただ、センター長になっても診療に携わっていたいという思いがありましたので、外来はずっと担当しました。後進の育成にも注力し、2014年4月にクリニックを再開しました。

患者が言いたいことを訴えられる雰囲気を大事に

患者層をお聞かせください。

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この近隣は昔からの戸建て住宅が多い地域ですが、幹線道路ができてから随分と変わり、若い方々の世帯も増えました。父の代から通ってきてくださっている方もいらっしゃいますし、インターネットなどで調べて来てくださる若い方もいます。精神科・心療内科ですが父が内科をやっていましたので、血圧が高いとか胃腸が悪いなど体の不調があって気分も優れないという方もいらっしゃいます。多いのは30代から50代の働き盛りと呼ばれる世代で、職場や生活環境で強いストレスを抱えている方が多いですね。うつ症状や不眠があり、まず一度相談してみたいという方も多くいらっしゃいます。

先生が診療で心がけていることは何でしょうか。

患者さんが言いたいことをしっかり言える雰囲気をつくって、すべて吐き出してもらえるようにすることです。とは言っても無理に一度に全部話してもらうということではありません。「今一番つらいことは何ですか」と聞いて「眠れないことです」と患者さんが言えば、「じゃあ今日はよく眠れる薬を処方してみましょう。それ以外のことは次回にしましょうか」というように、今一番困っていること、苦しいことをまず解決してあげたいと思っています。最初から根掘り葉掘り聞かれるのは嫌という方も多いでしょう。初対面の医師には言えなくて当たり前だと思うのでまずは症状を落ち着かせ、言いたいことがしっかりと訴えられるまで待ちます。さりげない対話の中にも何か治療のヒントが隠されていることがあるので、自然に話してもらえる雰囲気を大事にしています。

今までの経験が生きていると思うのはどんな時でしょうか。

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身体と心は引き離せませんので、不調の原因を探さなければいけません。精神科といっても、精神面だけにとらわれてしまうと、隠れていた体の不調を見落としてしまうかもしれません。「朝、どうしても起きられずやる気も出ないからうつかもしれない」という患者さんの血圧を測ってみたらすごく低血圧で、血圧を少し上げる薬を処方して対応したということもありました。身体的な不調を解消することで改善が期待できることも実は多いんです。もちろんその逆もあります。埼玉では非常に多くの症例を見てきましたので、一面だけを見ないでさまざまな観点から不調の原因を考えるということを学びました。その時の経験が今に生かされていると感じています。

病気を治すのは医師ではなく患者自身

先生がやりがいを感じるのはどんな時ですか?

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患者さんから感謝の言葉をいただけた時が、やっぱり一番うれしくやりがいを感じますね。また精神科の薬というのは使ってみないとわからない部分が多く、とても難しいのです。例えば血圧の薬なら、これを飲んだらこの程度血圧が下がるなど、ある程度の見当はつきますが、精神科の薬は同じ症状の患者さんが飲んでも効果がまったく違うことがあります。その患者さんにとって必要な薬がわかればもっと的確な診療ができますが、それを試行錯誤しながら考えていくのもまたやりがいです。私が診察室で見ているのは患者さんの症状のほんの一部です。受付から会計まで一人でやっていますので、診察室にいる様子や外へ出てからの姿にも気を配って、より患者さんそれぞれに見合った診療を行っていきたいです。

精神科、心療内科という診療科目について、先生の考えをお聞かせください。

検査の数値で表せないのが精神科、心療内科です。患者さんの表情や話し方などの観察が大事で基本だと教わってきました。しかしただ話を聞くだけではいけないし、時間をかければいいというわけでもありません。十分に治療関係が出来上がった後、患者さんには様子を見て処方した薬の量を調節してもいいですよと助言しています。もちろんすべての患者さんやすべての薬にではありません。これは、自分で自分の病気をよく理解し、客観的に見れるようになってほしいという思いから。医師が病気を治すのではなく、患者さんご自身が自分で治すんです。医師の仕事は原因や改善方法を見つけて提案することだけで、主導権を握るのは医師ではありません。自分で治ろう、治したいという思いや努力も必要です。そんな思いで治療に励んでほしいと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

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忙しい毎日をお過ごしの皆さんも、仕事とプライベートのメリハリをつけるとか、1日5分でもいいから自分だけの時間を持つようにしてリフレッシュしていただきたいですね。仕事だけではなく育児や介護など、なかなかプライベートな時間を持つことができない方は多いと思いますが、ほんの5分でもいいから物理的に離れる時間を持つのはとても有効です。また使える医療や福祉制度はできるだけ使って、一人で悩まず自分を大事にしていただきたいと思います。自分がしっかりリフレッシュできていれば、自然と周りにも優しくできるし、周りの状況も次第に良くなっていくのではないでしょうか。そして苦しくなったら病院にかかることをためらわず、気軽に相談してほしいと思います。

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