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杉山 一 院長の独自取材記事

メンタルクリニック杉山医院

(名古屋市守山区/守山駅)

最終更新日:2025/07/14

杉山一院長 メンタルクリニック杉山医院 main

住宅街の一角にある「メンタルクリニック杉山医院」は、院長を務める杉山一先生の父が1955年に開業したクリニックだ。当時は内科・小児科として地域の健康を支え続けてきたが、現院長が引き継いだ1993年からは精神科・心療内科・内科を標榜。外観はほぼ当時のままで「昔ながらの地域密着型の医院」というイメージだ。院内は白を基調とした清潔感のある、落ち着いた雰囲気。受付から診療、薬は院内処方、会計までを杉山院長が一人で行っており、待合室での様子も診察のうちだという。「患者さんが言いたいことを訴えられる雰囲気を大切にしています」と話す院長。その思いや心がけていることなどを穏やかな口調で語ってくれた。

(取材日2025年5月22日)

体と心の両面から健康を支えるクリニック

歴史ある医院だと伺いました。

杉山一院長 メンタルクリニック杉山医院1

もともとは私の父が1955年に内科の医院として開業しました。当時、この辺りはまだ名古屋市と合併しておらず守山市で、その守山市内でも医院は数件しかありませんでした。父は夜中に急患を診察したり、頼まれれば往診にも出かけたりと忙しく動き回っていました。小学校の学校医もしていて、まさに町のかかりつけ医といった感じでした。今思い返せば、人間味のある温厚な医師でした。はっきりものを言い、患者さんを𠮟りつけることもありました。それが許される時代でした。私自身は、子どもの頃に見た、アメリカの医学ドラマが忘れられず、精神科に興味を持ちました。

患者さんはどんな方がいらっしゃっていますか?

この近隣は昔からの住宅が多い地域ですが、幹線道路ができてから、若い方々の世帯も増えました。最近はインターネットなどで調べて来てくださる患者さんが多いです。出勤しようとすると吐き気や頭痛が出現し、内科で検査をしても異常が認められないからと受診する30代から50代の働き盛りの世代が多く、職場や生活環境の中で人間関係に強いストレスを抱えている方や、うつ症状や不眠があり、他院通院中でも一度相談してみたいと市外や県外からいらっしゃる患者さんもいます。当院は予約制を取っていないので、お待たせしてしまうこともありますが、その日のうちに診てもらいたいという方にとっては、都合が良いと思います。

心療内科に関する不調は、先生との対話を通して改善をめざしていくのでしょうか。

杉山一院長 メンタルクリニック杉山医院2

そうですね。初診の場合には、30~40分ほど時間をかけて、これまでの生い立ちや困り事を聞き、考え方の癖や特徴に自ら気づけるよう対話を重ねます。必要に応じてお薬も処方しながら改善をめざしていきますが、症状が強く出ている場合には休職をするようアドバイスをすることもあります。とはいえ、最終的にどうするかは、本人が決断することが大切ですね。休んだ後、退職する人もいれば、復帰する人もいますが、それぞれの過程において納得感を持てることが重要だと思います。一方で症状が落ち着いているケースでは、できる限り、通院の間隔を長くしてあげたいと思っています。もっとほかのことに時間を費やしてもらいたいですからね。

患者が話しやすい雰囲気づくりを大切に

精神科、心療内科という診療科目について、先生の考えをお聞かせください。

杉山一院長 メンタルクリニック杉山医院3

検査の異常数値で表せないのが精神科、心療内科の疾患です。ですから、患者さんの表情や話し方などの観察・考察が重要だと思います。また精神科の薬というのは使ってみないとわからない部分が多く、とても難しいです。例えば血圧の薬ならある程度の見当はつきますが、精神科の薬は同じ症状の患者さんが飲んでも結果がまったく違うことがあります。その患者さんにとって必要な薬がわかればもっと適切な診療ができますが、それを試行錯誤しながら考えていきます。十分に治療関係ができあがった後、安定している方の場合には「様子を見て処方した薬の量を調節してもいいですよ」と助言するようにしています。もちろんすべての患者さんやすべての薬にではありません。これは、自分の病気をよく理解し、客観的に見られるようになってほしいという治療方針からです。複数の薬を決められたとおりに飲むことは容易ではないですし、気楽に構えることも大切だと思います。

先生が診療で心がけていることは何でしょうか。

患者さんが困っていること、相談したいことなどを訴えやすいように耳を傾けます。限られた診察時間の中で、一度にすべての悩みを聞き出すことができません。患者さんも何をどのように話せばよいのか困ることが多いので診察しながら悩み事を明らかにする作業をします。例えば「何が一番つらいですか」と尋ねて「眠れません」と言われれば、寝つきにくいのか、途中で覚醒してしまうのかなど具体的に話を進めます。そして実際に薬を使用してもらい、次の診察では睡眠が改善されたか、何が不安かなどと話の内容を深めていくことになります。話しやすい雰囲気づくりと治療の流れや経過が大切だと思います。

今までを振り返って、印象的な患者さんはいらっしゃいますか?

杉山一院長 メンタルクリニック杉山医院4

勤務医時代、重度の精神疾患を抱えていて、かなり治療に難渋した患者さんがいたんですね。入院が必要と判断し、他の医療機関を何ヵ所か紹介したものの、そちらでの治療もうまくいかず、結果戻ってきたことがありました。外来で何とかするしかない中、毎日通ってもらって、注射をしたりして手を尽くしたこともありました。

さまざまな観点から不調の原因を探っていく

先生のご経歴を教えてください。

杉山一院長 メンタルクリニック杉山医院5

大学を卒業後、精神科病棟を担当しながら他の科とも連携して治療を行いました。「病は気から」といわれますが、身体疾患がもとで精神を病んでしまう患者さんも多いので、体の不調を整えながら心も安定させていくことが重要だと学び、その考えは今の礎になっています。その後、埼玉県立精神保健総合センター(現・埼玉県立精神医療センターおよび精神保健福祉センター)の立ち上げに携わることになり精神科病棟の医長を担当。1993年から父の後を引き継いで当院を開設しましたが、6年後に埼玉県立精神医療センターに呼び戻されたため、ここを一旦休診にして埼玉に戻りました。15年間勤務し、最後の8年間はセンター長を務めました。職務上、県内の病院のみならず、全国の精神保健医療福祉行政にも精通している必要がありました。後進の育成にも注力し、2014年4月に当院を再開しました。

今までの経験が生きていると思うのはどんな時でしょうか。

体(身体)と心・精神は別々のものではなく、どちらかが不調になればもう一方も不調になるものです。精神科だから精神面だけ診れば良いということではなく、隠された身体的不調を探ることが大切になります。これこそ「病は気から」なのです。例えば「朝どうしても起きられない。食欲がない。トイレが心配で出かけられない」と言う患者さんを、うつ病と判断して治療するだけでは良くならないかもしれません。過敏性腸症候群はどうか、胃潰瘍はどうか、起立性低血圧はどうか、など幅広い視点で関わる必要があります。大学病院での身体科との連携や精神医療センターでの多くの臨床経験が今に生きていると思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

杉山一院長 メンタルクリニック杉山医院6

まず、病気にならないように、仕事とプライベートのメリハリをつけるとか、1日5分~10分でいいから自分の好きな時間を持つようにしてリフレッシュすることが大切です。自分なりの簡単なことでよいので続けることが大切です。そして苦しくなったら精神科、心療内科などにかかることをためらわないことです。また、一人で悩まず利用できる医療や福祉制度を活用しましょう。最近患者さんから「できるだけ長く診療を続けてください」と言われます。できるだけ応えていくつもりです。申し訳ありませんが、保険証の手続きは資格確認書で行っていることとキャッシュレス決済は不可能であることをご了解ください。

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