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久田哲哉 院長の独自取材記事

世田谷通り桜内科クリニック

(世田谷区/上町駅)

最終更新日:2019/08/28

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都内にわずか2路線を残すのみとなった路面電車。そのうちの1つである東急世田谷線・上町駅は、年末・年始に多くの人でにぎわう「ボロ市」の最寄り駅としても知られている。その上町駅から世田谷通り沿いを歩いて徒歩9分、さらには東急田園都市線・桜新町駅からも徒歩15分の場所に2015年5月に開業したのが「世田谷通り桜内科クリニック」だ。久田哲哉院長は長年に渡り東大病院や総合病院の呼吸器内科医として臨床の現場に立ち、呼吸器疾患に関する論文も数多く発表している。「地元の高齢者の患者さんが多いと予測していたのですが、気管支喘息や咳の症状で悩んでいる方が遠方から交通機関を乗り継いでいらっしゃることもありますね」と語る久田院長に、新しいクリニックにかける思いを中心にお話しを伺った。
(取材日2015年6月16日)

生まれ育った大好きな街を医療で支えていきたい

2015年5月に開業したばかりだそうですが。

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東京大学を卒業後11年間大学病院の医局に勤務し、その後途中、米国留学なども含めて24年間勤務医として臨床の現場に立ってきましたが、実は医師になった当初から、最後は開業医として地域医療に貢献したいという思いがありました。そこで年齢的に一般の会社員であれば定年を迎えて第2の人生を歩む時期でもあることや、勤務先で後任人事のめども立ったことからこの時期に開業を決断しました。

開業された場所は生まれ育った街だそうですね。

ええ。この街(世田谷区桜)は年末・年始には全国的にも有名な「ボロ市」が開催され、路面電車の世田谷線が2両編成でのんびりと走り、馬事公苑や、少し足を延ばせば駒沢公園、そしていくつかの大学のキャンパスなどがあるため都心にありながら緑豊かで、どこかローカルっぽさも残している。本当に暮らしやすい街なんです。ですから開業するなら生まれ育ったこの街でと決めていました。地元にお住まいの高齢の方などがいらっしゃると、馬事公苑や駒沢公園での東京オリンピックのことや渋谷まで通っていた玉電(現在の世田谷線)のことなど、懐かしい昔話の会話の中で、診療に役立つその患者さんの性格や生活背景などがわかることもしばしばあります。純粋に、患者さんとの会話はとても楽しいですし、生まれ育った街で開業してよかったなあと改めて実感しています。

開業にあたり設備面などでこだわった点はありますか?

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病院という場所に足を運ぶときには、当然のことながら体調は優れないわけですし、重篤な疾患が見つかったらどうしようなどと、誰しも不安感を抱き、多少ふさいだ気分になっていると思います。そのためまず考えたのが、とにかく「何でも気軽に話しやすく、相談しやすいクリニック」にしたいというソフト面と、ハード面でも、クリニックの内部を明るい雰囲気にしようということでした。クリニックのロゴはクリニック所在地の町名である桜に合わせて桜の模様を配し、看板の文字も桜色に統一しました。とても明るく、かわいい印象に仕上がった分、美しい女性医師が診察してくれると期待してクリニックに足を運ばれる患者さんもいるのではとちょっと不安に思っています(笑)。待合室や診療室などは白を基調として木目調を生かした落ち着いた雰囲気を基本にしましたが、待合室の椅子や診察台にはビビッドな黄色や青色を用いて華やいだ雰囲気も失わないように工夫しています。そして地元にお住まいの高齢者が患者さんの中心になることを想定して、クリニック内はすべてバリアフリーになっており、トイレも手すりなどを備え付けた多目的仕様にしました。また、勤務医時代に感染症対策の責任者をしていた経験もあることから、診察室は2つに。インフルエンザといった感染性の高い疾患で来院された患者さんとそうではない患者さんと診療スペースを分け、さらに処置室スペースを含めて臨機応変に使っています。また、水回りも全てノンタッチの自動水栓とし、液体せっけんを配備しています。

表面的な症状だけではなく症状の原因そのものを治療することが大切

こちらの診療科目を教えていただけますか。

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「総合内科専門医」を生かした風邪をはじめとした一般内科診療と、「呼吸器内科専門医」「アレルギー専門医」を生かした気管支喘息や咳の診療などの呼吸器内科専門診療を車の両輪のように考えています。後者の関連では、禁煙相談や睡眠時無呼吸症候群の診断や治療にも力を入れています。気管支喘息や咳診療では、特に問診と診察が重要で、特にそれらに時間をかけた上で、レントゲン検査、呼吸機能検査や血中の酸素飽和度を計測するパルスオキシメーター、院内迅速血液検査などに加えて、外注のアレルギー血液検査などを組み合わせて総合的に病状を判断します。当クリニックで検査を行った結果、MRIやCTなど、より精密な検査が必要と判断した場合には近隣の総合病院を中心に積極的に病診連携に取り組んでいます。

診療に対する取り組みで、特徴的な点はどんな点でしょうか。

昔は小児喘息だった方がそのまま大人になっても喘息の症状が続いているといった場合が多かったのですが、最近では大人になって突然喘息を発症する方も増えてきています。こうした場合にはアレルギー症状が咳という形で表れている場合も多いので、咳を止めることだけを考えるのではなく、咳が出る原因となっているアレルギーに対する治療(最近ではアレルギー体質そのものを改善する治療も少しずつ進歩してきています)を行う必要があります。そのため初診の際には多少書き込んでいただくのが面倒かもしれませんが、職業、喫煙歴、飲酒の有無や量、アレルギー疾患歴、ペットの飼育歴や住環境などを書ける範囲で詳しく記入いただき、その上で診療の際にじっくりお話をお伺いしています。実際のところ、アレルギー体質を根本的に改善することは一朝一夕にはいかない部分もありますが、放置しておくと小児のアレルギーマーチなどと同様に、症状が進行したり、新たなアレルギー症状が次々と出てきてしまいます。そのため当クリニックでは投薬治療だけではなく、生活環境や食生活改善に対するアドバイスにも前向きに取り組んでいます。

予防医学にも力を入れているとお伺いしました。

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喘息やCOPD(慢性閉塞肺疾患)に代表されるように、慢性的な咳を伴う多くの疾患は、一度発症してしまうとなかなか完治が難しい場合もあるため、予防や早期発見、早期治療が大切です。私も長く臨床の現場にいて、重症化して効果的な治療方法もなくなり苦しむ患者さんもたくさん診てきましたから、予防医学には特に力を入れていきたいと考えています。例えばCOPDの場合、症状が進行してしまうと現段階では肺の機能を元に戻す治療法は確立されていませんから、発症させないこと、発症した場合には少しでも早い段階で適切な治療を開始することがとても大切ですが、COPDの予防、治療の第一歩は、何といっても禁煙です。また、喫煙のリスクは、COPDや肺がんだけではなく、咽頭・喉頭がん、食道がん、膀胱がんなどの腫瘍をはじめ、難病にも指定されている間質性肺炎の一部や動脈硬化を中心とした生活習慣病にも関連していると言われています。そのため当クリニックでは咳の専門医(咳嗽専門医)という視点からも、禁煙治療にも力を入れています。また睡眠時無呼吸症候群も、いびきや日中の眠気といった目立った症状だけではなく、放置しておくと高血圧、心疾患、脳卒中、糖尿病といった生活習慣病と密接に関係することも知られています。そこで予防医学の観点からも、睡眠時無呼吸症候群の診断や治療を重視しています。その他、インフルエンザ、制度のはざまで小児のときに未接種の方も多い風疹、肺炎球菌感染症などに対する予防接種も、やはり予防医学の視点からも啓発を含めて積極的に取り組んでいきたいと考えています。

気になる症状があれば早めに専門医に一度相談を

どのような患者さんが通っているのでしょうか。

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まだ開業から日が浅いのですが、この間に、1歳半の赤ちゃんから95歳の方まで幅広く受診していただきました。実はご高齢の方がもっと多いかと思っていたのですが、意外と30〜50代の方が来てくださっていますね。もちろん地元にお住まいの方が中心ですが、長年、気管支喘息や咳に関する解説や治療法についての論文などを発表してきたせいでしょうか、気管支喘息や長引く咳を主訴とした患者さんがわざわざ遠方から交通機関を乗り継いで来て下さる場合もあり、また以前書いた新聞記事を持って訪ねていただく方もあり、まさにうれしい誤算です。

医師になられたきっかけを教えていただけますか?

当初、理工系学部を受験し、実は医師になることはあまり考えていなかったのです。ところが大学1年生のときに、祖母が救急入院しながら、いわゆる手遅れの状態で亡くなってしまいました。そのことをきっかけに、祖母のように手遅れで亡くなってしまうような方を1人でも減らしたいという思いから医師になることを決断し、再受験しました。ですからできる限りオールラウンダーな医師をめざしたかったのですが、さすがに外科も内科もというわけにはいかないので、内科の中でもアレルギー・免疫疾患から感染症や腫瘍まで、守備範囲の広い呼吸器内科を専攻しました。

休日などはどのように過ごされているのでしょうか。

ウオーキングやジョギングなどをして楽しんでいます。早朝の馬事公苑周辺のジョギングでは、しばしば農大から馬事公苑への馬の散歩にも出会えます。植物好きでもあるため、毎年12月と1月のボロ市や馬事公苑前けやき広場の園芸市には必ず足を運び、日頃から、道端や各家々の庭の草花を拝見しながら(失礼!)ジョギングをすることが楽しいですね。

最後に読者の方にメッセージをお願いします。

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まだ研修後間もない頃のことですが、レントゲン撮影をしたら肺に影があり、手術をしてその影の原因となっていた腫瘍を摘出したという症例があったのですが、実は腫瘍の原発は肺ではなく、足の肉腫からの転移だったのです。患者さん自身足に自覚症状もなく、私も専門外の部位であったため当初足の診察もせず全く気づくことができませんでした。幸いなことにその患者さんは、その後3回の再発手術を繰り返しましたが、30年経った現在も健康に生活をしていらっしゃいます。私の医師人生と重なるこの患者さんから、表面に出ている症状だけに注目するのではなく、問診でよく話を聞き、全身を細かく診察することの大切さを教わりました。例えば、咳が出てなかなか治らないといった場合、どうせ風邪だから時間が経てば自然に治るだろうと放置するのではなく、2週間経っても咳が止まらない、あるいは咳だけではなく喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)もあるといったように少しでもいつもと違う、気になる症状がある場合には、早めに気軽に専門医に一度相談していただきたいと思います。

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