高岡 知彦 院長の独自取材記事
たかおか小児科
(松山市/松山市駅)
最終更新日:2022/12/07
松山市総合コミュニティセンターから南に徒歩約5分、松山市中心部に位置する2011年11月に開院した「たかおか小児科」は優しいオレンジを基調とした看板が目印で遊び心あふれる船をモチーフにした建物である。高岡知彦院長は、真っすぐなまなざしと優しい笑顔が印象的な医師。どんなに忙しくても、子どもに真摯に向き合う姿勢は、真っすぐなまなざしと通じるものを感じさせる。地域の総合病院で救急医療をはじめ、さまざまな経験を積んできた小児科のベテランだ。高校生の頃から養護施設や老人ホームの慰問に参加するなど「誰かのために尽くす」気持ちが強い高岡院長に、地域への思いを聞いた。
(取材日2020年2月20日)
地域の子どもたちを見守るべく、小児科医師を志す
先生のご経歴について教えてください。
1989年愛媛大学医学部を卒業し、1994年同大学院を修了しました。愛媛大学医学部附属病院、愛媛県立南宇和病院を経て、松山市民病院に勤務した後、2006年両親が開業していた「高岡眼科小児科」の副院長となりました。2011年に「高岡眼科小児科」から「たかおか小児科」を新設し院長に就任し現在に至ります。南宇和病院にいた頃は何かあれば24時間対応するのが日常でした。その後勤務した松山市民病院は当時6日に1回は松山市の救急当番のため救急対応を行っていました。その当時夜中でも産婦人科の依頼で緊急帝王切開に立ち会うこともありました。
多忙な毎日を過ごされてきたのですね。
南宇和病院時代は24時間体制の時もあり多忙でした。松山市民病院で働いていた頃は365日緊急の電話が医師に直接入っていた時代でした。研修医時代に先輩医師から言われたのが、「10年以内に一人前の医師になれなければその後は伸びしろがない」というアドバイスでした。つまり医師となってから10年までが正念場であるという意味なのです。南宇和病院や松山市民病院での毎日は目の回るような忙しさでしたが、学んだことは私の血となり肉となり、小児科の医師として一人前にさせてもらったと感じています。
医師を志したきっかけと小児科を選んだ理由を教えてください。
父親が眼科、母親が小児科の医師として開業しており、幼い頃から医療は身近な存在でした。具体的に進路として考えたのは高校生の頃で本当はシーラカンスの謎を追う研究者になりたかったのですが、当時シーラカンスの生態が解明されつくしたため、もう一つの道、医療の道を歩もうと考えました。小児科を選んだのはそこで真摯で真面目な先生方に出会ったからです。小児科は緊急対応が必要な病気も多く、全身状態の把握が欠かせない全身を診る科です。また町のお医者さんとして「地域の子どもたちを元気にしたい」と考えたのも小児科を選んだ理由です。
患者一人ひとりに丁寧に対応する
お子さんを診察する際に心がけていることは?
どんなに忙しくても患者さんとしっかり向き合い一人ひとり丁寧に診るのがモットーです。毎朝必ずスタッフにも慌てず丁寧に患者さんに対応するよう伝えています。乳児早期では難しいケースもありますが、患者さんと目線が合うかどうかは重要ですので、患者さんの顔色、表情に加え目力も確認します。一見大丈夫そうに見える患者さんでも目線が合わない場合は重篤な病気が隠れているかもしれないので要注意です。また、全身状態が良好であっても4日以上発熱が続いていれば血液検査などを行うようにもしています。小児の症状は予想外に急変する可能性があるので、親御さんには詳細に今後の注意点を説明することを心がけています。
先生のご専門について詳しく教えてください。
日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格も持っており、「気管支ぜんそく」「アトピー性皮膚炎」「食物アレルギー」に力を入れています。生後2、3ヵ月頃から皮膚の荒れが目立つ乳児は初期のアレルギーの可能性があり早期に対応することを心がけています。食物の関与がある場合は適宜フォローして必要があれば総合病院へつなげていきます。また呼吸時にぜいぜいと音が鳴る子どもの中には、喘息の方が含まれますので乳幼児早期に治療開始して小学校入学前には喘息発作が出現しないようにできればと心がけています。
施設にも特徴がありますね。
当院では院内感染防止のため、一般診療の患者さんと乳幼児健診や予防接種の患者さんで待合室と診察室を別々にしております。さらに、一般診療では水ぼうそう・おたふくかぜなどの感染症のお子さんは壁に天使が舞っている別のスペースで待っていただき、別の診察室で診ています。そのため、予防接種や健診なども一般診療と並行して実施することができていますし、予防接種は17時30分まで予約を受けつけておりますので、忙しいお母さんたちにも喜んでいただけています。また、子どもたちが快適で緊張しない環境づくりにも努めています。クリニックの窓口は季節ごとに飾りを変え、季節感あふれるお出迎えを心がけています。
地域に頼りにされる小児科クリニック
乳幼児健診ではどんなことをお話しされますか。
1歳6ヵ月健診では「言葉が出ない」と悩むお母さんがいます。そんな時には「テレビをどのくらい見せていますか?」とお尋ねします。テレビを長時間観ている場合はテレビを消して1日1回は絵本を読んであげたりいろいろな言葉がけをしてみてくださいとアドバイスします。小学校に入るまでに身につけたい生活習慣として「早寝早起き」以外に「返事」「あいさつ」「靴をそろえる」の3つをお話しします。子どもは身近な大人の真似をして覚えますからまずはお父さん、お母さんが実際やってみるようにお勧めします。小児神経も専門としていますので乳幼児健診などを通じて言葉が遅い、コミュニケーションが苦手などの相談に対応しています。
ところで、先生がやりがいを感じるのはどんな時ですか?
患者さんの病気を早期に発見し、治療につなげられた時や、喘息などの慢性疾患の方が定期的に通院し、制限なく日常生活が送れるようになられた時はうれしいです。また、子育てに対し不安を感じていたご両親が、来院をきっかけに不安が解消され自信がみられた時にも小児科の医師としてやりがいを感じます。
先生の体調管理法について教えてください。
当院は私一人で診察していますからダウンしてしまうと患者さんにご迷惑をかけてしまいますので体調管理には気をつけています。毎朝必ずストレッチを日課とし、週に一回はテニスをして体を動かしています。
今後の展望と読者の方へのメッセージを聞かせてください。
小児アレルギー疾患を専門としていますが、毎年全国の勉強会に出席して最新の知識を習得し日々の診療のスキルアップができればと考えています。また、普段からなんでも相談できるかかりつけ医として、小さな変化にも気を配り早めの対処に努め、患者さん一人ひとりに丁寧に向き合う姿勢を貫いていくことで、今後も地域に根差した頼りにされる小児科クリニックとして歩んでいきたいと思います。