全国のドクター9,103人の想いを取材
クリニック・病院 158,819件の情報を掲載(2024年3月29日現在)

  1. TOP
  2. 沖縄県
  3. 宜野湾市
  4. マリーナ歯科クリニック
  5. 村田 千年 院長

村田 千年 院長の独自取材記事

マリーナ歯科クリニック

(宜野湾市)

最終更新日:2021/10/12

村田千年院長 マリーナ歯科クリニック main

近年になって大規模な開発が進み、住宅や商業施設が増え続けている宜野湾市大謝名にある「マリーナ歯科クリニック」。村田千年(むらた・ちとせ)院長は、口腔外科を専門分野として横浜市立大学医学部附属病院や聖路加国際病院で研鑽を積んだ後、沖縄県での勤務医経験を経て2012年に同院を開設。摂食嚥下障害の治療を数多く手がけてきた経験を生かし、高齢者や有病者の歯科診療に力を注いでいる。診察にあたっては患者とのコミュニケーションを重視し、英語での対応も可能だ。サーフィンと合気道を嗜んでいるという精悍な外見とは裏腹に、穏やかで優しい口調が印象的な村田院長に、いろいろと話を聞いた。

(取材日2021年2月16日)

高齢化社会に対応できるような歯科医療を提供したい

歯科医師をめざしたきっかけから開業までの経緯をお聞かせください。

村田千年院長 マリーナ歯科クリニック1

高校生の頃、将来は海外に行くような仕事がしたいと思い、東京外国語大学に入学しました。ビルマ語を専攻しましたが、現地では政治が混乱した状態が続いていて、仕事として行くチャンスがない状況でした。それで進路を考え直し、父と同じ医療系の道に進もうと日本歯科大学に入り直しました。口腔外科を選んだのは、歯科と医科の橋渡しのような面があり、口の中だけでなく全身との関係を診ることができるからです。卒業後は大学病院に勤務した後、縁があって聖路加国際病院口腔外科に移り、そこに勤務している間に日本口腔外科学会口腔外科専門医の資格を取得しました。沖縄は初めて来たときに土地柄をすごく気に入り、読谷村の歯科医院での勤務を経て、ここで開業しました。沖縄に来てからサーフィンを始めたんですが、読谷村の近くには良いスポットがたくさんあって、仕事にも趣味にも良いところですね。

クリニックとしての診療方針を教えてください。

開業当初から高齢化社会に対応できるような歯科医療を提供したいと思い、まずハード面ではバリアフリーの設計にしました。また高齢者の場合は高血圧や糖尿病など、いろいろな病気を持っていらっしゃる方が多いので、そういった病気に関して医科の先生とやり取りをして、全身の状態を見ながら歯科治療を提供できる、そんな医療の実現を念頭に置いていました。そういった治療ができるのは口腔外科を専門とする自分の強みでもあり、その特性を生かすためにも、高齢者あるいは有病者への歯科治療に力を入れています。

どのような患者さんが来院されるのですか?

村田千年院長 マリーナ歯科クリニック2

開業当時この近郊はまだ新しい住宅街でしたので、30代のご夫婦とそのお子さんがメインでした。でも診療を続けているうちに、だんだん高齢の方が増えてきましたね。最近ではネットで検索して来られる方も多くなりました。自分の疾患について調べて来られる方も多く、時には患者さんのほうから治療法を希望されることもあります。それが患者さんには適さない方法だった場合には、タブレットを持ってきて一緒にネットを見ながら「確かにこういう方法もありますが、患者さんの場合はこちらのほうが良いですよ」といったお話をして、頭ごなしに否定するのは避けるようにしています。また最近はメッセンジャーアプリも利用して、定期検診の時期が近づいた患者さんにお知らせしたり、予約のキャンセルが出たときには通知を流して、空いた時間に別の患者さんを診察したりできるようにしています。

口の機能を維持することが歯科医師にとって大事な役割

診療のモットーとされている「口は命の入り口、心の出口」というフレーズが印象的ですね。

村田千年院長 マリーナ歯科クリニック3

口腔外科で嚥下障害の患者さんをたくさん診たことで、自分の口で食事を取れないことが人間としていかに悲しいことかを目にしてきました。また入れ歯が合わなかったりすると、モゴモゴして何を喋っているか聞き取れないこともあります。自分の気持ちを相手に伝えられないというのも悲しいことです。食べることは「命の入り口」、喋るのは「心の出口」と捉え、そういった口の機能を維持するためのお手伝いをすることが、歯科医師として一番大事な役割だと考え、それをモットーにしました。

患者さんとの対話を重視しているそうですね。

長く歯科医師をしていて、何度もトラブルを目にしたり経験したりしてきましたが、その原因はコミュニケーション不足のことも多いんです。きちんとした治療をしているにも関わらず、誤解が原因で治療結果に満足してもらえないこともあります。診療の質を高めることも大事ですが、必要なことをきちんと伝えることは、それ以上に大事だと思っています。当院の患者さんの中にも、他の歯科医院での治療に不満を持って来られる方もいらっしゃいますが、診てみるとちゃんと治療されていることが多いんです。それが正しく評価されないのはもったいないことです。そういったことからも、対話は大切にしています。また当院は、患者さんの1割くらいですが外国の方もいらっしゃいます。そういったときに英語で対応できるのも当院の特色の一つです。それには学生時代に英語を集中的に勉強した経験が役に立ちました。

良い治療を提供するためにはスタッフさんの役割が重要なのですね。

村田千年院長 マリーナ歯科クリニック4

スタッフが生き生きと仕事をしていないと、患者さんも安心して治療を受けられないと思います。そういう意味では、スタッフが楽しく仕事できる職場環境を整えることも、院長としての役割の一つだと思っています。街中にこれだけたくさんある歯科医院の中から当院を選んで就職してくれたわけですから、その選択が良かったと思えるような環境をつくりたいですね。長い人生の中の何年間かはわかりませんが、当院に関わってくれた人たちには、みんな幸せになってほしいと思っています。そういったことも含め、僕はなるべく他の業種の経営者さんともお話をするようにしていて、月に1回はそういったセミナーや勉強会にも参加しています。歯科医師はわりと狭い世界で人間関係が完結していることも多く、自分の業界での常識が他の業界では非常識だということもよくあるので、より広い見識が得られるように学ばせてもらっています。

治療は予防のための長い付き合いのきっかけに過ぎない

国際協力活動にも参加されているそうですね。

村田千年院長 マリーナ歯科クリニック5

聖路加国際病院には、年に1回医療ボランティアに行くという仕組みがあり、カンボジアなど海外での医療支援に行くようになりました。退職後もグループでのつながりを通じて、バングラデシュやモンゴルなどに行かせていただきました。海外では歯科医師が貴重な国もまだ多いので、非常に喜ばれます。虫歯になったらすぐ抜いてしまう国もたくさんあり、入れ歯も市場で並べて売っている中から自分の口に合いそうなものを選んで買うようなところもあります。年1回でもそういった環境にふれると、日本の医療が恵まれていることを改めて感じます。現在は新型コロナウイルス感染症の流行のため行けていませんが、落ち着いたらまた行こうと思っています。こういったことは継続してやらないと意味がないので、今後も続けていくつもりです。

沖縄県での歯科医療について感じることはありますか?

沖縄県は東京都に比べて小児の虫歯が桁違いに多いんです。理由ははっきりしていませんが、子どもが多いことも原因の一つかもしれません。虫歯は小さいほど治療がすぐ終わるんですが、子育てに追われてぎりぎりまで子どもを歯科医院に連れて行かない親御さんも多いんですね。そういった意識も虫歯が多い原因になっていると思います。小さいうちに虫歯を治療することがいかに良い結果につながるか、親御さんに知ってもらうことも大事です。海外での活動でも、子どもの治療そのものよりも親御さんへの啓発のほうに重点を置いていたりします。当院では「治療は予防のための長いお付き合いのきっかけだと捉え、治療が終わっても予防のため定期的に来てください」と必ずお伝えするようにしています。そのせいか定期的な検診に来てくれる方が増えてきました。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

村田千年院長 マリーナ歯科クリニック6

歯科の治療は、すぐに結果がわかるものと、長年たってから結果がわかるものとがあります。例えば虫歯の治療で痛みが止まったというような結果はすぐにわかりますが、高齢になってから全体的にバランス良く歯が残せたなとか、長い年月を経てわかる結果も、患者さんに実感してほしいと思います。そういった結果を得るためには、治療だけでなく予防が不可欠です。今後も患者さんと長くお付き合いしていける「街の歯医者」をめざしていこうと思います。

Access