渡部康男 院長の独自取材記事
神楽坂わたなべ歯科クリニック
(新宿区/飯田橋駅)
最終更新日:2021/10/12
JRに加え、東京メトロ有楽町線、南北線も乗り入れる飯田橋駅から徒歩7分ほど、神楽坂のメインストリートのまさに中心に位置する「神楽坂わたなべ歯科クリニック」を訪ねた。これまで文京区本郷に拠点を置き、インプラント治療をはじめ幅広い歯科治療で実績を重ねてきた渡部康男院長が開業20年の節目にクリニックを移転。この春新たなスタートを切った。「歯科医師としての責任と挑戦」を掲げ、安全面を重視した質の高いインプラント治療でゆるぎない信頼を集める一方、近年は予防歯科にも注力している。モダンなたたずまいの真新しいクリニックにお邪魔し、渡部先生の診療のモットーや患者への思い、めざす歯科医院像などについてじっくりお聞きした。
(取材日2015年5月7日)
高度な治療に見合う水準で感染管理を徹底
移転して1ヵ月ですが、新しいクリニックの特色を教えてください。
まだ始まったばかりですが、おかげさまで本郷のクリニックに通われていた方の多くが、こちらに引き続きいらしてくださって、移転しても長く患者さんとお付き合いを続けられるのは、本当にうれしい限りです。患者さんにとって良いものを随時取り入れて、安全で質の高い診療を行うというコンセプトは変わっていませんが、変更点を強いて挙げるなら、移転を機に2フロアになり、診療ユニットを従来の3台から5台に増やしたことと、技工室にセレックを導入したことぐらいでしょうか。院内には診療室とは別に、オペ室、クリーニングで来られた患者さん専用のケアルームも設けています。インカムを導入したことで、別フロアにいてもスタッフ相互の連絡を取りやすく、患者さんをよりスムーズにご案内できるようになっていると思います。
従来から治療の安全面を特に徹底されているそうですね。
インプラントや歯周外科など歯科治療技術が目覚ましく高度化してくる中で、安全な治療を実践するため、当院では感染防止を徹底するという意味で、滅菌には特に力を入れてきました。とりわけインプラント手術は単に悪いものを取り去る除去治療と異なり、チタン製の人工歯根を骨に埋め込む移植療法。それだけに一般的な歯科手術に比べて厳密な感染管理が必要になることは言うまでもありません。当院では、クリニックレベルではまだ導入例の少ないクラスB滅菌器を使用し、さらに全スタッフの半数以上が日本医療機器学会認定の第2種滅菌技士の資格を持っています。設備の充実はもちろん、それを扱うスタッフが設備に見合う知識を持っていて初めて、本当に安全な治療環境を実現できると考えています。
他院との連携も積極的に行っていると伺いました。
本郷で開業していたころから、順天堂医院をはじめとする大学病院との連携を深めています。また年配の患者さんの場合は内科的な既往で治療リスクの高い方も多いので、必要に応じて治療前に、内科のかかりつけ医の先生のもとに対診書をお送りして、当院での施術に問題ないかどうか、随時確認するようにしてきました。高齢の方、あるいは外科治療またはインプラント治療で局所麻酔や静脈内鎮静法を使用する患者さんの場合は、必ず健康診断のコピーを提出していただくようにお願いもしているんですよ。万が一の事故を防ぐという意味合いもありますが、そもそも必要な治療を行うにあたり、あらかじめその患者さんの全身の健康状態を可能な限り把握することは、主治医として当然果たすべき責任です。
治療のメリットばかりでなく、リスクも丁寧に伝える努力を
患者さんと接する上で、心がけていることは?
かかりつけの歯科医師というのは、患者さんに「あの先生なら何も言わなくてもわかってくれる」と、絶対的な信頼を持っていただける存在でなくてはならないというのが、私の持論です。私の場合、長年の経験も手伝って、自分が担当している患者さんについてカルテは不要なんです。もちろん記録として保管してはありますが、カルテに目を通すとすれば、ほんの確認程度。顔と名前を見れば既往歴はすべて頭に入っていますから。ただし、これは患者さんの情報に限ったことで、ほかのことでも記憶力がいいというわけではありませんから、不思議なものですよね(笑)。また、これは当たり前のことですが、患者さんがいらした時間にすぐに診療室にお通しする、患者さんの事情で時間に制約があるときでも必要な治療はその時間内で完結させる、といったことは常に意識しています。
日頃からチーム医療のスタイルを実践されていますね。
チームという概念は、特にインプラント治療の際に重要になります。インプラント治療を受ける患者さんに対しては、術前、術中、術後の管理を行いますが、そのプロセスをすべてドクター一人でできるわけではありません。患者さんをお迎えする受付スタッフから始まり、歯科衛生士によるクリーニングなど各々のスタッフが業務を分担し、チームでスムーズに進める必要があります。そのためには、治療にかかわるすべてのスタッフが治療計画書や費用概算書の内容まで把握し、患者さんからの質問に対していつでも同じ返答ができるレベルで情報を共有しておくことが大切です。スタッフ全員が同じ気持ちで患者さんをお迎えできるようにするため、日々ブリーフィングを重ねています。
インプラントを希望される患者さんへの説明はどのように行っていますか?
インプラント治療希望と言ってお越しになる患者さんのほとんどが、入れ歯に対して抵抗感を持っています。入れ歯を着脱する行為一つを取っても、自分がひどく年を取ったような気分になってしまうのでしょうね。精神的なものが大きいと思います。当院ではこちらからインプラントをお勧めすることはせず、なぜインプラントにしたいのか、疑問点はどのあたりかを患者さんにお聞きし、模型や画像を交えてじっくり解説させていただくようにしています。この際に大事になのが、治療によるメリットばかりでなく、リスクについての情報提供も丁寧に行うこと。その両面を理解し、納得していただいた段階で、当院のインプラント治療の流れをまとめたオリジナルのDVDをお見せしています。患者さんの理解度に応じて段階的に説明を重ねていきますから、DVDを見た後で質問が出ることはほとんどありません。
予防を核として、患者さんが幸せになれる歯科医療を届けたい
インターネットなどを通じて、患者さんの歯科医療に関する知識も高まっているのでは?
治療についてよくご存じの方が多いと感じる半面、間違った知識をお持ちの方が増えているのも事実。例えば来院初日に手術治療に関して「痛いですか?腫れますか?」とお聞きになる方がいらっしゃいますが、術後の腫れや出血はごく普通の現象。それを最小限にとどめるために、私たちが器具の滅菌やオペ室の空気管理などを徹底しているわけです。さらに言うと、術後にお渡ししたお薬を処方通り飲む、飲酒は控えるなど、こちらからのアドバイスを厳守していただいて初めて、治療が完結するのです。メディアから得た情報というのは、患者さんの側も安心できる部分ばかりを取り込みがち。信頼できるかかりつけ医と十分に話し合って納得した上で、医師任せでなくご自身も一緒に治療に取り組むんだという気持ちで臨んでいただきたいです。
近年は予防にも力を入れているそうですね。
メディアの影響などもあり、特に20、30代を中心とした若い世代の予防に対する意識は、私が開業したころに比べるとはるかに高まっていると感じます。患者さんには常に天然歯をいかに保ち続けるかということをお話させていただいていて、その結果、クリーニングのために通院される方の割合が増え続けています。以前にインプラント治療をなさった方の場合は、もう二度と悪くしたくないというお気持ちが強いこともあり、定期的なメンテナンスにとても熱心に取り組まれる方が多いです。予防、メンテナンスのアドバイスは主に歯科衛生士の役割。当院には専用のケアルームも設けていますから、幅広い世代の方に「予防のための通院」をより積極的に呼びかけていきたいですね。
最後になりますが、今後の抱負をお聞かせください。
私はもう長年、数多くのインプラント治療を手掛けてきましたが、いかに治療技術が進歩しても、やはり天然歯に勝るものはありません。何年先になるかわかりませんが、これからの歯科医院は予防を核として、万が一悪くなったときに歯科医師が処置するという形態になっていくのが理想形だと考えています。そうなったとき、メインとなって歯科医療を担っていくのは衛生士の役目。当院では現在も衛生士が主体的に患者さんとかかわり、笑顔の絶えない関係づくりに努めています。今後も「ここに来れば大丈夫」と思っていただける治療環境を作り上げるとともに、患者さんが幸せになれる診療を実践していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療:60万5000円~、マウスピース型装置を用いた矯正:31万9000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。