仲田 拡人 院長の独自取材記事
ホロン鳥居坂クリニック
(港区/麻布十番駅)
最終更新日:2021/10/12
平日は休診日を除いて朝8時から夜7時まで、さらに土曜と日曜も診療を行っているのが、麻布十番にある「ホロン鳥居坂クリニック」だ。会社勤めの人がなかなか通えない時間帯や曜日も開いているとあり、患者が次々に来院する。「地域の人を大切にしたい思いで、土日診療を行っています。こんなにニーズがあるのなら、これからも頑張って続けなければ」と語る仲田拡人院長は、とても謙虚で勉強熱心な医師。忙しい合間を縫って論文などを読み、診療に役立てているという。自身もアレルギー患者の一人で、患者の苦しみに寄り添う医療の実践をめざす仲田院長に、医療にかける思いや力を入れているという副鼻腔炎の治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2021年9月16日)
土日の診療や長い診療時間で地域に貢献していきたい
患者さんはどんな方が多く来院されていますか。
患者さんの層は幅広く、0歳から90歳以上の方まで来院されています。幼稚園、保育園に通っているくらいの子どもが中心で、鼻水、咳など風邪の症状で来る方が多いですね。そのほか、中耳炎、耳垢、副鼻腔炎、花粉症、喘息などの方もいらっしゃいます。平日はこの近くに住んでいる方やお勤めの方が多いのですが、土日は遠方から来られる方が多いですね。
土日も診療されたり、診療時間を長く取ったりされていますが、どのような理由からですか。
地域に貢献したかったのが大きいですね。土日も診療が受けられれば、皆さんに喜んでもらえるのではないかと思ったからです。朝は登校前のお子さんが来院されることもあります。昼の時間と夕方以降は、お勤めの方が多くいらっしゃいますが、当院では感染症対策のため予約制を導入しており、なるべく院内での滞在時間を短くし、密になることを防いでいます。
訪れる患者さんの中で、最近増えている症状はなんでしょうか。
外耳湿疹です。外耳に湿疹ができ、かゆくてかき壊してしまい痛みが出るという症状です。テレワークでイヤフォンを使用する頻度が多くなっていることが原因の一つとして挙げられるのではないかと思います。それから咳が長引いて来院される方も増えています。風邪がきっかけなのですが、アレルギーを合併している場合が多いですね。しかし、アレルギーに限らず胃酸が逆流しているケースもあり、人それぞれです。患者さんとお話をしながら原因を探ったり、薬を出してその過程で原因を探したりしています。あとは耳が詰まった感じの方も多いですね。原因はいろいろあるのですが、大きな病気が隠れている場合もあります。日常生活において不快な症状がある場合、一瞬で良くなるようなら様子を見ていただいていいのですが、1日、2日と治らないようなら、受診いただいたほうがいいですね。
副鼻腔炎に対してはカテーテルを用いた治療法を導入
こちらでは舌下免疫療法を受けられるそうですね。
希望される方は多いです。舌下免疫療法はスギ花粉症とダニアレルギーを根本的に治すことを目的とした治療法で、子どもでも受けられます。時間がかかる治療ですが、服薬量を減らせたり、服薬期間を短くしたり、服薬しないで済んだりというメリットが期待できます。アレルギーは小さいうちに対処しておくことが良いので、お子さんがいるお母さまには特にお勧めしています。毎月通院が必要になり、時間もかかりますが「やります」とおっしゃる方が多いですね。
鼻水が喉側に流れる「後鼻漏」で悩まれる患者さんも多いとお聞きしました。
慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎で起こることが多いのですが、慢性だからと諦めてしまう患者さんや医師が少なくありません。けれど僕は諦めたくないと思っています。全員を治せるわけではないかもしれませんが、症状を軽くすることはできるかもしれない。何とかできないかと論文を読んで研究し、後鼻漏の患者さんに処方するお薬を工夫しています。当院で処方しているお薬は、他の医院ではあまり処方されていないようです。一度相談に来ていただければと思います。
副鼻腔炎に対して行っているカテーテルを用いた治療について教えてください。
使用する薬が限られている妊婦さんや、なかなか副鼻腔炎が治らない患者さんなどに行う治療法です。カテーテルに付属したバルーンを鼻の奥と手前で膨らませて鼻腔を密閉し、陰圧をかけて鼻水を吸い出します。その後、抗生物質の薬液を注入していきます。保険適用で、月に3回受けることができますので、月末に3回、月初に3回といったように連続で行うと症状を抑えることが望めます。また、歯性上顎洞炎といって、歯の根の炎症が副鼻腔炎を引き起こすという疾患があるのですが、歯の治療と一緒にカテーテル治療を行うことが有用です。
小児歯科医院と連携されているとお聞きしました。
お子さんの口呼吸は顎と顔の育成にかなり大きな影響を及ぼします。口を開けたまま育った子と、口をきちんと閉じて育った子では顔の形が変わってくることがあるんですよ。耳鼻科領域ですと、アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎、アデノイド肥大が口呼吸の原因になり得るのですが、歯並びも密に関係しているので、近くの小児歯科医院と連携して、口呼吸にアプローチしていきます。親御さんに対しては、口が開いていると顔が間延びしやすく、外見的にも違いが出てくることがあるんですよとお話しすると関心を持っていただけますね。
病気への理解を深めてもらうための資料を提供
先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。
幼児期からアトピー性皮膚炎の他に、中耳炎や花粉症にも悩まされ、小さな頃から病院通いをしていました。ですから、耳鼻咽喉科は私にとっては慣れ親しんだ場所だったのです。小学生ぐらいになると、院内の医療機器や薬などへの興味が湧いてきたことを覚えています。身をもって体験したつらい症状をケアしたいという思いから医師になりました。
患者さんに接する際、工夫されていることはありますか。
病気について細かく説明した資料を作ってお渡しし、お見せしながら説明をしています。言葉だけで説明をしていても残りにくいと思うんですよね。患者さんもその場ではわかったような感じがするけれど本当にわかっているかというと、そうではない場合もあります。資料があれば後から読み返すことができるので、ずっと患者さん用の資料があればいいなと思っていたんですが、なかなか作る余裕がありませんでした。ようやく準備が整い、お渡しできるようになりました。耳が詰まった感じ、中耳炎、喉の異物感、めまいなどについていろいろな資料を作ってあります。
今後の展望や希望があれば教えてください。
土日の診療を求める方が多いので、今後も頑張って続けていきたいと思っています。しかし、自分の体力に合わせて息長くやっていくことも必要です。睡眠時間が少なくなりがちなので、自分の健康維持には気を使っています。特に食事ですね。なるべくオーガニックなもの・添加物が入っていないものを食べるようにし、野菜多めを心がけています。あとは、小食にして食べ過ぎない、アルコールを飲まないことなどに気をつけています。患者さんに対しては、治療の一環として栄養指導を行うこともあります。
読者の方へ、メッセージをお願いします。
風邪だと内科や小児科に行く方が多いのですが、耳鼻科でも診ています。鼻水が続くと、気づかないうちに中耳炎を合併している子も多いんです。子どもは訴えが少ないのでわからないのですが、そのあたりをチェックしに来ていただくと良いと思います。大人の方は、耳の閉塞感や詰まり感、喉の違和感など、些細な症状でも続くようであれば、相談しに来てほしいと思います。耳の詰まり感が中耳炎だった、その中耳炎の原因ががんの初期の症状だった、ということもあるんです。当院では熱や咳の症状のある患者さんは別室へ誘導し、他の患者さんと動線を分けています。また、空気清浄機を設置した上で常に換気して感染症対策もしっかり行っているので安心していただければと思います。気になるところは放置せず、相談に来てください。
自由診療費用の目安
自由診療とは新型コロナウイルス感染症PCR検査2万2000円(税込)、新型コロナウイルス感染症抗原検査2200円(税込)