岡安紗耶加院長の独自取材記事

きのえデンタルクリニック

(大垣市／北大垣駅)

最終更新日：2021/10/12

JR東海道本線の大垣駅北口から車で約10分。「きのえデンタルクリニック」は小学校や中学校、短大のある文教地区の中。院長の岡安紗耶加先生は、この大垣市出身。地域医療に貢献したいという強い思いを抱きながら、総合病院や県内のクリニックで研鑽を積み、2014年、「きのえ」の年に同院を開業した。歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科を標榜し、予防歯科にも力を入れている。はつらつとした笑顔で子どもに接する岡安院長は「痛くなってから歯科医院に行くのではなく、痛くならないために相談にいらしてください」と話す。めざす歯科医院のあり方や、患者の不安に寄り添う治療方針について話を聞いた。

（取材日2019年8月8日）

ふるさと大垣市への地域貢献をめざして開業
女性スタッフが母親目線で子どもたちに対応
口の健康管理をすることで全身の健康を守りたい

ふるさと大垣市への地域貢献をめざして開業

歯科医師を志したきっかけや大垣市で開業されるまでの経緯をお聞かせください。

母が昔、歯科衛生士をしていたこともあり、「歯医者さんは技術で人の役に立つ仕事だから、めざしてみたら」と助言してくれたことがきっかけになりました。手先が器用で図画工作が得意だったので「向いているかも」と思ったんです。私は生まれも育ちも大垣市で、この町が好きなんです。歯科医師として経験を積んだら地元に戻り、育ててもらった町に貢献したいと思っていました。そのために総合的な勉強をしたいと考え、歯学部を卒業後は名古屋第二赤十字病院の口腔外科に勤務しました。ここでは糖尿病や心臓疾患などの有病患者さんの歯科治療や、舌がんの診療などを経験させてもらいました。その後は岐阜県内のクリニックで、一般歯科治療や小児の歯科矯正などのスキルを積み、2014年にこちらで開業しました。

院内は明るく、清潔感がありますね。

ありがとうございます。他にも、車いすで来院していただきやすいバリアフリー構造にこだわりました。トイレにも高齢の方が利用しやすいように手すりがついています。エントランスはタッチ式自動ドアで小さいお子さんが一人で飛び出さないように、タッチボタンを大人でないと手が届かないような高さに設置しています。また、患者さんとの対話を大切にしたいのでカウンセリングルームを設けました。ここで症状について詳しく伺ったり、矯正の装置や義歯の材料の選択肢について、費用やメリットデメリットも説明したりした上で、納得して治療に臨んでいただけるようにしています。診察室はリラックスできるようにプライベート性を重視した半個室です。時間を要する治療や、特に不安の強い方のために完全個室もあります。幅広い年代の方に安心して治療を受けていただきたいと思っています。

患者さんの層や主な診療内容を教えてください。

北隣が小学校なので、夕方は学校帰りに虫歯治療や矯正のために来院されるお子さんが多く、待合室にランドセルが並んでいます（笑）。お子さんの付き添いでいらしたお母さんが「私も診てほしいところがあるのですが」ということで治療を始め、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんも、とご家族で来院されるようになるケースもあります。皆さん、来院のきっかけは「歯が痛い」「歯茎が腫れる」などの症状がほとんどですが、当院では治療後のケアにも力を入れています。虫歯や歯周病が再発しないように、定期的なメンテナンスやブラッシング指導を受けていただくことをお勧めしているんです。ですので、当院には虫歯も痛みもないけれど定期的に通ってくださる患者さんも多いです。

女性スタッフが母親目線で子どもたちに対応

予防歯科に力を入れているということですね。

はい。「症状が出たから歯科医院に行く」「治療が終わったから通院をやめる」のではなく、ご家庭でもお口の健康管理を行い、定期的にプロのチェックに通っていただきたいと思っています。というのも、1本でも多く自分の歯を大切にしてほしいからです。患者さん自身も何度も痛い思いをして治療をする必要がなくなります。具体的に、ブラッシング指導は「月に1回、習い事感覚で来てください」と提案しています。磨き残しを染め出す液で着色して、鏡で確認していただきながらアドバイスしています。お子さんの場合は、親子で一緒にブラッシングを覚えていただいて、仕上げ磨きや、磨き残しのチェックをお願いしています。親御さんも、仕上げ磨きの正しいやり方を教えてもらう機会はなかなかないのではないでしょうか。当院は全員、女性スタッフで、子育て中の人もいますので、お子さんを楽しませながら指導できると思います。

スタッフさんが全員女性なことには、何かこだわりがあるのでしょうか？

お母さんの目線でお子さんたちに接してもらいたいと思い、女性のスタッフに活躍してもらっています。子育て経験のあるスタッフは、親御さんの気持ちにも寄り添えるので心強いですね。例えば、キッズコーナーのおもちゃは小さい子が飲み込まないようなサイズのものをそろえていますが、これもお母さんスタッフのアイデアなんですよ。女性には結婚や出産といったライフステージごとの岐路がありますが、医療系のスキルを持つ女性が、経験を生かしながら長く安心して働ける職場をつくりたいと思っています。お子さんのいるスタッフには、できるだけ家庭生活を優先してもらえるように配慮していますね。また、当院には保健師の資格を持つ歯科衛生士や看護師もいますので、全身の健康管理についてアドバイスをすることも可能です。糖尿病や高血圧、心臓疾患、透析を受けている方も安心して来院していただけると思っています。

治療にあたり、心がけていることを教えてください。

「歯科医院に行くのは怖い」「歯科治療は痛い」という気持ちの患者さんも多いと思います。どんな治療を怖いと感じるのか、また痛みへの耐性は人それぞれですので、最初のカウンセリングでよく伺って、患者さんの希望を尊重した治療計画を立てています。治療によって麻酔が必要な場合は、できるだけ痛みを抑えられるような機器や麻酔薬を用います。注射の針が太く、急いで注入するほど痛みやすいので、ごく細い針を使い、コンピューターで注入のスピードをコントロールしながら、ゆっくり少しずつ入れていきます。また、小さいお子さんや痛みに弱い方は、麻酔注射の針を刺すチクッとした痛みすらもつらいと思いますので、表面麻酔を塗布して軽減に努めます。患者さんそれぞれの気持ちをくみ取り、できるだけストレスの少ない治療ができるように心がけています。

口の健康管理をすることで全身の健康を守りたい

最近は、お子さんの矯正について関心の高い親御さんも多いように感じます。

そうですね。矯正は、見た目の美しさをもたらすだけでなく、歯並びが整うことで虫歯などのリスクも防ぐことができます。子どものうちに矯正するメリットとしては、抜歯をしなくて済むケースが多いことだと考えます。矯正のためとはいえ、健康な歯を抜くのは身体的にも精神的にも負担になりますからね。歯並びを整えるというより、顎の骨の成長をコントロールして、正しい位置に永久歯の生えるスペースを確保するイメージです。もちろん、永久歯が生えそろってからや大人の方の矯正もできます。目立ちにくい透明の矯正装置がありますので、お仕事をしながら矯正される方もいらっしゃるんですよ。

顎関節症の診療にも力を入れているとお聞きしました。

顎を動かすと痛い、音が鳴る、口を大きく開けられないといった症状でご相談を受けることがあります。一方で、なかなか患者さんご自身では顎関節症だと気づかない方も多いです。例えば、虫歯の治療や定期健診などで口の中を診ると、歯がすり減っていたり、頬の内側の粘膜に跡がついていて、問診をしていく中で、就寝中に強い歯ぎしりをしている、日頃から歯を食いしばっているなどと思い当たる点が見つかることもあります。主にはマウスピースで噛み合わせの調整を図ったり、頬や首の筋肉のストレッチ指導などで治療を行っていきます。そして、日常の行動に気をつけていただくことも大切です。患者さんそれぞれの原因を見つけ、一緒に改善をめざしていけたらと思っています。

最後に、地域の方々へのメッセージをお願いします。

歯科医院の役割は「お口の健康を維持するために通うところ」に変わりつつあります。また、歯周病をきちんと治療すると血糖値や血圧のコントロールにもつながることがわかってきていて、お口の健康は全身の健康にも関わると言えます。今ある歯を守るため、全身の健康を維持するためにぜひ定期的に歯科医院に通っていただきたいです。