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片上 徹也 院長の独自取材記事

アウルクリニック

(大阪市北区/大阪駅)

最終更新日:2024/04/17

片上徹也院長 アウルクリニック main

19時~23時に診療を行う「アウルクリニック」。2023年9月に心斎橋から移転し、多くのビジネスパーソンが行き交う大阪駅前第1ビルにオープンした。片上徹也院長は、移転に際し、「精神科は通いにくい」という患者にも気軽に通院してもらえるよう、都会の真ん中にありながらもクリニックがなさそうな場所で、かつ誰もがわかりやすい場所をあえて選んだという。高校時代から思い描いてきたクリニック像を実現したおしゃれな内装や穏やかな診療スタイルで、一般的な精神科のイメージを払拭している片山院長。明るい雰囲気の中で対話しながら、「5点」の自分を「7点」にするための方法を一緒に探し、回復をめざす。片上院長に、現在の診療スタイルになった経緯や患者への思い、今後の展望について話を聞いた。

(取材日2024年3月6日)

病を乗り越え、高校時代に抱いた思いを実現

まずは、精神科の医師をめざしたきっかけから教えてください。

片上徹也院長 アウルクリニック1

精神科をおもしろそうだと感じたのは、高校生の頃に精神科医の和田秀樹さんの著書を読んだことがきっかけですね。人間は大半を「無意識」に支配されているので、そこをうまくコントロールすることが大切だというものです。私は、自分自身を「変わり者」だと思っていたので、競争社会を生き抜くためには、とても有用な考え方だと感じました。また、そんな自分だからこそ、患者さんと同じ目線に立てるのではという思いもありました。そして、学生の自分が相談するなら、夜に開いているクリニックがあれば便利だと考え、当時から今の診療スタイルを思い描いていました。

クリニックの開院前に大病を経験されていますが、諦めずにやってこられた原動力は何だったのでしょうか。

大学を卒業後、研修医の頃から開院の準備をずっと進めていました。27歳の時にくも膜下出血で倒れ、入院・リハビリ生活をしていた期間もありますが、開院への思いには何ら影響はなかったですね。精神科医という仕事や夜に開いているクリニックを作ることを「おもしろい」と思っていたのが、一番の原動力だと思います。また、クリニックの開院は自分の居場所を作ることとイコールで、自分自身が救われるだろうという思いもありました。学生時代、「人のために生きる人になる」「良きリーダーになれ」と教えられたので、人のために努力することが自分自身のためにもなると信じてきたのでしょうね。

改めて、診療時間を19時~23時とした理由をお聞かせください。

片上徹也院長 アウルクリニック2

先ほどもお話ししたように、仕事や学校で忙しい若い方が、遅い時間に通えるクリニックを作りたいと高校生の頃から考えていたからです。私は「友達営業」と呼んでいるのですが、同世代の患者さんと「友達のようなノリ」で診察するスタイルが好きなんです。2014年に心斎橋で開院してから10年近くたち、自分自身も年齢を重ねたので、より年齢の近い世代を診られるように、ここ梅田への移転を決めました。患者さんの平均年齢は5歳ほど上がりましたが、ありがたいことに心斎橋からの患者さんも変わらず来院してくれています。気分障害の患者さんがメインですが、風邪や花粉症などの診察、更年期障害や禁煙についてのご相談、インフルエンザの予防接種やダイエットの相談など、幅広い症状、ご要望の方が来られています。

イメージを覆すおしゃれな院内と明るい診療が特徴

2023年に移転し、現在のクリニックをオープンされました。内装でこだわった点を教えてください。

片上徹也院長 アウルクリニック3

心斎橋のクリニックは狭く段差も多かったので、車いすやベビーカーなどが通れないことが課題でした。ここは広さが以前の倍ほどあり、院内をすべてバリアフリーにしたことが、大きなポイントだと思います。また、内装は「落ち着いているけれどおしゃれ」をコンセプトに、女性の視点でデザインしてもらいました。クリニックのテーマがフクロウなので、森をイメージする木目調のドアなどを配しています。フクロウは、クリニックの広報を担ってくれていて、待合いに並ぶフクロウグッズはすべて患者さんからいただいた物です。旅先などでフクロウを見かけたときに、ふとクリニックと私のことを思い出してもらえているのかなとうれしく思います。

良い関係性を築かれている証ですね。患者さんとの関わりで心がけていることはありますか?

精神科の診察の一般的なイメージとは違って、当院はとにかく明るく診察していることが特徴です。友達のようなノリで話すことで、「ともに病める人」「鏡を見ているよう」という感覚につながり、自己効力感が上がっていくと良いなと思っています。もちろん症状や患者さんの様子によって違う方法で接する場合もありますが、明るい雰囲気でゲラゲラと笑い飛ばすことで、感情の調節を狙っています。私は、「ふわっとしている」とよく言われ、ふざけているように見られがちですが、実は意識しているんですよ。人間の土台には「無意識」があるので、精神分析や認知行動療法も使いながら、患者さん自身が言語化できるよう促すことを大切にしています。

認知行動療法の一つとして、目標設定をされているとお聞きしました。

片上徹也院長 アウルクリニック4

目標の数値化ですね。診察のときには「今の体調を10点満点で表現するなら何点ですか」と聞きます。患者さんが5点と答えたなら、何が足りていないのか、何が変われば7点になるのかを一緒に考えていく。そうやって「無意識」を引き出し、目標を設定するのですが、これは、一緒にゴールをめざすための重要なアプローチだと思っています。受付のスタッフが改善や変化に気づくこともあるので、なるべくどのスタッフにも患者さんとコミュニケーションを取ってもらうよう意識づけしています。

診察もスタッフのケアも楽しくがモットー

20人のスタッフがいるとお聞きしました。連携や気をつけていることなどをお聞かせください。

片上徹也院長 アウルクリニック5

私が日中、大阪市内の病院で働いているのと同じく、当クリニックのスタッフも別の仕事をしている人ばかりなので、常勤は一人もいません。毎日、20人のうちの数人が順番に出てくれているので、一人ひとりとのコミュニケーションを大切にしています。そのために、仕事終わりに食事に行き、個人面談をするなど、スタッフのケアも重視しています。

昼は病院勤務、夜はクリニック、その後面談とかなりお忙しそうですが、息抜きはできていますか?

休診日には、学生時代から続けているテニスで汗を流しています。食いしん坊なので、その後の食事も楽しみの一つですね。仕事終わりにスタッフと食事に行くことを「仕事」だと思うと苦かもしれませんが、そのような意識はありません。むしろ、自分自身の息抜きにしているところもあるかもしれませんね。

最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

片上徹也院長 アウルクリニック6

当クリニックの今後としては、今のまま続けていけたらいいなと思っています。私自身、このクリニック自体を趣味だと思っているところもあるので、今後も末長く続けたいですね。ただ、精神科受診のハードルがまだまだ高いので、同じように夜だけ開院するクリニックが、各都道府県に一つずつできてほしいですね。それが、精神保健と公衆衛生の向上につながるのではないかと思うんです。また、こんなスタイルで一緒に働いてくれる仲間も増えていったらうれしいですね。患者さんへのメッセージは、「楽しくやりましょう」です。ふわふわしているとよく言われる私と、友達のように話すことで、気分が少しでも軽くなればうれしいので、お気軽にお越しください。

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