自覚症状がない沈黙の臓器
重症化を防ぐための肝臓疾患検査と治療
はらたクリニック 内科・消化器内科
(名古屋市千種区/本山駅)
最終更新日:2024/12/11


- 保険診療
国内のB型・C型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)は 、300万人以上に上ると推計され、これらの肝炎ウイルス持続感染者は、ほとんど自覚症状がないために本人も感染に気がついていないケースが多いというが、治療を行わなければ、慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進行する怖い病気だ。また、年間3万人もの人が肝臓がんで命を落としているという事実も。少しぐらいダメージを受けても自覚症状がない沈黙の臓器・肝臓。重大な病気に至らないよう、日本肝臓学会肝臓専門医、日本超音波医学会超音波専門医でもある「はらたクリニック 内科・消化器内科」の原田雅生院長に、肝臓疾患の特徴や種類、クリニックでの治療法について詳しく解説してもらった。
(取材日2016年11月8日)
目次
脂肪肝だと思っていたら、もっと怖い病気の可能性も。命に関わる病気に波及させないためにも、まずは受診を
- Q肝臓疾患の種類と、それぞれの特色について教えてください。
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A
▲本山駅から徒歩すぐで通院にも便利なクリニック。受付も丁寧
重篤なものだと肝臓がん、肝硬変が挙げられます。その原因になるウイルス性肝炎も代表的な肝臓疾患ですね。主な原因ウイルスとして、A〜E型の5種類があり、中でも怖いのがB型肝炎とC型肝炎です。A型肝炎などは一過性で慢性化しませんが、B型・C型は慢性化する可能性があるので注意が必要です。肝臓疾患の特徴は病状が進行するにつれ、さまざまな合併症を併発していくところにあります。例えば、B型・C型肝炎が進行すると、慢性肝炎を経て肝硬変に至り、このような状態になると肝臓がんになるリスクが高くなってしまうのです。あと身近な肝臓の病気では脂肪肝があります。健診で肝機能異常を指摘されて受診された方の多くは脂肪肝です。
- Qよく診られるのが脂肪肝だそうですが、脂肪性肝炎との違いは?
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A
▲院長は消化器系の専門性が高く、経験も豊富なので頼もしい
肝臓に脂肪が沈着して肝機能が低下する脂肪肝は、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病が基礎にあることが多く、アルコールも原因の一つです。肥満が原因になる場合が多いため、カロリー制限と適度な運動で体重を減らすことが重要です。脂肪性肝炎も肥満やメタボリックシンドロームとの関連が強いですが、こちらは非アルコール性です。この病気は進行性で肝硬変や肝臓がんに至ることもあり、注意が必要です。脂肪肝と脂肪性肝炎の鑑別は難しいことも多いので、脂肪肝と言われたことがある方は、一度専門医の診察を受けることをお勧めします。
- QB型肝炎とC型肝炎、その感染経路や治療について伺います。
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A
▲内視鏡検査も行っている。予約制なので気になる人は相談を
感染経路については、B型肝炎は母子感染と性交感染が主で、あとは注射針や過去の輸血による血液感染があり、C型肝炎の多くは血液感染によるものです。治療法は、B型肝炎は注射によるインターフェロン療法、飲み薬の核酸アナログ製剤療法などがあり、年齢や肝機能、ウイルスの量で治療法を選択します。C型肝炎の治療にもインターフェロン注射を使ってきましたが、近年は抗ウイルス薬の飲み薬で対応できるケースもあります。副作用も少ないので、治療のための入院も必要なく、治療期間も12〜24週間と以前より短くなっています。
- Qお得意な超音波(エコー)検査も、診断の精度を上げているとか。
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A
▲超音波検査は痛みも不快感も少ない。質問にも丁寧に答えてくれる
血液検査では大きな異常がなく、超音波検査を行わないと診断できない肝臓の異常もありますので、超音波検査には力を入れています。例えば、慢性肝炎から肝硬変は進行する時に、一部の血液検査の数値が正常値に近づき、病状は改善しているようにみえることがあります。超音波検査を定期的に行い、肝臓の形や大きさをみることで、状況をより正確に把握することができます。検査にかかる時間は10〜15分ほどです。ほとんど痛みやつらさを伴うような検査ではないので比較的受けやすい検査だと思います。
- Q肝臓疾患の診療で心がけていること、重視していることは?
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A
▲患者との会話を大切に、コミュニケーションの取り方も考えている
肝臓の病気を治療する際は、患者さまにその病状をよく理解していただくための説明がかなり重要だと考えています。というのも、肝臓の病気は治療期間が長期に及ぶ場合が多いのですが、病気の初期で症状が乏しいと途中で通院をやめてしまい、結果として病状を悪化させてしまうケースが少なくないのです。そういったことを防ぐために、病気の内容やその治療を行う意味、今の状態がいずれ肝硬変や肝臓がんといった重篤な疾患につながる危険性も含めてきちんと説明し、患者さまご本人に正確に病状を理解し納得していただくことが、長い治療期間を乗り越えるためには何よりも大事であると考えています。