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横山 哲夫 院長の独自取材記事

YYキッズクリニック

(西東京市/保谷駅)

最終更新日:2024/07/17

横山哲夫院長 YYキッズクリニック main

窓に描かれた、元気にはしゃぐ子どもたちのイラストが目印の「YYキッズクリニック」。横山哲夫院長は、魚をモチーフにした帽子をかぶって現れた。よく見ると、胸元には鳥のピンバッジが揺れ、足元のスリッパには人気のキャラクターが顔をのぞかせている。時折、電車をモチーフにした時計が見えることもあるそうだ。「医療は楽しく」「ハピネスをめざす医療」をモットーに診療する横山院長ならではの工夫だが、実はそれだけではない。その裏には、「子どもを泣かせて、診察の質を落としてはならない」という医療者としての矜持が隠れているのだ。歯切れの良い口調の中に昔かたぎな優しさをにじませて、横山院長は子どもたちとその親への思いを熱く語ってくれた。

(取材日2024年3月26日)

子どもを楽しませつつ、質の高い医療を提供する

思わず笑顔になる、明るい雰囲気の院内ですね。

横山哲夫院長 YYキッズクリニック1

ありがとうございます。子どもたちが来たくなるような医院にしたいと思ってつくりました。ホームページや院内の窓などに描かれている子どもたちのイラストは、「元気いっぱいの、わんぱくな子どもたち」をイメージした当院のオリジナルのキャラクターです。「医療は楽しく」「ハピネスをめざす医療」が私のモットーですから、それを表すような雰囲気にしたかったんです。どんな時も、最終的には患者さんの「ハピネス」にたどり着けるように、根底に優しさがある楽しさを追求したいと思っています。

先生の全身にも、子どもの興味を引く工夫がたくさん隠れていますね。

これは子どもたちを楽しませることはもちろん、診察の時に泣かせないための工夫でもあるんですよ。体調の悪さや不安から、診察室で泣いてしまう子は少なくありません。しかし泣かせたままだと、じっくり診るべきところがおろそかになったり、無駄な時間がかかって子どもの負担が大きくなったりして診察の質が落ちてしまいかねません。これらのアイテムは、そんな時のためにあるんですよ。まず、子どもの視線と様子を見て興味の方向性をつかんだら、アイテムを使って子どもの注意を引きます。場合によっては、思い切りふざけることも。子どもたちが目を輝かせて帽子を見たり、私のおふざけに大笑いしたりしている間に、手早く診察を済ませてしまうんです。

そういうことなんですね。子どもが泣かなければ、保護者も落ち着いて話を聞ける気がします。

横山哲夫院長 YYキッズクリニック2

そうですね。親御さんの理解を深めるための啓発活動も小児科医の重要な役割だと思っていますから、親御さんが落ち着いて話を聞ける環境をつくることも大切です。意識して啓発しているのが、医療機関へ行くべきか否かの判断の仕方です。お父さん、お母さんが状況を見て適切な判断ができるよう、診察時には現状とこれから起こりそうなこと、起きた時に取るべき対応について丁寧に説明するようにしています。例えば、あらかじめ「これから熱が出るかもしれない」と伝え、熱が出た時の処置と「医療機関へ行くべき目安」を伝えておけば、落ち着いて対処できるでしょう。次の診察の時、「先生が言っていたとおりの症状だったので、家で落ち着いて様子を見ることができました」などと言っていただけたらうれしいですね。

これからは、幼少期に接触による免疫獲得を

最近、気になる症状はありますか。

横山哲夫院長 YYキッズクリニック3

熱、咳、鼻水などのいわゆる風邪や気管支炎のお子さんが中心であることは基本的に昔から変わっていませんが、従来なら体調の変動が落ち着いてくる年頃になってから頻繁に熱を出す子が増えたと感じます。これは、乳幼児期にマスクをつけて過ごしたことによって、細菌や微生物に触れる機会が減り、免疫力が十分でないまま成長したことが原因の一つだと思います。初めての集団生活である保育園や幼稚園時代に免疫がつくとされる病気に、マスクを外した今になって罹患しているんですね。今後は、接触による免疫獲得をある程度は許容すべきでしょう。来院したときに、些細な症状でも検査を求める親御さんが増えたとも感じます。会社へ行くためには陰性の証明が必要であるなど、さまざまな理由があると思いますが、あえて苦しい検査を子どもに受けさせる必要性について改めて考えてほしいですね。

アトピー性皮膚炎の患者さんも多いと伺いました。

昔に比べて多い印象はありますね。アトピー性皮膚炎に限らず、皮膚に関して気になるところがあるお子さんは多いです。ちょっとしたことですが、手で脇の下や首元などのしわを伸ばして洗ってあげると、汚れがきれいに落ちて清潔な状態を保てます。手で直接洗ってあげれば皮膚が弱いお子さんにも負担が少ないので、ぜひ実践していただきたいですね。また、低身長のご相談もあります。当院では低身長の治療を行っていませんが、お子さんの身長をグラフにした時の成長速度や、お父さんお母さんの身長、思春期を過ぎているかどうかといったことを総合的に診て病気かどうか、治療ができるか否かを診断し、治療を行う際は適切な病院を紹介しています。

ご専門は小児糖尿病や新生児医療だそうですね。

横山哲夫院長 YYキッズクリニック4

大学の関連病院を回った後に勤務した東京都立清瀬小児病院では、小児糖尿病などの治療を行う内分泌代謝科に所属した後、新生児科の部長を務めました。内分泌代謝科は慢性疾患が多いので、検査データをもとに体の中で何が起こっているのかを考える必要があります。一方の新生児科は、とにかく迅速な診断と治療が求められる分野。呼吸や心臓の問題が多いので、体全体をくまなく、かつ手早く診る力が求められます。その両方を経験できたことが、今の診療にも生かされていると思いますね。幼いお子さんに必ず上半身の衣類を脱いでもらって自然な状態での呼吸を診るのも、この頃に学んだことです。発疹や喘息発作の判明にもつながりますから、とても有用なんですよ。

「ならぬものはならぬ」という矜持を持って子育てを

お子さんと接する上で気をつけていらっしゃることは?

横山哲夫院長 YYキッズクリニック5

子どもたちをただ楽しませ、友達になるだけでは駄目なんです。やるべきことはやる。駄目なものは駄目。それを教えることは大人の役割でしょう。「子どもが薬を飲みたがらなかったので飲ませませんでした」とおっしゃる親御さんが時々いらっしゃいますが、もう少し頑張ってみましょうとお伝えします。薬は子どもにとって必要だから出しているものです。飲むことが子どものためになるわけです。今、飲むことがつらいからといって避けることを良しとすれば、子どもはやるべきことをやらずに済む方法を学んでしまいます。深刻な症状を引き起こさないために今は薬を飲むしかないんだよと、根気強く教えてほしいですね。

子育て中の保護者に向けて、伝えたいことはありますか。

近年の「叱らない、叱れない」風潮は気がかりです。子どもの自主性や感性を伸ばすためといって、必要な場面で叱らない。これによって子どものわがままが助長され、社会性を失ってしまっては本末転倒ではないでしょうか。「親思う心に勝る親心」とは、子に対する両親の思いがいかに大きいかを表した幕末の教育者の言葉です。親の愛情の深さや大きさは、今も変わらないでしょう。だからこそ、いつの時代も、どんな時も、「ならぬことはならぬ」。それを断固として教えられる親であってほしいと思います。親としての信念と気概を持って、子どもと向き合っていきましょう。

ありがとうございました。最後に今後の展望をお聞かせください。

横山哲夫院長 YYキッズクリニック6

小児科の医師としては、お子さんの体についての啓発活動は今後も続けていきたいと思っています。また、西東京市は小児科医院が少ないこともあり、地域での医療連携も非常に重要です。そのため、診療の経験や知識を共有する目的で、近隣の医師が集まって行う勉強会にも力を入れてきました。開業医として、これからも患者さんとそのご家族の近くで困難を乗り越えていく過程を見守り、子どもたちの健やかな成長を支えてゆきたいですね。

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